
ちょっと古いけど、ちょっと気になっていたクルマをあえてピックアップしてみるこのシリーズ。
これまではBMW5シリーズ(E28)、アウディ100(C3)、プジョー505、ローバー800、シトロエンBX、ルノー21、日産プリメーラ、サーブ900、アルファロメオ145、ルノー19、そしてメルセデス(W/S123)と、今見てもいいなあと思えるわんどら的素敵なクルマたちをチョイスしてきました。
そして今回の第12弾は、ずっとやってみたかった90年代BTCCモデルをピックアップします。
今も見そうで見ないようなフツーのクルマがレーシングカーとして活躍していた姿を一気に書いてみたいと思います(長いので2回に分けてお届け)。
90年代…時が経つのは早いもので、あっという間に20年前以上の出来事となってしまいました。
そんな若かりし時代、私がハマっていた自動車レースがこちらのBTCC、British Touring Car Championshipです。
当時のFIA認定ツーリングカークラスII規定である2Lまでのエンジン、4ドア以上の乗用車というルールのもと、各国で選手権が盛んになり、箱車レースとしてはドイツDTMと並んで特に欧州で人気のあったレースです。
日本でも規定に沿ったJTCCが開催され、フツーのお父さんクルマがレースをしていたのでした。
今で言うTCRの前身と言えるのかと思います。
(TCRについては3月に書いた"さあ、レースシーズンが始まるよ"をご覧くださいませ)
私が当時BTCCにハマったのは、そのツーリングカーレースの中でも最も参戦メイクが多く、殆ど性能差のない多種多様なフツーのクルマがまるでオートバイレースのようなサイドバイサイドの戦いを行うシーンがエキサイティングに感じていたから。
また、そのフツーのクルマも超カッコいいレーシングカーに仕上げられていて(まあ、なんでも車高下げて大径ホイールつければそれっぽくなるのですが)、とても親しみが持てたのです。
この90年代のツーリングカー規定によるBTCCは、1993年から98年あたりまでが最盛期(わんどら解釈)にて、メーカーワークスやF1チームによる参戦があったりと、ひじょうに魅力的な要素が詰まっていました。
そんな時代のBTCCを切り取って、かっこ良きフツーのクルマを見ていきましょう。
1:Vauxhall Cavalier GSi 参戦期間:1990-95
*95年総合優勝

キャバリエはオペルベクトラの英国名。
当時日本では確かヤナセがオペルを扱っていて、このクルマもかなりメジャーな存在だったと記憶します。
→Vauxhall Vectra 16v 参戦期間:1996-2000

モデルチェンジ後も引き続き参戦。
名前はこのモデルからグローバル共通のベクトラに。日本でもJTCCにほんの一時期参戦していたような記憶もあります。
ドイツDTMにてカリブラという2ドアクーペか身に纏ったイメージの強い黄色いワークスカラーが似合います。
2:Toyota Carina E 参戦期間:1993-95

日本ではコロナという超オトーサンのクルマでしたが、カリーナEとか名前がついてると途端に欧州車っぽくなると思うのは私だけでしょうか。
BTCCではトヨタGBチームにより、鮮やかなターコイズカラーの車体がカッコいい雰囲気でした。
こちらもJTCC参戦車種にて、ルマンウィナーの関谷正徳により初年度の優勝を得ていました。
私、当時の最終戦インターTECを富士スピードウェイに見に行った記憶があります。
最終レースまでもつれた優勝争い、私自身はBMWチームシュニッツァーを応援していたのですが、コロナごとき(失礼)に負けて悔しい思いをした覚えがあります(実にエキサイティングなレースでした)。
あとこちらのコロナ、会社の業務用車だったのですが、無謀にも富士スピードウェイに持ち込んで走行会に参加したことがあります。
だって、ツーリングカーマシンですよ!
しかし走ってみると挙動はグラグラだしブレーキ効かないしの散々な感じでした。
そりゃそうですよね…笑
さて話を戻して、BTCCです。
3:Nissan Primera eGT 参戦期間:1991-94

日産の欧州戦略車P10型プリメーラにおいて、スポーティなイメージを伴うブランド認知は必須にて、きっとBTCCはマーケティングに有効な手段だったのでしょう。
確かにBTCCが成功したのは、興行的にメディアを活用して人気スポーツへと成長させたからと言われています。
見飽きないように1日で2回行う超スプリントなレースは常に接戦だし、テレビ(しかも確かBBC)も人気のMCを起用しての中継がエキサイティング。
さらに実車&実コースで遊べるプレイステーションソフトになったりと、メディアを活用して英国のクルマ好きを虜にしたのです。
そんなアピールもひと押しし、このプリメーラは英国で人気の車種となっています。
もちろん、地元生産車という親しみもあるのかと思います。
こちらもJTCCに参戦してましたが、JTCC参戦初年度のクルマはこちらのBTCCから持ってきたとのこと。
当時の日産の国内スター選手がこぞって参戦しましたけど、結局数年間のシリーズ通して総合優勝には届かなかったモデルです。
→Nissan Primera 参戦期間:1997-99
*99年総合優勝

日産は94年に一旦は撤退した後、97年からP11型に進化して再び参戦します。
(この頃日本では逆に撤退してしまいます)
そして、戦闘力を身につけたプリメーラは99年、遂に総合優勝します。
プリメーラを生んだ英国にて凱旋優勝、なんて素晴らしいことでしょう。
このクラス規定に関わらず、英国ツーリングカー選手権の歴史の中で、日本車が優勝できることを示した好事例なんだと思います。
4:Peugeot 405 Mi16 参戦期間:1992-95

直線基調の伸びやかなデザインのセダンも、こうしてレーシングカーに仕立て上げられるとよりキリリとした出で立ちになります。
日本でも販売されていたモデルだけに、当時は見かけるたび"お、BTCCマシン"と目で追ってしまっていました。
→Peugeot 406 参戦期間:1996-98

プジョーはモデルチェンジした406を引き続き各国のツーリングカー選手権に参戦させます。
この後、2000年代には新カテゴリーWTCCが始まりますが、そこにも407で参戦するなど、プジョーは意外にもツーリングカーレースに積極的でした。
ちなみにこのレーシングカーの406は、映画TAXiの主役となったクルマのモデルになっています。
カッコいい!
書き始めるとあれこれ長くなってしまいましたが、フツーのクルマをベースとしたBTCCの勇者たちはまだまだいます。
ということで、後半に続く…。