2013年、私わんどらがこのみんカラを始めた時期に書いたひとつのブログがありました。
それは、小さな古い英国車、"プリンセス"の事を書いたもの。
旧BMC(British Motor Corporation)から発売されていたヴァンデンプラプリンセス、私わんどらにとっては永遠の憧れのクルマです。
そしてその憧れを時々はグッと引き寄せてみたり、あるいは遠くから眺めてみたりしながら、いつかは手に取ってみたいと思っているのであります。
ヴァンデンプラプリンセスは、BMCにおけるコンパクトファミリーカーのクラスに位置付けられるモデルとして、60〜70年代前半にはかなりメジャーな存在だったモデル。

開発呼称はADO16と言われ、量販版としてオースチンやモーリスブランドから、スポーティ版としてMGから、そして小さな高級車として、ライレーケストレルとこのプリンセスがラインナップされていました。
当時のBMC、起業の成り立ちは英国に多数存在していた自動車メーカーを合併吸収して巨大化したブランドですので、それらの各ブランド名での"バッジエンジニアリング"にて多彩なラインナップを持っていたのでした。
まあ70年代中盤から英国自動車産業の雲行きが怪しくなり、BMCはブリティッシュレイランド社に買収、その後国営化の支援を受け、最後にはオースチンローバーとして終焉を迎えるという中で名車たちは淘汰されていくのですが(BMWに分割売却されたり、中国企業がブランドを買収したり…)、その歴史はとても興味深く、それは英国の自動車史だけでなく、経済や社会問題さえも学べる史実を持っています。
これを語りだすと止まらなくなっちゃうのですが…(笑)
そんなBMCの元で誕生したモデルと言えば、あの名車クラシックミニがあまりにも有名なところ。

そのミニの開発呼称はADO15ですので、まさにこちらのADO16シリーズはミニにお兄さん版ということになります。
FF横置きのOHVエンジンにタイヤをボディ四隅に置いたレイアウトはミニの設計者サー・アレック・イシゴニスによるもので、このADO16もミニと同じイシゴニス作のモデルになります。

さらに同じ設計にて、ADO17という1.8Lの上位モデル(今でいうDセグメントになるのですね)もあり、こちらは第二回の欧州カーオブザイヤーを受賞した名車だったりします。

よく見るとどれもコンセプトが似ているのがわかりますよね。
今となっては遠い昔の事、私はクラシックミニに没頭していた時代があります。
18歳で運転免許を取り国産スポーティカーに乗っていた私は、授業を終えて多摩川の河原で暇潰ししていた時に買ってみた"Tipo"という雑誌に描かれたミニに魅了され、そして中古のローバーミニを購入、その後一旦は手放すも、ミニの世界観が忘れ難く再びオースチンミニを入手し、最後には1965年式のモーリスミニトラベラーMk.1という木枠の付いたエステートモデルを所有するという凝りようでした。

(こちらの写真と同型です)
最後に所有したトラベラーは、サブフレームを1990年代モデルのものに換装し、エンジンは1000ccながらもミニクーパーのヘッドやキャブレターに換装したものにするなど、現代の交通事情に見合う走行性能を身につけたのでした。
今考えると随分と散財したのだなぁ…そして、やはり手放したのは惜しかったなぁと思うのです。
そして次に乗るならADO16と心に決めつつ、21世紀も随分と経過してしまっているのであります。
候補はもちろん憧れのヴァンプラではありますが、敢えてのモーリスやオースチンあるいはMGのバッジエンジニアリング車でもいいかもなんて考えます。
モーリスやオースチン、MGブランドであれば、こんな2ドアモデルや、

あるいはこんなエステートモデルもあり、

簡素な仕様ではありながらも英国の日常感が溢れていてこれまた良い感じです。
(日本国内にどれだけ現存するのかはわかりませんが…)
そんなADO16ですが、私は1度だけドライブ体験したことがあります。
それはまだ転職先の名古屋に住んでいた頃に出会った英国車専門店にあった中古車にて、確かモーリス版のモデルだったかと記憶します。

ミニよりも当然重いハンドルに、効かないブレーキと、慎重に試乗した記憶があり、購入するならブレーキのブースターを装備するなど高年式のクラシックミニの部品を移植したいと相談しつつも、購入までには至りませんでした。
(結局ADO16は諦めて小気味よく遊べるアイゴを入手した)
あれから何年も経ってしまいましたが、時々中古車サイトで見かけるヴァンプラ始めとしたADO16を見つけるたびに、そろそろこの手の趣味車にワガママ散財してもいいかなぁ…なんて思いを馳せたりするのです。
ガソリン車が販売される事が許されているうちに、あるいはいつか来る定年の記念になど、一度は所有して愛でたいクルマであることは変わりません。
現状、都心のマンション暮らしにて高額な駐車場代を払いながらマイピカソを維持する一般家庭においては、そんな趣味の世界を堪能するなんて程遠いになっているのですが、いつかは郊外にガレージを持ち、実用車と趣味車を2台持ちしたいなぁ…と考えている私わんどら。
(若き単身の頃、まさにミニに乗っていた時は2台所有していた事もあり、その時の良き記憶が未だ抜けず…)
そしたら例えば普段使いにシトロエンベルランゴや新型プジョー308SW、あるいは新型e-C4とかの電動車を選択しつつ、趣味車にはこのヴァンプラを並べたいなぁとか思い描いているのです(想像しただけでワクワク)。
週末は宮ヶ瀬あたりのワインディングを走ったりしながら、いきつけの専門店でコーヒー飲んでクルマ談義したり、60年代英国車ワールドにどっぷり浸る日々を楽しみたいなと思ったり、夢は膨らみます。
過去にミニトラベラーに乗っていた頃は実際にそんな週末を過ごしていただけに、自身にとっては原点回帰というところなんですが。
(その昔、目黒通りにあった英国車専門店に入り浸り、岩城滉一さんも加入していたクラブに入ってツーリングやレース観戦をしていたのです)
時代も生活環境も変わり、歳も取り、いつの間にかそんな趣味とは疎遠になってしまった自身ですが、今だったら若き頃にハマったこの世界を、もっと余裕を持って臨むことができるんだろうなと思う訳で、そろそろそんなことしたいな…とふと思う時、そろそろヴァンプラだ!なんて考えるのです。
まあ現実はまだ子育て真っ最中にて、週末は子供中心の生活にてクルマの主な使い道は送迎って感じなので、このヴァンプラの登場には程遠いのかもですが…(笑)
しかし!そんな中でも、"プリンセスは私を待っている"と信じて、その英国車に恋焦がれ続けているのであります。