
今年上半期の"試してみたら"はなかなか粒揃いのモデル体験ができたなぁと感じています。
最も気に入ったのが、VWゴルフ8。
これまでなかなか乗る機会のなかったゴルフを試してみたら、さすがの世界のベンチマークを感じたというか、乗りやすく、そこそこエキサイティングで、カジュアルだけどマナーがあり、バランスが良い雰囲気を感じるものでした。
であれば、こちらプレミアムな兄弟車はもっと良いのでは?という興味が湧いて、行ってきました本日の試してみたらは、新型アウディA3です。
昨年春のジュネーブショー(中止になったけど)にてデビューしたA3は、ご存知の通りゴルフ8と同じプラットフォームにパワーユニットを積んだまさに兄弟。
(いつだってこの関係はずっと同じなんですよね)
で、今回国内導入したA3はそのうちの1.0LのFF車(30TFSI)と2Lのクワトロ(40TFSI)というラインナップになります。
30とか40とかちょっとわかりにくいグレード名ですが(何を示しているのかわからん)、少なくともFF車の30TFSIのほうはゴルフの1Lモデルと同じということになるのかと思います。
さてそんなA3の外観は、フロント周りが上位車種同様によりワイドなグリルとなってカッコよくまとまっています。
そしてルーフには何故かレールが…。
これは今流行りのクロスオーバー系を意識しているのでしょうか、個人的には"いらない"装備(このA3においては、という意味)だと感じています。
昔マツダファミリア(多分アクセラになる前の最終モデル)に"Sワゴン"とか言うモデルがあったこと記憶します。

本来欧州で販売されていたファミリア(欧州名:マツダ323F)は同モデルを"Cセグハッチバック"として売っていたものを、日本では当時のワゴンブームに乗っかって"これはワゴンです"とルーフレールを装備していた事を思い出します。
A3にそれと同じものを感じてしまった私は、スポーツグレードS3のスッキリとした屋根と見比べては、やはりA3にはコレいらない、と感じたのでした。
(よく調べてみたら、本国では先代にもルーフレールありのモデルがあり、このワゴン風加飾こそが"スポーツバック"たる所以との事がわかったのですが…。)
早速乗り込みます。
アウディらしい先進的な雰囲気は、そのインパネのスッと伸びた造形やデジタルメーター内のインタラクティブディスプレイで十分感じられます。

ただ私はこの個性を光らせるための小技、特にこのD席側のエアコン吹き出し口…はイマイチ好きになれません。
なんか邪魔。(運転に支障あるわけではないけど)
ゴルフと違ってエアコン操作ボタンなどは"あえて触れ心地のある物理スイッチにしたという機能は、例えばご年配の方に対してやブラインドタッチをする人にはなかなか良い細かい心遣いですが、個人的にはゴルフの徹底的にシンプルになったインパネのほうが好みではあります。
ドライブしてみると、低速域からスムーズに走ってくれるのは申し分なく、あ、自然に体得できるねと思わせてくれる推進力を感じます。
但しそれは街中でも速度を30-40km/h程度で走る時の感覚。
それから少しスピードを上げる、あるいは信号待ちから一気に加速する際には、どことなくもっさり感があるのです。
なんだろう、"マイルド"という言葉で表すとポジティブですが、全く感動に至らなかったのです。
ゴルフの加速感やドライバビリティにえらく感動した記憶がまだ鮮明に残っているだけに、これは肩透かしを食らった感じ。
で、よく考えてみたら、私が試乗したゴルフは"R-Line"の1.5LTSIエンジンのもの。
こちらA3の1.0Lとは違うものでした。
ゴルフ試乗の際、セールスから"1Lと1.5のR-Lineどちらをご希望ですか?"と聞かれで、実際にもし自身が選ぶならスポーティ加飾されたほうだなと選択したのですが、セールス的には今回の目玉エンジンはむしろベーシックな1.0Lのほうだったようで…。
そんな事をすっかり忘れてA3にゴルフでの体験と同じ期待をしたら、あ、エンジンか違うんだね…と気づいたのでした。
ということはゴルフの1.0Lモデルも自身にとっては物足りないのかな?…なんて疑問と興味も湧くのですか、A3のほうはS-Lineのスポーティ風醸し出してるくせしてマイルドなんて、やっぱりルーフレールが重いからだ!(←そんな訳ない(笑))
なんてベンチマークをゴルフR-Lineにしてしまっただけに物足りなさを感じつつ、A3はまあまあの印象となってしまったのでした。
(専門家の評価は"ゴルフ8を超えた"なんて言ってる人もいるし、やはりクルマはベーシックモデルの出来栄えが肝心と志向される方は多く、それが玄人目線なのかとは理解しつつも、個人的には物足りないんです、1.0TSI/TFSIエンジンは…)
そして、動力性能差だけでなくコストバリューを踏まえても、やっぱりゴルフのほうがいいじゃんとなったのが私の結論、やはり諸費用込み490万円であれば、ゴルフR-Lineだって、メルセデスAのディーゼルだって余裕で手に入る訳で、走りはそっちのほうか面白いなら、アウディのバッジ代金に高額かける必要ないよね…と、またまたアウディに対するイメージを払拭できずに体験を終えたのです。
私はどうもジャーマン3の中ではコストバリューの最も低いアウディにはなかなか踏み切れない縁があるようです…。
(同じ事がレクサスにも言え…レクサスが欧州で売れないのは、消費者からそのジャーマン3より高い価格帯設定が受け入れられないと言われています)
それでもアウディの持つ高いデザイン性はいつも惹かれているんですけどね。
ミニカーも沢山持ってるし!
で、もしこのA3を購入するなら、今販売中の"ファーストエディション"を購入するのが最も賢くお得なんだそう。
2022年モデル(日本向け)からは、例の半導体影響をガッツリ受けて、電動シートが手動に、ディスプレイもグレードダウン、ガラスルーフ廃止、アルミホイールインチダウン…など、電装系その他の非装備が増えるんだとか。(価格は変わらず)
さらにはインテリジェントキーも後から納品とか言われていて、なかなかその影響度は高いようです。
ということで、やはり新型A3が気になる!って時は、早めの決断がお得だし、お勧めしたいと思います。
(自分には縁ないと言っておきながらですが…)
今回の新型はこんな感じの体験になったけど、A3というプレミアムCハッチはいつだって気になる存在には変わりません。
試乗の帰り、近所のGSでマイピカソを洗車していたら…隣に赤色の先代A3(8V型)の後期型S-Lineが…。
うーむ、カッコいい!

(あれ、欧州向けオフィシャルフォトにはルーフレールが付いてる!笑)
これはオシャレだしスポーティだし、これいいじゃん!と、結局はアウディの魅力に惹かれてしまうのでした。