
ある夏の日、自宅のトランクルームを整理したら、あらあら出てくる魅惑のカタログに惹かれ、ノスタルジックな気分に浸る…。
まるでギフトのような時間を過ごしたことから銘打った文法無視のタイトルでの連載もラストです。
第1弾は日本メイク編、そして第2弾は欧州車編として、アルファロメオ145&155、フィアットブラビッシモにバルケッタ、MG F、BMW Z3、ローバーミニ、初代フォードフォーカス、オペルアストラF&ヴィータ、そしてBMW318tiコンパクトと、盛りだくさんにピックアップしました。
まだまだ出てくる今回はフランス車編として、そのクルマへの超個人的な思いを添えて披露してみます。
まずはこちら、シトロエンC6です。

横づかいの黒い厚手の紙にはニスが引かれていて、見た目からシックで上品な雰囲気を醸し出しています。
モデルは少しずつレトロフューチャーなスタイリングになりつつありますが、この独創性あふれる存在感は、今やフラッグシップを失ってしまったシトロエンブランドに必要な輝きを持っているような気がします。
このカタログは今はなき横浜港北エリアのディーラーでもらったもの。
そもそもはDS5の試乗商談に行ったときに入手したと記憶します(おそらくの記憶)。
そこのDLRマンに"BMW乗ってるお客さんは結局買わないんだよね"とか吐き捨てられた、余計な記憶を思い出してしまいます(普通そんなこと言いますかね?絶対この系列店では買わないと心に誓い、今に至る)。
うーむ、あまり良い思い出ではないですね…。
ただ、そんな苦い商談後でも果敢に"C6のカタログください"と言ったのは、C6の素晴らしきスタイリングを、何かの形で手元に記録したいと思ったから。
実際にこうして手に取ると、あの時貰って良かったと満足感を得ます。
次はそのC6時代前後のラインナップを並べてみました。

C1、C2、C4、C5のものです(あれC3が見当たらない…)
C1のカタログはフランスで入手したもの。
所有していたトヨタアイゴとは外観以外全て同じな兄弟車なだけに、懐かしさが広がります。
他にも、初のセンソドライフ体験でそのギクシャク感に閉口したC2や、WRCマシンとしても活躍した、リアハイデッキスタイルがカッコいいC4クーペは個人的印象の濃いモデルで、今でも欲しいと思えるクルマです。
さらにシトロエンを続けます。
Saxo, Xsara, Xantiaと"X"のつくネーミング時代のラインナップから、エグザンティア&シャンソンのカタログです。

このXを強調したカリグラフィー風車種名ロゴがカッコ良くて印象的。
それぞれのキャラクターを表現したカタログデザインはなかなか興味深く、エグザンティアはカーマガジン表紙などでお馴染みのBow.さんのイラストを使ったりとお洒落な雰囲気があります。
また、サクソを名乗れなかった時代のシャンソンは、こんなにカジュアルなイメージで良いの?と思えるほどシトロエンらしくない誌面で、前述のエグザンティア含め"シトロエン=パリの街角が似合うお洒落クルマ"というイメージ戦略が現れてるなぁと考察されます。
さて、お次はルノーから、5(サンク)からルーテシアへの変遷を数冊ピックアップしてみました。

シュペールサンクは自身が所有していたクルマ。
いまだに好印象の個人的名車なだけに、このJAX時代のカタログは宝物です。
廉価版からターボまで多彩なラインナップに一つずつページを割いているのですが、やはり好きなのは"バカラ"グレード。
茶色やゴールドの上品な専用色にレザーを多用した内装などの仕立ては、今どきのこのサイズのコンパクトカーには決してない贅沢さなのではないでしょうか。
また、現行型へと続くルーテシアのカタログもいくつか発見(これまた初代が欠けているのですが…)。
個人的には第2世代が好き。
つい先日まで身内がフェーズ1の16vモデルを保有していた(なんと新車からずっと)こともあり、親しみのあるモデルなんです。
さて、シトロエン、ルノーときたらプジョーへと行きたいところですが、なんと写メ忘れ…。
トランクルームには主に206/306以降の車種カタログがかなり多彩に保管されていたのですが…。
プジョーって日本におけるフレンチブランドの中ではメジャーな存在だけに、個人的には206世代程度だと古さ、懐かしさを感じないんです。
そんな中で発見した素敵カタログは、406クーペのもの。

このクルマのスタイリングは今見ても美しすぎる!
それに、タン色がこれまた美しい、贅沢な厚手の皮シートを擁する内装がこれまた良くて、ラグジュアリーな雰囲気は今も褪せてない気がします。
さて、今回発見のカタログたちのラストは、シトロエンZXです。

自身のブログでは時折ひょこっと登場する、思い出深い元所有車種。
当時の商談は横浜のユーノス店と世田谷の西武自販を天秤にしていたので、そのどちらかで貰ったものだと記憶します。
このカタログ、改めて見るとひとつ意味不明なコピーが。
この写真のページは、自身が所有していたZXシュペール1.9iを紹介しているのですが、左上にある車種名に添えて"RED DEVIL"の文字が。
赤い悪魔?イングランドの名門マンチェスターユナイテッドはそんな愛称だったりもしますが、ZXにそんなコピーつけますかね…。
本国仕様のグレード名でもないし、確かにスポーティな内外装とよく回るエンジンでしたが、"悪魔"ってほどじゃあないし…。
なんだかミスマッチなフレーズだなぁと思ってしまいました。
合わせて見つけたのが、シトロエンチューナーとして有名なドイツのムスケティアのカタログ。
丸目4灯へ換装したフルエアロ、マフラーは4本出しと、ドイツ車ドレスアップに負けない押し出しを感じさせます。
僕自身、所有するZXはムスケティアのローダウンサスに替えていました。
当時はユーノス加古川というシトロエンカスタマイズに長けたディーラーかつ専門ショップがあり、ムスケティアの日本総本山だったと記憶します。
さらには全国いくつかのユーノスDLRは、その聖地加古川と提携していて、パーツを取り寄せて装着してくれていたのです。
今となっては正規DLRがチューナーパーツを取扱うなんて考えにくい感じかもですが、トヨタ販売店がTRDパーツを扱うような感覚だったのかもしれませんね。
という事で、トランクルームで夢中になって読み漁ってしまった、少し古いクルマのカタログたち。
次開くのはいつの日かわからないけど、開く度に、何度でも楽しむ時間を与えてくれそうな存在です。