
何度かアップしている今年のジュネーブモーターショーからの話題、今日はもうひとつ気になるクルマをテーマにしてみようと思います。
フィアットが放つ新型Cセグメントカー、ティーポです。
このネーミングを聞き、もしかしたら”懐かしい”と感じているかたもいらっしゃるかもしれません。
そう、僕もそのひとり。
80年代終盤に登場した同名のハッチバックモデルの事を覚えているかたも多いのでは?
そんなティーポが、迷走するフィアットCセグメントを復権させるべく再登場しました。
そこで今回は、その初代ティーポ以降のフィアットCセグメントハッチを個人的な思いを込めて振り返ってみたいと思います。
僕が最初にティーポを意識したのは、実は90年代中盤以降、当時シトロエンZXに乗っていた頃のこと。
当時はイタリア車への関心が薄かったのですが、そんな中でもこれは良さそう!と感じていたクルマがアルファロメオ145と、このティーポでした。
特にティーポは、ZXと似通ったパッケージングで、何故か親しみさえ湧く存在でした。

日本導入モデルは確か2バリエーションあったかと思いますが、乗りたかったのは2.0GTというスポーティグレード。
赤いボディと黒のバンパーに引かれた赤のピンストライプが何ともカッコよかった覚えがあります。
(当時のZXもスポーティグレード”シュペール”のほうはこの赤のピンストライプが効いたエクステリアデザインでした。当時の欧州コンパクトのスポーティグレードにおける流行だったんでしょうね)
ちなみにこの初代ティーポ、日本では趣向の高いオーナーさんに選ばれていたかと思いますが、本家欧州ではなかなかのヒットモデルで、欧州カーオブザイヤーを受賞したモデルでもあるんです。
さすがに今は殆ど見なくなってしまいましたが、出会ったらきっと、あの頃の想いが再燃してしまいそうです。
さて、初代ティーポの話が長くなってしまいましたが、フィアットCセグメントハッチの振り返りを続けましょう。
初代ティーポの次は、その名を変え”ブラーボ”として登場します。

日本では三菱の軽自動車が持つ登録商標の関係から”ブラビッシモ”という名で販売されていたので、馴染みもあるのではと思います。
ティーポの直線基調だったカタチはガラリと一転し、角の取れたデザインになったこのブラーボは、こちらも欧州カーオブザイヤーを受賞した実力派です。
個人的にはこのブラーボ、若き頃イギリスに滞在していた時によく借りていたクルマなだけに、とても思い入れがあります。
ハンドリングも軽快で、イギリスの田園地帯の丘を走るにも、ドライブするのが心地よかった記憶があります。(まあ、クルマよりもその景色の印象かもですが)
さて、フィアットCセグメントハッチの振り返りを続けますが、ここからの歴史はパッとしない、冬の時代到来。
何しろ日本への正規導入もなくさっぱり実態がわからないというのもあります。
前述のブラーボの後継となったのが、この”スティーロ”です。

ブラーボとはまたまた一転した直線基調のデザインは、これまた個人的には好きなタイプなんです。
しかし、このクルマがフィアットCセグハッチの勢いを止めてしまったんだとか。
フィアット自らがグローバル戦略車と意気込み鳴り物入りデビューしたモデルなのですが、本国イタリアはともかく、欧州域内ではさほど売れなかったようなのです。
21世紀に入り、VWゴルフ、オペルアストラ、フォードフォーカス、プジョー308といった並み居る競合に、その商品力が追いつかなかったということでしょうか。
わんどらとしてはこのスティーロ、結構好きだったんですけど!
そんなスティーロの次には再びブラーボの時代がやってきます。
欧州市場でイマイチだったスティーロで失ったお客様は、フィアット本領であるスモールカーであるプントに委ねたり、上位車種グランデプントでカバーしていましたが、やはり欧州の主戦場にはCセグハッチが必要です。
そこで再び登場したのがこの二代目ブラーボです。

見た感じはそこそこヒットのグランデプントとそっくりな雰囲気での登場で、個人的にはなかなか好きなデザインなのですが、こちらも欧州Cセグ市場を揺るがす存在とまではいかなかったようです。
しかも日本導入もなく、良し悪しの本当のところはわからず仕舞いです。
さて、ここまでがザッとしたフィアットCセグメントハッチの振り返りでした。(意外と長くなった…)
ということで、ようやく新型、今回のジュネーブショーで初お披露目となった新型ティーポが、フィアットCセグハッチの復権を掛けての登場となったのです。
しかしフィアット、スモールカーの金字塔500シリーズや、マツダから得た魅力満載の124スパイダーなどの”遊び心系”はあんなに素晴らしいのに、新型ティーポはなんだかフツーの雰囲気です。

まとまり感はあるのですが、久々登場の真面目なスタイルに戸惑い、フィアットらしさってなんだっけ?と思わされてしまう出で立ちです。
逆に言うと、イタリアを捨て欧州での勝負に出た、質実剛健ドイツブランドライクな雰囲気に感じたりもします。
2年前の欧州COTYホルダー、プジョー308の戦法、印象にも似ているような…。
まあ、見た目であれこれ想像しててもキリがありません。
リアシートにおけるレッグルームの広さはクラストップだとか、ハッチ部分の収納力も高いとか、特に居住性の面においてはなかなか評価も高いんだとか。
もちろん小排気量のラインナップはライバル同等のスペックだし、ワゴンやセダンモデルのバリエーションも充実です。

ワゴンなんかよーく見ると、意外とカタマリ感あってパッケージング良いかも。
これはもしかしたら、復権もあり得るかも知れません。
それに、アバルト仕様のホットバージョンなんて出たりしたら興味深いかも!なんて期待もしてしまいます。
日本に正規導入されることはほぼないのかと思いますが、イタリア発の新型大衆車はどこまで欧州で受け入れられるのか、少し気になるクルマです。
(と共に、改めて初代ティーポが欲しくなりましたとさ)