
2019年はコンパクトカーの当たり年とは、先日ピックアップした新生"オペルコルサが気になる!"でも書かせていただきました。
加えて欧州では電気自動車の当たり年(というか、これから先の時代は毎年当たり年なんだろうけど)にて、市場ではアウディe-Tron、ホンダUrban EV、キアニロEV、メルセデスEQC、ミニe、ポルシェタイカン、テスラモデル3、ボルボXC40 EV、VW ID.3、そしてPSAからプジョー208にオペルコルサ、シトロエンDS3クロスバック…などと盛りだくさんの発売(予定含む)がされています。
そもそも欧州ではどんな電気自動車がどのくらい売れているの?と気になって調べてみると…
2018年欧州での電気自動車販売ランキング
1位 日産リーフ 38,740台
2位 ルノーZoe 37,782台
3位 VW e-ゴルフ 21,111台
4位 BMW i3 18,018台
5位 テスラモデルS 17,386台
6位 テスラモデルX 12,108台
7位 ヒュンダイアイオニックEV 9,786台
8位 スマートfor Two Electric Drive 8,703台
9位 キアソウル 6,591台
10位 ジャガーi Pace 6,294台
となっています。
そう、今回ピックアップするZoeは昨年こそリーフに王座を奪われましたが、実は欧州で一番売れている電気自動車なんです。
(ちなみに2017年は販売数2位だったリーフが約16,800台だったのに対しZoeは約3万台、圧倒的人気です)
クリオや日産マイクラと共にフランス国内のルノー工場で製造されている、車格的にはBセグメントに属するコンパクトカーは、電気自動車のエントリーカーとして最適で、さらにはフリート(営業車やカンパニーカー)、あるいはカーシェアリングに使用されるなど、使い勝手のよい存在なんだと思います。
日本では全く馴染みがないので、なかなか想像し難いですが、実際にフランスを歩いてみると、パリでも地方都市でも、カーシェアリング車両なのか、路上パーキングにて充電されているZoeをよく見かけます。
オランダ・アムステルダムで見た時も、EVのカーシェアリングはこちらのZoeかスマートfor Twoが目立っている感じでした。
そんなベストセラーカー、Zoeが発売して7年を経過し、新しくなったとのこと。
俗に言うビッグマイナーチェンジというものでしょうか。
まず外観写真を見ると、現行型と明らかな変化があったのはフロントバンパーのデザインくらい。
もっとデザインを変えて新世代を名乗ればいいじゃんと思いつつも、これまでの7年間、他を追従させずにマーケットを独走していたということは、このデザインへの評価とも言えるのかもしれません。
では何が変わったのか?
それはマイレージに他ありません。
電気自動車にとっての消費者の関心事は、なんといっても1回あたりのフル充電による走行可能距離、それが決め手です。
もちろん、ドライバビリティや信頼性においては機能構造の進化は大きく影響するかと思いますが、消費者は結局、"で、何マイル走れるの?"という感覚なんだと思います。
最近登場したリーフのeプラスは新型のバッテリーモジュールにより従来よりも航続距離が40%以上も伸びたことを売りにし、同時に"ようやく安心して長距離を乗れる"と評されているようですが、この新型Zoeはどうなったのか?
こちらは52kWhのバッテリーを搭載して航続距離は約380kmとのこと。
ちなみに私、これをどう評価すればよいのかはわかりません(笑)
(書いておきながらですが、やはり技術的な評価はイマイチわからない…)
ただ、現行型が41kWhで約300kmということで、セル増設などの工夫により小型ながらキャパシティを増やしたバッテリーユニットにリプレイスしたのはリーフeプラスの考えと同類で、従来からはかなり性能が良くなったと言えるのかと思います。
Zoeが主にシティカーとしての用途であること、都市部でのモビリティサービスに対応したクルマであることを考えると、必要にして十分なスペックなのかもしれません。
インテリアも、特にインパネ周りは大きく変わりました。

なんといってもルノー定番になりつつある縦型のディスプレイが目立ちます。
ルノーの新規インフォテイメントシステムの"イージーコネクト"により、クルマの情報はスマホと連動して機能することができます。
最近はOBDの仕組みにてスマホでの車両管理も珍しくないですが、このルノーのコネクテッドデバイスは、ナビ設定、充電器探し、バッテリー残量管理、室内快適装備の操作などはお手の物とのこと。
このあたりはこれからの当たり前として浸透していくんでしょうね。
さて、単刀直入に申しますと、ルノージャポンさん、このZoeを導入してみませんか?
日本においてもいよいよテスラモデル3が発売開始されて、電気自動車がより身近になる時が到来しています。
(私わんどらは、充電設備もないマンション暮らしながら、実はどうにかして電気自動車をマイカーにできないかを模索中…難しいけど)
そこに、先駆者日産と同じメッセージ"Zero Emission"(ルノーの場合"ZE"と表記)を掲げるルノーがZoeを連れてEVのコンパクトセグメントに打って出るのは、日産との関係性をプラスに受けつつも良いマーケティングストーリーが作れそうな気がします。
それに、このクラスにはホンダからもフォロワーが登場するし、そんな追い風セグメントに欧州ナンバーワンの選択肢があっても良いのではと感じます。
個人的にはこの丸みのあるデザインはかなり好き。
例えインフラや住宅事情で所有はできずとも、このZoeが日本のカーシェアリングに当たり前のように使われるようになったりするといいのになぁなんて思う、とっても気になるクルマです。