間もなく2021年も終わるというこの時期に、何となく電動化がザワザワとしてきた感があるのは、やはりトヨタの大記者会見があったからでしょうか。
あのパフォーマンス先行型の"EVあります"宣言は、素直に"おお!"と歓迎した消費者はあまりいないのではないかと思うくらい、まだまだ儚い現実が読み取れてしまったりするのですが(メディアも豊田社長のプレゼンは讃えるものの、中身はあまり騒がず冷静なような…)、もしBZシリーズが矢継ぎ早にラインナップしたら、その時に"宣言"を讃えてみようかと思ったりします。
それにしても、あのパフォーマンスは豊田社長が仲良しのマツコデラックスにアドバイスを受けてのものだということや、並んだスタディモデルは当然ほぼモックにて、1台あたり2億円かかってるということだったりと、巨大企業は余裕を感じますね。
さてそんなトヨタを脇目に、偶然なのかEV訴求をイベントという形で披露したのが日産の"Nissan Futures"です。
横浜のGHQギャラリーでのリアル展示、あるいはオンラインでのバーチャルツアーというイマドキの手段にて披露したのは今の日産が送る電動化ワールド。
メインはもちろんホットなアリヤ、そしてリーフとe-Powerの面々たち。
それにコンセプトカーや海外販売車種が加わり、ちょっとしたモーターショーのようなラインナップはなかなか見応えありました。
私は直接見てみたいモデルもあり、横浜へと足を運び生鑑賞してきたのですが、そこはリアリティ溢れる電動化ワールドだったのです。
(ご存じ私わんどらは日産贔屓でありますので、以降の文面にて偏りありますことご了承ください(笑))
まずメインステージに据えるはアリヤとコンセプトカーのチルアウトです。
何故にチルアウトという名前なんだろうとちょっと気になりますが、日産EVの提供する空間作りを示しているネーミングとしては相応しいものなんだと感じます。
そして日産の放つ近未来のコンセプトカーたちは実物もモックもないけれど、バーチャルの世界で出会う事ができます。
このブームカメラを備えた大型のセットは、AR上で実物大のコンセプトカーに出会える事ができるアトラクション。
希望者はステージに立ち、ARにて登場するモデルと共に15秒間の動画を撮影し、その動画をプレゼントしてもらえるというもの。
恥ずかしながら、私試してみました。
静止画ではないので自由に動いてくださいね!とインストラクターに指示されて、カメラ目線で手を振ったりとやってみると、仕上がったAR動画はなかなか面白いものに。
これは良い記念品ですね。
(上記画像は自身の映像のスクショです(笑))
さて日産のリアルな電動化世界は、何億円もかけてモックを並べるどこぞの会見パフォーマンスよりもより現実的で、親近感のあるものでした。
気になるクルマは…ほぼ全部!という、見ていて飽きないラインナップを一挙におさらいしてみると…。
まずはアリヤ。
最もホットなEVは流石に今回のイベントの主人公です。
その先進のデザインや電動化機能は、日産の新しいスタンダードになっていくのでしょうね。
次にこちら、来年には市販化と言われる軽自動車規格のEVモデルです。
見た感じこちらは一昨年のモーターショーに登場したモデルと変わらないようですが、まさかこのまま市販化はさすがにないですよね…?
具体的な走行性能はわからないのですが、もしシティカーとして使い勝手良い性能と価格を備えることができたら、それは素晴らしい普及モデルになるのかと思います。
さて次からは海外モデル。
厳密には電動化戦略なのかどうかわかりませんが、これもNissan Futuresのテーマ展示のようです。
いやむしろ私わんどら的にはこれらのモデルにすっかり魅了されてしまいました!
こちらはインフィニティから、QX55です。
こんなカッコいいクーペSUVが日産にあったとは、全く知りませんでした!
これはこの手のデザインがお得意のアウディも凌ぐスタイルの良さ。
そういや来年早々に親戚ルノーからはアルカラというクーペSUV(しかもe-Techモデル)が登場すると予告もされていますし、こちらのインフィニティもぜひ売っちゃえ、日産!
(フロントグリルのオラオラ感も日本のマーケットにピッタリですよー)
続いてインフィニティからは大型SUVのQX60も展示されていました。
こちらは前者に比べると大人の雰囲気ですが、3列シートのSUVはどっしりとした安定感があります。
インフィニティのデザインはジャーマン3やレクサスに引けを取らないセンスの良さがあり、アメリカ市場はこんな選択肢があるなんて羨ましいですね。
さて続けて日産ブランド。
新型エクストレイルです。
アメリカ、中国など各国にて導入されていく中、日本でも次期モデルとしてメディアが書き立てるも、当の日産自身からは何のアナウンスもなく、じらされ続けている感がある1台。
今回の展示は暗黙のティーザーと捉えて良いのでしょうか…。
現行型に比べて若干シティSUVの方向に振られた感あるデザインは、RAV4やカローラクロスの購入意向層の心を揺さぶる魅力があるのではないでしょうか。
お隣はシルフィ、中国専用モデルです。
今や国内のセダン系モデルはスカイラインかシーマかフーガしかないという状況において、この手の手軽なサイズのセダンがお隣の国にあるなら導入しない手はないのでは?
スタイリッシュだし、e-Powerだし、旧モデル保有セダン意向層の受皿、あるいはカローライーターとして充分すぎる選択肢になると思うのですが。
さてお次は欧州専用モデル、キャシュカイです。
個人的には実はこちらが見たいと思って横浜に来たと言っても過言ではないくらい期待していたクルマでして、実際に目の当たりにすると、その期待通りのサイズ感とスタイリングにて、じっくりと観察してしまいました。
今に繋がる世界的なコンパクトSUVの火付け役は、欧州にて常に販売トップ10にランクインされる人気車種として、欧州日産を支える存在でした。
この3代目モデルを見ると、デュアリスとして日本でも売られていた頃のあの軽快感がしっかりと残っていて、今となっては"エクストレイルと被る"と国内導入が避けられた理由がイマイチ腑に落ちません。
(まあ今はキックスがその役割を担っていますが)
こちら展示車は左ハンドルのマイルドHV仕様でしたが、間もなくe-Powerモデルも登場するとの事で、ぜひ欧州No.1 SUVに返り咲いて欲しいものです。
さて展示車はまだまだあります。
国内販売中の現行型電動車たちはもちろん(ノートオーラNISMOカッコいい)、
ヒストリックな電動車たち、
アリヤシングルシーターコンセプトやフォーミュラEマシン、リーフRCなどのレーシングカー
などなど、全館に渡り電動車尽くし。
現行モデルは試乗体験もできたようで、時間があればオーラNISMOを試してみたかったなぁ。
展示テーマである"Futures"を十分体感できたイベントにすっかり満足した私わんどら。
個人的にはアリヤやチルアウトが示す電動化の"未来"よりも、QX55やキャシュカイという"違う世界にある今"に魅了されてしまった感はありますが(笑)、しかしさらなる日産ファンになった事は間違いなく…横浜生まれかつ神奈川の日産のある街で育ち、チェリーからシーマまで父の日産車で幼き時を過ごし、自身の初めての所有も日産車、という"原体験"に今回の"未来"が加わり、もしかしたらまたいつか日産車に戻る時が来るのかも、なんて意識してしまうのでした。