
あれこれ気になるって言ってばかりいないで、"試してみたら"の試乗体験、今年になっての第2弾は、先日のF40型1シリーズの試乗時に合わせて体験した3シリーズツーリングです。
いきなり話はそれますが、この試乗という行為はクルマを販売するプロセスにおいてとても重要なものと位置付けられています。
営業活動的には試乗と見積、査定が揃ったお客様は"見込み(Hot)客"として管理され、あとひと押しで購入に繋げられるという見極めをします。
ところが最近の社会問題となっている新型ウィルスの影響により、その試乗がリスクという向きがあり、メーカーはDLR以外でのイベント展示試乗(商業施設などで行う不特定多数向けの試乗会)を自粛するという動きにあるようです。
果たしてその営業活動のキーイベントのひとつである試乗をDLRのレベルではどう捉えていくのかは、これからの動きとして注目すべきことなんでしょうけど、拡大リスクを抑えるという自粛行為はしばらく続くのかもしれません。
まあDLRの場合はイベントとは違い、室内清掃や除菌などの準備が取れる分、心配無用なのかもですが…。
しかしイマドキは試乗せずともネットでクルマが買える時代ですし、買い方が一気にデジタルシフトする機会なのかもしれませんね。
(昨年秋に発売されたシトロエンベルランゴ(ファーストエディション)はWebだけで120台をたったの5時間で売り切ったというし、それ以前にシビックタイプRも数時間で完売という事例もあるだけに…)
あ、それた話が長くなり過ぎましたが今回の本題。
今回試してみたのは、昨年発売された新型3シリーズのワゴンモデル、ツーリングです。
試してみたかった理由は、E36型から4世代の3シリーズを乗換所有し続けた元BMW乗りとしてその進化を確かめたかったこと、そして次期代替候補に3シリーズ回帰はありか?ということ。
セダンではなくツーリングというのは、まさに私のライフスタイルにマッチしたボディスタイルと想定してのことです。
今回のG20型3シリーズのファーストインプレッションは、あらら大きくなったなぁということ。
四方に数センチ数ミリというレベルかもしれませんが、それが塊になると大きく見えて、車格感が上がったことをイメージさせます。
しかし私的には、セダンはその大きさの変化が分かり易いよう受け止めつつも、ツーリングは荷室部分がストレッチされていること踏まえると、その大きさも合理的なのではと考えていました。
そして実際に見て触れてみると、予想通り、大きさは意識するほどではないという印象を持ったのです。
むしろ旧型F31型に比べて伸びやかでエッジの効いたデザインはよりスポーティでスタイリッシュに感じます。
さて乗り込むと、まず感じたのは"そうそう、これが欲しい居心地ですよ"というもの。
1シリーズ体験にて室内のタイトさを感じていて、それに比べて開放的であることが起因している気がしつつも、どことなく慣れた空間サイズであることを感じます。
そして操作部がスッキリと配置されている真新しい意匠のインパネは、感覚的にスッと触れることができる好印象を抱きました。
これらは元オーナーとしてのBMW慣れが身についているのかもしれません。
装備こそ細かな最新機能は初体験も多かったものの(例えばiDriveモニターを手の動きだけで操作するなど…これって要るの?(笑))、概ね感覚で操作理解できてしまうのは工業製品的に良い製品なんだと感じました。
ただ、この新型の特徴である最新の機能装備たちの多くに感じたのは、前述のジェスチャーや音声による操作が加わったインフォテイメント機能をはじめ、実際に所有することになったら関心を持って操作しないと、宝の持ち腐れとなってしまいそうな気がします。

それにしても、こちらの試乗車はインテリアにタンカラーのシートが奢られていて、大人のカッコいい雰囲気が色濃く漂いますね。
さて、走り出すことにします。
今回試乗したのは320d(xDrive) Mスポーツ、ディーゼルモデルを試してみたいという意向による選択です。
走り出して感じたのは、やはり下からの力強さは頼り甲斐があるということ、そして楽しいということ。
ハイパワーである必要はないけど、実用域でいかに欲しい推進力を得られるかといえば、このBMWの4気筒ディーゼルエンジンは最適です。
また、試乗したモデルはMスポーツサスペンションに加え、ファストトラックパッケージと呼ばれるオプションの19インチホイールにMパフォーマンスの大径ブレーキとかなりスポーティ寄りのセットとなっていましたが、それらは攻め過ぎ感がなく、程よいキビキビ感を与えてくれます。
そんな装備機能を含め、一般道における走る曲がる止まるにおいては思わずニコニコと表情が緩んでしまうような楽しさを感じると共に、自身が所有していたF30型320dとの大きな差異は感じられず(とは言え手放してから随分と時が経つだけにおぼろげな記憶に過ぎずですが…強いて言うなら低速時の取り回しの感覚が少し違う気が…)、ブランドの一貫性を感じ取れるものでした。
こんな感じに、正直個人的な過去所有のノスタルジックな感覚を最新型に重ね合わせるだけの、極めて主観的なインプレッションとなってしまってしまいましたが(まあ"個人の感想"ということでお許しいただきたいということで…)、3シリーズっていいクルマなんだなとつくづく感心しきりとなりました。
で、では自分のクルマ選びにこのツーリングが筆頭の次期候補となったのかと言えば…実はそうではありません。
この申し分なき新型車のポテンシャルは大歓迎ですが、前述の通り、旧モデルF30型(要するに自身が所有していたモデル)に近しいドライブフィールを感じてしまっただけに、次期候補にはF31型(旧型のツーリング)

あるいはF36型(4シリーズグランクーペ)

でいいじゃん!と気持ちは動いてしまったのです。
中古車相場は高年式でもこなれた感じになってきたF30車系のバリューは高く、またツーリングあるいはグランクーペであれば今のライフスタイルニーズにもピッタリという想いを持ちつつ、シズル感たっぷりの新型を横目にDLRから退散したのでした。
マイピカソを運転して帰途に着きながらふと思い起こすと…このピカソ(初代)を購入する時も2代目現行型と乗り比べして、敢えてこの旧モデルを選んだんだっけ…と。
新しいのがいいのはよくわかるけど、自分の想いにシンクロするのって新しいものだけではないよね、としみじみ感じるのでした。