
本や映画、広告などに登場する気になるクルマをピックアップして、あれこれ書いてみようというこのブログシリーズ。
これまで見た本や映画、広告には沢山の気になるクルマたちがいるのに、あまり書く機会がなかったものを気ままに書いてみたいと思います。
好きな映画"Letters to Juliet"(邦題:ジュリエットからの手紙)に登場するランチアデルタの素敵さを書いて以来暫くぶりのブログは、"The Italian Job”(邦題:ミニミニ大作戦)について書いてみたいと思います。
クルマを主役にした映画っていつの時代も時折ありますよね。
カーアクションもので有名なのはTAXiのシリーズ、あるいはワイルドスピードシリーズ。
それに007シリーズだってそう、いろいろあります。
そんな中この"ミニミニ大作戦"は、その名作多き60年代の007シリーズと同じ時代に世に放たれたカーアクション映画です。
(後にBMWミニを用いたリメイク版が上映されていますが、そちらは今回は対象外とさせていただきます)
内容的には英国のギャング(泥棒集団)がイタリアに外貨を盗みにクルマで大陸へ乗り込み、トリノの街で一大事を起こすというもの。
それをイタリアの警察とイタリアンマフィアが大陸の威信を掛けて迎え撃つというのですが、逃走に使うコンパクトなミニクーパーが大活躍という、英国贔屓なストーリーになっています。
(それにしても邦題がカッコ悪すぎてかつわかりやすいという秀作ですね(笑))
この映画、主役となるBMC(British Motor Corporation)ミニクーパーの勇姿はもちろんですが、その時代(60年台後半)を彩るクルマ(もちろん構図は英国車対イタリア車)が沢山登場して、欧州車好きにはたまらないのです。
ということで、今回はこの映画に登場するクルマたちを、なるべく細かくチェックしていきたいと思います。
(目指せコンプリートです)
まず映画の冒頭に登場するのが、なんとランボルギーニミウラです。

このクルマから"スーパーカー"という愛称は始まったと言われる名車が、マットモンローの名曲"On Days Like These”にのってアルプスの峠を駆け抜けるのが最高に優雅でかっこいい。
(映画はこの冒頭から悲劇が始まりますが…)
そのミウラを手荒な歓迎するのが、イタリアンマフィアの集団。
彼らが乗る黒塗りのクーペが、フィアットディーノです。
綺麗なボディラインはベルトーネの作品。

どことなくいすゞ117クーペにも似た雰囲気があります。
さてお次は場面変わり、場所はロンドン。
60年代英国車オンパレードです。
まず出てきたのはこちら、ダイムラーコンクエストです。

今回調べてみるまでその車種はわからなかったのですが、50年代の上品な雰囲気ある英国車なんですね。
パキスタン大使館の車を盗難して送迎に使うという何とも笑えるシーンに登場します。
そしてその乗り捨てられた盗難車を調べる警察官の乗るパトカーがこちら、フォードアングリアです。

このクリフカットの素晴らしいデザインのコンパクトカーは、英国フォードの誇るミニのライバルにて、現在のフィエスタのご先祖様にあたるクルマです。
かっこいい!
映画は場面変わり、今回のイタリアへの外貨獲得(泥棒ですが…)の命を受けた主人公チャーリー(名優マイケルケイン扮する)が与えられたクルマがこちらのアストンマーティンDB5(しかもコンバーチブル)です。

DB5はあの007シリーズのボンドカーとしても有名ですが、こちらの映画にもちゃんと登場します。
いやー、実に美しく、かっこいい!
私、この映画に登場するシルバーボディに赤い内装のDB5に憧れて、かつて所有したBMW318iクーペ(E46型)も同じようにシルバーボディ×赤レザー内装というBMW Indivisualオーダーをしたこともありましたっけ…。
ところで映画ではこのクルマを先頭にアルプスを抜けてイタリアに向かうのですが、またまたここでイタリアンマフィアに行手を阻まれ、このDB5は悲劇を迎えます。
そのシーンはああ勿体ない…と思うに違いありません。
そしてその大陸行きの一行として、DB5と併走する仲間のクルマがこれまたゴージャスなジャガーEタイプです。

劇中はクーペとコンバーチブルの2種が登場しますが、このロングノーズの"流線型"スタイルはかっこいいですね。
さて、映画はトリノの街を舞台にしていて、しかも当時から社会問題とされていた自動車による渋滞をストーリーのポイントして展開されていきます。
それだけに劇中はエキストラとも言える60年代のフツーのイタリア車が山ほど登場します。

コンプリートを目指すもの、それらのクルマたちをピックアップしてみると…
まさに60年代イタリア大衆車の代表格、フィアットNuova500

そしてワゴンモデルのジャルディニエラ

スタンダードなファミリーカー、フィアット1100R
そしてフィアット1300

さらにお洒落3ドアハッチのアウトビアンキプリムラ

まだまだスクリーンの中には掘り出し物がたくさんで、見応えあること間違いありません。
そんな中で大活躍?の名車がこちら、アルファロメオジュリアスーパーです。

主役である英国からの強盗団が駆るミニクーパーを追いかけるパトカーとして、何台も登場します。
ジュリアスーパー、現代のジュリア(偶然なのか、最近"スーパー"というグレードが登場したとか)に通じる元祖スポーツセダンのカッコよさがあります。
さてマニアックな1台を。
映画にはライトトラックなどの商用車もいくつか登場しますが、露出の多いのがこちら、強盗団の仲間が逃走に使用するフォードテムズ400Eバンです。

正直この時代のLCVなんて殆ど知らなかったのですが、おそらく英国車だろうと時代考証を進めるうちにこのモデルへとたどり着きました。
この手の調べものって楽しいですね。
さてさて、ラストは忘れていました映画の主役、ミニクーパーです。

赤、青、白の3台のBMCミニは、マーク1と呼ばれる初期のクーパーにて、映画が製作された時代は丁度モンテカルロラリーの連勝など、見た目に依らないスポーティ性能で世界を魅了していた頃。
映画はそのミニクーパーの長所全てを引き出した走りをたっぷりと堪能できます。
自身、このクラシックミニを3台乗り継いだ経験がありますが、この映画に登場するミニの走りに魅了され、また憧れたものでした。
さて、いかがでしたでしょうか。
そのタイトルからしてミニクーパーのみにクローズアップされがちですが、実は脇役(クルマ)こそが素晴らしい、ミニマニアのみならず欧州車好きにはたまらない映画です。
ちなみにキャスティングは英国映画の大スターてあるマイケルケイン、音楽監修はクインシージョーンズと、クルマ以外も最高にカッコいいんです。
まだご覧になってない方はぜひ!