
海外旅行で出会った、気になるのクルマを紹介するコーナーの第4弾は、この冬に訪れたマレーシア。
前編&中編では国産車プロトン、そしてプロドゥアのクルマたちを紹介しましたが、今回の後編では、よく見る日本メーカー、そして欧州メーカーについて紹介してみます。
前編&中編にて書いたように、マレーシアの自動車マーケットにおけるシェアは1,2位を国産メーカーのプロドゥア、プロトンが占めています。
その割合は2社で約5割。自動車ユーザーの2人にひとりは国産メーカーを利用しています。
そして次に多いのは日本メーカー。
トヨタがシェア約15%で3位、そして4位がホンダ、5位が日産と、メーカー別上位には日本のブランドが続きます。
これらのマレーシア国内シェアは約30%。残りの20%程度で欧米メーカー&韓国メーカーとなっているようです。
トヨタを筆頭に、さすが東南アジアに強い日本ブランド!
そんな中から、マレーシアならではの傾向を踏まえていくつか紹介してみます。
まずは日本メーカートップのトヨタから。
最も見かけるのがこのコンパクトセダン、ヴィオスです。

こちらはアジア専用ボディを持つ”アンダーカローラ”クラスのセダンです。
旧型モデルは日本でもベルタという名前で販売されていました。
マレーシアではトヨタに限らず、このようなセダンモデルがポピュラーな存在です。
そんなユーザー志向を反映してか、日本、欧米の各メーカーがこぞってコンパクトセダンをラインナップしています。
次はもう1台トヨタから、定番のカローラ。

アジアではアルティスというサブネームがついていて、しかも日本国内向け5ナンバーサイズのボディとは全く異なる、ワイドでスポーティなスタイリングをしています。
これがまたかっこいい。
先代モデル中心によく見かけることができるアルティス(タイトル写真のクルマが旧型モデルです)ですが、
この写真にある昨年登場したばかりの新型は、ここマレーシアでは首都KL以外ではまだあまり見かけない感じです。
きっと、これからどんどん増えていくんでしょうね。
他にもトヨタでは、アバンザやイノーバといった新興国向けMPVもたまに見かけます。
またMPVといえば、ウィッシュやアルファードなどの日本から来た中古車も人気のようで、日本の排ガス規制ステッカーなどを窓につけたクルマをよく見かけることができます。
次に紹介するのはマレーシア国内シェア4位のホンダ。
こちらの代表格は、やはり人気のコンパクトセダンモデル、シティです。

シティという名称は、かつて日本国内向けコンパクトカーとして一世風靡したモデルがありましたが、国内引退後はアジアのコンパクトセダンモデルの名称になっています。(かつては日本国内でフィットアリアを名乗っていたモデルなどがそれに該当します)
そのシティの最新モデルがこの写真。
お気づきの通り、最近国内で販売が開始されたグレイスと同じモデルです。
ホンダはこのシティと、コンパクトハッチバックのジャズ(日本名フィット)の2本柱で、マレーシア乗用車販売のシェアをグングン伸ばしているんだそう。
その伸び率はトヨタ以上なんだとか。
お次はマレーシア国内シェア5位の日産。
こちらも売れてる車種傾向はトヨタ、ホンダ同様のコンパクトセダンが主軸です。
その日産の看板車種がアルメーラです。

アルメーラといえば、かつての欧州向けCセグハッチ、あるいはロシア版シルフィとして販売されているブランドですが、東南アジアでのこのクルマは、スタイリングをみたら一目瞭然、日本国内ではラティオ、中国などではサニーという名で製造販売されているセダンモデルです。(このあたりの日産のネーミングは国ごとに違っててややこしい…)
マレーシアではスポーティなスタイリングに人気があることもあり、NISMO仕様風のモデルも人気があるようです。
もう一つ日産からは、人気のMPVモデル、グランドリヴィナを紹介します。

この初代ノートを大きくしてストレッチしたようなスタイリングのMPVが、結構人気があるんです。
感覚的には同種のトヨタイノーバやプロトンエグゾーラよりも見受けられるように思えます。
そもそもマレーシアでの日産は、ミニバンのアーバン(Urvan:日本名はキャラバン)を現地生産していて、それらはミニバスとして多く利用されているんです。
そんなこともあり、もしかしたら乗用バンは日産というイメージが強いのかも知れませんね。
さて、マレーシアでは2つの国産メーカーと日本メーカーのメジャー陣に混ざって、欧州や韓国のクルマも健闘がみられます。
韓国メーカーではキアが多く、欧州からはVWやフォード、そしてプジョーなどが多く見受けられます。
そしてそのモデル傾向はやはりいずれもセダン系。
例えばVWならゴルフよりもジェッタが多いような感覚です。
また、KLなどの大都市ではメルセデスやアウディ、そしてBMWなどのブランドもしっかりと走っています。
(逆に地方部であまり見ないのは、やはり所得格差などを反映しているのでしょうか…)
もちろん、我らがF30型3シリーズもよく見かけます。
そんな欧州メーカーですが、中でも頑張ってる印象があるのがプジョー。
台数は決して多くはないのですが、208、308などのコンパクトハッチから、806などのミニバンまで見つけることができます。
そんな中、日本未導入の1台を発見。
プジョー408です。

こちらは308のセダン版として、アジア、南米、中国、ロシアなどの新興国を中心に販売されているクルマ。
マレーシア国内にあるプジョーの工場で生産されているモデルなんです。
どうにて見る機会が多いのは、やはり現地生産ブランドは支持されているということの表れなんでしょうか。
3回にわたり書いてみた海外クルマ見聞録マレーシア編、いかがでしたでしょうか。
クルマを通じて、その国に住む人の志向や暮らしが見えてくる、そんな雰囲気が伝わればと思います。