
高度運転支援"Toyota Teammate"を試してみませんか?
そんな誘い文句に興味を持ち、そっかFCEVって触れた事ないし、ミライ、乗ってみようかなと思い立って訪れてみたのは、芝公園にある専用ショールーム。
第2世代となりかなり実用的なモデルになったのでは?という想像は持ちつつも、街中のDLRに行って"ミライを試したい"という勇気もないので、メーカー直営(販売はしない)ならばと扉も開けてみたのでした。
2021年最後のブログは、そんなミライの試乗体験を書いてみたいと思います。
トヨタミライショールームは東京タワーの麓にある、イワタニ水素ステーションに併設されています。

こちらの水素ステーションには1日40台以上のFCV車の給油(ならぬ給水素?)があるということで、最近見かける路線バスも来ていました。
そんなステーション脇の狭いショールームでは、1日あたり4回の試乗体験をやっているとの事で、希望者は日々それなりにいるとのこと。
やはり皆気になるのでしょうかね。
さて、早速ウォークアラウンドが始まります。

ボンネットを開けてのパワーユニットの仕組み説明(万人にわかりやすいレベルで、水素から水と電気を作るというハナシ)、レクサスLSとクラウンの間くらいの居住性を確保してるということ(…とは言え、リア席には分厚いセンタートンネルがあり、デカい車体の割には5人乗りはキツい)、インパネにある排水スイッチを押すとリア底面から水が流れる(おもらし…)などなどを教えていただきます。
ボディデザインはかなり流麗で、オプションの20インチタイヤ装着にて迫力が増したスタイルは嫌いではありません。
(鼻面だけはイマイチだけど…)
さてスタティックスタディが終わるといよいよ試乗です。
体験者の意向に合わせて、ちょい乗り体験から、1時間のじっくりドライブまでいくつかのコースを選んで試乗できるようになっていますが、私的には、トヨタの"Teammate"が体験したいので、しっかりと首都高を走らせてもらうコースで臨みます。
展示されていたモデルとは異なる19インチの試乗車には、四方にレーダー発信窓がついています。
これらにより"Advanced Drive"という高度運転支援を司る事が出来るとのことですが、サイドフェンダーにあるレーダーはまだ使えないとのことにて、今後の無償アップデートにて対応できるようになるんだとか。
クルマの乗り味はBEV車と変わらぬ推進力があり気持ち良い走りが楽しめる、なかなか良い印象です。
車重もあるからもっとガツガツしたパワフルさを感じるかと思いきや、アクセルペダルの重い踏み込みとクルマの加減速のリニア感がとてもよく、またステアリングも重た目になっているのでしっかりと安定感がありつつ、かつコーナリングも大きいクルマを感じさせないダイレクト感があります。
これはなかなか良いクルマですぞ。
クルマを首都高に乗せると、いよいよAdvanced Driveの開始です。
要するに自動運転レベル2と言われる、前車追従型クルーズコントロールとLKAを掛け合わせて、手放し運転が可能となるというもので、加えてGPSで自車位置と地図情報をリアルタイムにマッピングしながら道路をトレースしてくれるというのはなかなか楽しい!

いやいや手放し運転できるクルマは初めての体験なだけに怖かったけど、正確なコーナリングは素晴らしいものでした。
トヨタが提唱する"Teammate"というのは、あくまでもドライバーとクルマが会話しながらドライブするという意味のようで、決してクルマ任せにはせずにドライバーをサポートするという意図が込められているんだとか。
個人的にはこの手足がフリーになりつつクルマは前に進むというのが慣れずに落ち着かないものはありましたが、上手く使えば結構良い未来なのではないかなと思ったりもしました。
但しまだまだ発展途上にて、自動運転がセットされて快調に走り続けていると思いきや、いつの間にかリセットされてドライバーによる運転が必要になったり、あるいは首都高環状線はAdvanced Driveの対象外(設定が効かない)など、まだまだ普及には程遠い、道楽的な機能になってしまっているようにも思えます。
試乗の最後は駐車場で"Advanced Park"を体験します。
まあこれはレクサスでも体験済みにて目新しさはないのですが、実際に使うのかどうなんでしょうねぇ…。
そんなことで、意外やスタイル良し、走り良し、先進機能良しで好感持てるクルマではあるのですが、何せ必要なのは水素でして…全国に150箇所程度しかないステーションは心許無く、さらに言うとどのステーションも夕方6時には閉店してしまうんですって。
(別情報では実際、これが問題になっているとの事)

ステーションがない県・地域もあるし、夜間のドライブにて"もしも"は通用しない現実を踏まえると、まだまだこれからのモビリティの可能性の一つとしか言えないように思えます。
さらにはクルマ自体の水素ボンベの課題も。
今回のミライがとても大きくなってしまったのは、その搭載するボンベが3本となったからとの事で、車体をダウンサイジングするとボンベも小さくなり(距離を)走らなくなるという、技術革新をもうひと頑張りしないといけないんだろうなと思える課題もあります。
このミライのリア席にドンと据えるセンタートンネルはボンベとのことで、そのFCEVならではの事情を低重心化に上手く充てているのですが、BEVの電池よりも融通は効かなそうです。
強いてメリットを挙げるなら、水素は3分で充填完了できるとのことで、そこは急速充電器でもなし得ない利便性ですけどね。
今回のミライ試乗を通じて改めて感じたのは、"自動運転の未来"と、"水素で走るという未来"。
どちらもテクノロジー由来にてなかなか自身の理解が疎いものはありますが、フツーの生活者にとっては、それらの未来はすぐそこにありそうでまだないという、まだまだ暫くは一部の人々への特別なものであるという感覚です。
まあ、水素燃料電池車はトヨタとホンダとヒョンデしかやってないんですもんね、乗用車市場ではまだまだ普及に厳しいカテゴリーなんでしょうね。
もしインフラと共にブレイクスルーするなら、路線バスが鍵になるのかもしれません。
ということで、今回のミライ試乗はまさに"百聞は一見にしかず"の体験が出来てなかなか手応えあるものになりました。
そうそう、こちらのイワタニ水素ステーションには、ミライのカーシェア車両も用意されていますので、そんなシェアリングにてFCEVの走りを体験してみるのも良いかもしれませんね。