百聞は一見にしかず、今年は昨年あまり出来なかった他車試乗をもっと意欲的にやってみようと、先月書いたブログ"試したいのが試しドキ"で宣言したように、早速ですが気になっていた既発車種を試してみることにします。
その今年初のお試しがこちら、昨年登場したBMW1シリーズです。
BMWといえば、我がクルマ生活のオリジンともいえるくらい、長きにわたりパートナーとしていたブランド。
所有してきた3シリーズをはじめ、大型車種やスーパースポーツ以外の乗用車系は大抵試し乗りしてきた経験あれど、一昨年よりメインユースにフランス車を選択して以来、なかなか疎遠になっていた存在。
しかし久々に試したBMWはさすがの安心感というか、まずはクルマの出来云々とは違う、はるかに体に染み付いた慣れと言うものを感じたのです。
さて、今回の1シリーズは、シリーズ初のFFモデルとしてのリリースとなりました。
ミニで培った技術と、先行モデルとなった2シリーズアクティブツアラーの経験が生きた、FF-BMWの新提案という感じなんでしょうか。
メディアをチラ見しても、悪い事はあまり書いていない(むしろFFを感じさせない秀逸さとの評価のほうが多いのでは?)気がします。
ただ"BMWと言えば"というブランドイメージがあるファンは未だ世界中に多いようで、その固定観念を打ち破った事が全てに吉となっていることを証明するモデルなんだと思われ、それだけに作りも走りも納得させてくれるはずと期待をしてしまいます。
(ちなみにBMWとしては、自らの歴史上で"我々はFFを作らない"なんてひと言も言ってないもん!と談話しているようですね)
そんな1シリーズ、今回試したのは118iのMスポーツ。
見た目にとってもアスリート的かつエッジが効いていて好きなタイプです。
FF化してロングノーズがなくなったことがかえって塊感を出してくれていて、実際に見るとよくまとまっていてますます好きなタイプになりました。
まあ、悪くいうとフツーのCセグハッチのスタイリングかつBMWらしさが失われたとなるんでしょうけどね。
そして、写真では目障りなくらいに肥大化してしまったキドニーグリルは見る角度により、そしてボディカラーにより印象は変わり、デザインとして受容できる面と、やっぱりカッコ悪い…と思ってしまう優劣に迷う存在。
まあ確実に言えるのは、見た目なんて慣れなんでしょうね。
一方で内装は上位車種からの統一性を持ったデザインの方向性にて、初めてなのに初めてではないような感覚。
先代モデルや私が所有していたF30型とはもちろん違うけど、正常進化系なだけに違和感なしという、BMW経験者の感覚ならではの印象なのかも知れません。
さていよいよ走らせてみます。
まず着座してみると、Mスポーツのホールド性高いシートのせいかガッチリ守られた感じ。
実はマイピカソのシートもMPVの割にはランバーサポート力の強い形状をしていて、コーナリングでもカチッとしたポジショニングが維持できる優れものだと思っておりますが、この新型1シリーズしかもMスポシートはさすがのスポーティ仕様だけに更にカチッと体がハマる感覚。
またセンターコンソール含むインパネの囲まれ感、そして車内空間全体のコンパクトさも相まって、随分とタイト感があります。
(単にピカソというゆるーいMPVに乗っているせいでこのタイト感を忘れてしまっているだけなのかもしれませんが)
最新型の機能はほぼ網羅した装備は申し分なく、とても"電子感"が濃くなったなぁ…と感じてしまいますが、殆ど3シリーズと似たような装備がコンパクトクラスでも享受できると思うと、かなりバリューが高いのではと感じます。
走り出してみると、気にしていたFFらしさは街乗りではほぼ違和感ありません。
これは私自身現在FFモデルを普段から運転しているから?とは思いますが、そのピカソに比べると格段にFFらしさが消されていて、コーナリングは試乗車に装着されたMスポーツサスペンション、それから"ファストトラックパッケージ"という特別装備によるパワフルなブレーキとの相性もありとても安定して意のままに曲がります。
しかし、FRだった旧モデルとクローズドコースで乗り比べすると、素人でもわかるくらい明らかに旧モデルのほうが安定したコーナリングができるんだとか…。
そのあたりはどう乗るか、あるいは拘るかによって評価が分かれるんでしょうね。
そうそう、走りと言えばひとつ物足りない事が。
それは、エンジンのもたらす推進力です。
トルク値がどうこうという定量的な評価は不明ながら、感覚値として出足の加速が重く、ノロノロしています。
これが1.5L3気筒の実力なのか、それとも私がアクセレーションに遠慮しているのか…いずれにせよ、Mスポーツモデルの見た目、そして内部のタイトな雰囲気に対してアンマッチな気がして仕方ありません。
そうなると期待はトルクフルなディーゼルモデルの導入ですが、果たして今回の新型はそれがあるのでしょうか?
さて私が今回1シリーズを試乗したのにはひとつ理由があります。
それは、来る待望の2シリーズグランクーペへの予行演習をしておきたかったのです。
今回試乗した2月初旬にはまだ店頭に配車されていないグランクーペですが、下旬には発売とのことでもしかしたらもう今はDLRに並んでいるのかもしれません。
(私はもうとっくに販売されているものかと思ってました…)
セールスコンサルタント曰く、グランクーペは売れ筋になるという予想が立つと期待をしているんだとか。
やはり大きくなってしまった(そして高価になった?)3シリーズから流れてきそうなお客様は多いとの予想を立てているようで、1シリーズと3シリーズの間を埋めるジャストサイズの存在は既に問合せが多数寄せられているとのことなんです。
かく言う私もそのクチで、1シリーズは今のライフスタイルにはちょっと物足りず(クルマは良いけどスペース的に…)、我が家のニーズを補完するという意味では全長が長くその分がリアの配分(リア席とトランクスペース)に割かれているグランクーペはとてもバリューがあるように思えるのです。
そんなことで、現車確認や試乗ができる暁にはこの想定を確かめに行きたいと思います。
…ということで、最後は2シリーズの話になってしまいましたが、今回試した1シリーズは最新BMWのバリューを体感させてくれるものでありながらも、見た目や機能や足回りの好みや、FRかFFかなんてことよりも、エンジンフィールって大事だなぁと感じさせてくれたものでした。
そのあたりは、次回いつしかの2シリーズグランクーペ体験で改めて確かめてみたいと思います。