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わさび茶漬けのブログ一覧

2023年07月23日 イイね!

BMWのイタリアでの伏線回収? その2

BMWのイタリアでの伏線回収? その2前回のブログは、 イタリア・コモ湖畔の"Concorso d’Eleganza Villa d’Este"(コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステ)での「伏線回収」について書きました。

その会場でサプライズ発表された"BMW Concept Touring Coupe"は、事前の告知ポスターに描かれた名車”328 Touring Coupe"の名前と「独伊合作という成り立ち」を引き継いでいる、という推察でした。



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そして、ブログの最後にちらっと載せたこのM1が果たした、壮大な伏線回収?が今回のお話です。

この美しいM1は、コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステの会場の脇に停められていて、関係者の熱い視線を浴びていました。



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この車の最初の持ち主は、BMW Motorsport社(現BMW M社)の創設者(初代CEO)である、ヨッヘン・ニアパッシュ氏だったことが知られています。

(隣に写っているレーシングドライバーは、M1 Procar Championshipの初年度チャンピオンでもある「不死鳥」ニキ・ラウダ氏ですね)



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ニアパッシュ氏は、昨年のコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステの会場でも元気な姿を見せていました。

BMW M社およびM1の父とも言える存在です。



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ニアパッシュ氏が1980年にBMWを去る際に自分への贈り物として購入したこの車は、グレーの外装にブラウンのレザーと布の内装という独特の仕様が施されています。

オーセンティックでいて新しさも感じる、時代を超越した魅力的なカラーリングだと思います!

(ちなみにM1の総生産台数477台のうち、出荷時にグレーに塗られたのはわずか4台、ブラウン内装はこの車のみだったようです)


ニアパッシュ氏はこの車を自家用車として使用し、インターナショナル マネジメント グループに着任するにあたって手放しました。(そして後に「それは私の人生における間違いの一つでした」と述べています。)



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この車はその後、BMW M1 CLUBの共同創設者であるラインハルト・クライスラー氏が1990年に走行距離約24,000kmで購入し、著名な職人による再塗装を施しました。

(余談ですが、ニアパッシュ氏は2020年にBMW M1 CLUBの名誉会員になっています)

そしてクライスラー氏は2013 年に、物流会社を営むデトレフ・ヒブナー(Detlef Hübner)氏に売却しました。



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元レーシングドライバーであり、有名なカーコレクターでもあるヒブナー氏は、2013年のコンコルソ デレガンツァ ヴィラ デステにこの車を出展しました。

そこで「最も保存状態の良い戦後車」という評価であるトロフェオ ASI を受賞しました。

(ちなみにこの写真のナンバープレートの文字 "F 01000H"の最初の文字"F"は、フランクフルト市を表します。)


コンクールでの成功を受けて、この車は一旦クライスラー氏に売り戻された後、国境を越えて新しいオーナーの手に渡りました。



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なんと、中国のマルチブランド自動車ディーラーである正通が2016 年末に北京にオープンした私設博物館、
Zhengtong BMW Museum(正通BMW博物馆)の豪華なコレクションに加わったのです!



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4階建て・展示面積3600㎡の大きく斬新な建築物です。

「赤い門」のような装飾には、中国らしさも感じます。


その後、それらの見事なコレクションは2022年11月にRMサザビーズのオークションに出品されることになりました。

(博物館のオープンからわずか6年後にコレクションを手放すことになった背景はよく分かりませんが、中国の自動車産業が発展するにつれて、外国車を尊重することに対して政府からの風当たりが強くなったのではないかと推測します)



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RMサザビーズは同社初のミュンヘンでのオークションを、複合施設 MOTORWORLD MÜNCHEN にて催します。

BMWの32台の車とモーターサイクルは、"The Bavarian Legends Collection"(バイエルンの伝説)と名付けられ、入札は白熱しました。



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その結果、32台のうち19台に「最低落札価格の2倍以上」という高値が付きました!

ウクライナ情勢やコロナ禍などの逆風も吹く中で、ミュンヘンは偉大な作品の里帰りを大歓迎した形です。



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そしてニアパッシュ氏が所有したグレーのM1は、792,500ユーロ(約1億1500万円!)という高値で落札されました!

(なおコレクション中の最高額は、1958 BMW 507 Roadster Series II の1,917,500ユーロ・約2.8億円!でした)



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ちなみに、故ポール・ウォーカー氏が所有した1980 BMW M1 AHG Studieがほぼ同時期にアメリカでオークションに出品されてその落札価格は648,500USD(約8900万円)でした。
※同車は2021年2月にも出品されており、その時の落札価格は500,000USDでした。


ニアパッシュ氏のM1の評価はそれらを上回ります!

M1の過去のオークション落札価格と比べても、史上最高値だと推測されます。

状態の素晴らしさや渋いカラーリングに加え、ニアパッシュ氏にまつわるストーリーも評価されたのかもしれません。


そのニュースの後、ニアパッシュ氏のM1がどうなったかについての情報は見かけなかったのですが・・・



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今年5月に、グレーのM1がコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステの会場に停まっている姿が、多くの人の注目を浴びることになりました。

(同コンクールでの輝かしい受賞歴があるためか、今年のコンペティションの参加リストには入っていないようです)


そして、ナンバープレートの"M C 805H"には、ミュンヘン市を表す"M”が入っています!

個人的には、国境をまたにかけた伏線が回収されたようにも思えます。


さらに、よく見るとナンバープレートのフレームの下辺には、小さな文字で"MINT CLASSICS"と書かれているようです。



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ミュンヘンのルドルフ・ディーゼル通り (!) にあるクラシックカー専門店 Mint Classics のホームページには、グレーのM1が売買事例として掲載されていました。

この写真の車両は2016年に入荷したようなのでニアパッシュ氏のM1とは異なりますが、BMWの超希少なスポーツカーを得意としているようです。

俳優アラン・ドロン氏が所有した507も売買事例として載っています)


RMサザビーズのオークションでは、ニアパッシュ氏のM1はこのお店が落札したのではないでしょうか..?

または他者が落札し、M1のレストアの実績がある(BMW Group Classicとも協力関係にある?)このお店に整備・登録を依頼したのかもしれません。



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今年5月のヴィラデステには、このお店が商品車のPRのために持ち込んだのか、新しいオーナー(Mナンバーということはミュンヘン市民か、BMW本社??)がお披露目のために乗り付けたのかは分かりませんが...。

この歴史的な名車が43年に渡る紆余曲折の末にミュンヘンナンバーを付けた事や、10年ぶりにヴィラデステの会場の土を踏んだことは、感慨深いです。



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個人的には、ぜひBMW自身に買い戻してもらって、いつの日かミュンヘンのBMW MUSEUMに展示して欲しいと思っています!

以上、2回に分けて「BMWのイタリアでの伏線回収?」をお届けしました。

長文にお付き合いいただき、誠にありがとうございました!


Posted at 2023/07/23 22:56:25 | コメント(0) | トラックバック(0) | | クルマ
2023年07月04日 イイね!

BMWのイタリアでの伏線回収?

BMWのイタリアでの伏線回収?"Concorso d’Eleganza Villa d’Este"(コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステ)は、「世界で最も格式が高い」とも評される自動車コンクールイベントです。

1929年より続く世界最長の歴史を誇る"Concours d’Elegance"(コンクール・デレガンス)で、コモ湖畔に佇むイタリアを代表するホテル Villa d'Este を舞台に毎年行われており、今年は5月19日から21日にかけて開催されました。



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その会場にて、BMW Concept Touring Coupe が発表になりました!

Z4ロードスターをベースしたコンセプトカーで、ルーフとラゲッジスペースを備えたシューティングブレーク的な成り立ちです。




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BMWは、過去にもロードスター(2シーターオープン)をベースにしたクーペを発売したことがあります。

超個性的なスタイリングのZ3 Coupe(1998年)と、流麗なフォルムのZ4 Coupe(2006年)です。


Concept Touring Coupeはその2台の中間的なフォルムと個性を持っていて、とても魅力的だと思います。

今回は"Concept"だけあって1台のみが製作されたデザインスタディという扱いですが、ぜひ市販化してほしいです!



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魅力的な外装の内側には、イタリアの高級家具メーカー・ポルトローナ・フラウ(Poltrona Frau)によって仕上げられた内装と、モデナの高級レザーブランド・スケドーニ(Schedoni)がカスタムメイドしたこの車専用のバッグ類も備えられています。

その華やかで洗練されたインテリアは、イタリア・コモ湖でのイベント会場の雰囲気にとてもマッチしています。

(ちなみにBMWのお膝元ミュンヘンはドイツでも南に位置しており、イタリア国境までは直線で130km程、コモ湖までは陸路で400km程と、距離的にも遠くありません)



そして、実はこのコンセプトカーは、BMWにとって壮大な伏線の回収でもありました。


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この歴史的イベントはBMW Group Classicが1999年より後援していることもあり、ここ3年の開催を告知するポスター風の画像にはBMWのヒストリックカーが描かれています。

2021年用には507が、2022年用にはM13.0CSLが描かれていました。



そして今年のポスターに描かれた、「三つ目」にも見える特徴的な車は何かというと...。


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1940年のミッレミリア総合優勝を果たした名車、328 Touring Coupe でした。

※ グリルの中央に、競技用のアディショナル・ヘッドランプが装備されています

BMWが誇る歴史の象徴であると同時に、その名前を引き継ぐ "Concept Touring Coupe" の発表に向けた布石でもあったのです!


(ちなみに昨年のポスターに描かれた3.0CSLは、昨年の同会場にてお披露目されたM4 CSLの予告でもありました)



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なお、328 Touring Coupeの "Touring" は、この車のボディを製作したイタリアのコーチビルダー・カロッツェリア・トゥーリング(Carrozzeria Touring)に由来します。

鋼管スペースフレームとアルミ外板を用いた軽量化技術である「スーペルレッジェーラ」(superleggera)構造で有名で、この車のボンネットやリアエンドの中央にもその名が記されています。

(ベースとなった328ロードスターの車重が約830kgだったのに対し、Touring Coupeは780kgと軽量されたこともあって、高い走行性能を持っていました)




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実は2台の "Touring Coupe" は、「ドイツとイタリアの合作」という意味でも共通していたのです。

粋な演出だと思います!



そして今年の同イベント会場では、さらにもう1台の伏線回収?がありました。

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このグレーに塗られた特別なM1についてなのですが...。

話が長くなりそうなので、続きは後日にしようと思います!


Posted at 2023/07/04 13:46:46 | コメント(0) | トラックバック(0) | | クルマ

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