
今春にコンセプトモデルが登場し、スモールSUV化をほのめかせていた欧州専用シティカー、アイゴ。
いよいよそれが現実のもの、Xの名前を冠して姿を現わしました。
コンセプトモデル"プロローグ"の登場時は、思い切り遊び心のあるスタイリングに加え、フロントグリルレスの出立ちに"EV車ではないか?"なんて報じられ方もしていましたが、そのあたりはしっかり現実味ある方向にアジャストされて、フツーにトヨタお約束の1.0L-3気筒エンジンの搭載にてお披露目となりました(まあわかっていたことですが…)。
さてアイゴと言えば、チェコにある工場で生産されているモデルにて、かつてはTPCAというプジョー、シトロエンとの共同開発生産を行うアライアンスのもとに販売されていました。
シトロエンはC1、プジョーは107-108と2世代に渡り3兄弟を継続させてきましたが、この3世代目からは、プジョー、シトロエンとのチェコでの合弁解消によるトヨタ単独でのシティカー開発製造となっての、今回の新型登場となったのです。
(ちなみに、その提携解消と共にプジョー、シトロエンはAセグメントからの撤退を発表しています。但し、新たに組んだFCAにはシティカーのトップランカー、フィアット500がありますからね、そのアセットは活用されていくかもしれませんね)
さてトヨタオリジナルとなった新型クロスオーバーは、コンセプト版で驚かされたデザインは丸く収まり(順当)、現実感あるまとまったスタイリングで登場しました。

しかもアクティブな雰囲気を残しているあたりは、なかなかユニークなデザインなのかと思います。
何となく、兄貴分の現行型ヤリスをぎゅっと詰めた雰囲気は、個人的には嫌いじゃないスタイルです。
いや正直言うと、何もクロスオーバー風に加飾しなくてもいいから、このスタイリングを持ったベーシックなシティカーでも良かったのでは?なんて思ってしまいますが、そんなベーシックな方向でのクルマはVW up!3兄弟やルノートゥインゴ、そして最近デザインも洗練されてきたキアピカントなどに任せて、こちらアイゴはZ世代に遊んでもらえばそれでいいという割り切り(常にオールターゲットの国内トヨタとは大違い笑)にて、この"X"化に振り切ったのかと想像します。
(シティカー×クロスオーバーの商品化は既にVW up!やフィアットパンダが実現済みですけどね)
さて日本では馴染みのないモデル、アイゴのモデル変遷を改めて振り返ってみます。
まずは初代モデル。

チェコにて設立されたTPCA初のモデル、アイゴ、C1、107は外観はそれぞれのデザインを持ちながらも、内装デザイン、エンジンはトヨタのものが共通で採用されたのです。
こちらは私わんどらが所有していたモデルでもあり、アイシン製のMMTという2ペダルMTで非力なモデルを引っ張りながらドライブするのが楽しくて、今でも探して乗りたいと思うくらいの思い出があるクルマでした。
2代目はまたまた内装とエンジンは共用ながらも、外観はさらに各メイクの個性が現れたものとなりました。

目が丸く可愛らしいC1、スポーティな108とは異なり、アイゴは"マンガデザイン"と言われるコンセプトで登場しました。
フロントにパネルの組み合わせで"X"の文字を描いた印象的な表情は、歌舞伎の隈取りにも見える、とにかくジャパニーズテイストを醸し出したもの。
正直私には受け入れ難かったのですが、欧州ではそこそこ好評なデザインだったとも言われます。
ふーん、何をクールと感じるかの思考ってわかりませんね…。
そして今回3代目となるわけですが、こうして並べてみると、なんとなくこの最新モデルは初代に回帰したような気がします。
だからこそ"これはあり"なんて思ってしまったのかもしれません。
さて、プジョー&シトロエンとの提携解消にて呪縛(?)から解放された新型は、ヤリス同様のTNGAプラットフォームを採用しているんだそうです。
私がTNGAがもたらすメリットをどれだけ感じ取れているのかは怪しいものがありつつも、ヤリスの心ウキウキするハンドリングがこのスモールで実現していれば、これはかなり良い感覚を与えてくれるんじゃないかと期待できます。
(だからこそ尚更クロスオーバーでなくて良い気が…)
さらにインテリア写真を見ると、あれあれ随分とコストをかけていそうな…と思えるもの。

私の乗っていた初代はドアなど鉄の外板剥き出しにて、タコメーターはオプション、ナビディスプレイもなく欧州ではオプションでTomTom装着という簡素なもの。
そんな超ベーシックなんてイマドキは売れやしないのかもしれませんが、この新型を見ると、商品企画時点15年以上前という時代の進化は目覚ましいものなんだと実感します。
まあその分価格も上がっているんだろうとは思いつつも、欧州トヨタ曰く"手頃な価格は維持せねばならない"とのことですので、シティカーとして手に取りやすい価格帯で登場するのかと思われます。
欧州トヨタのホームページには既にグレード構成も掲載されていて、ベーシックな位置付けの17インチホイール装着の"Play"と"Pulse"、18インチの"Envy"、そしてさらにいろいろ加飾された専用色"カルダモングリーン"を纏った上位車種"Limited"の4種類があり、さらにそれらにはそれぞれキャンバストップの付いた"Air"というラインナップもあるようです。

グレードが高まるにつれアクティブ要素も増えるという内容ですが、それにしてもAセグシティカーに18インチとは、大胆な時代になったものですね。
そんなユニークなモデルで再び話題を誘う新型アイゴ。
日本には正規導入されないだけに(おそらく並行輸入はあるのでしょうね)、日本車でありつつも国内でお目にかかる機会はなかなかないというモデルではありますが、いつかどこかでお目に掛かれる日を楽しみにしたい、アイゴ乗りOB的にはとっても気になるクルマです。
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Aygo
Posted at
2021/11/10 08:20:02