
シトロエンを所有しながらも、最近のモデルを殆ど体験していない私わんどら。
まあ、最新モデルと言っても昨年は殆ど新型車の投入もなかった日本市場にて、なかなか新しいものに触れる機会がなかったのですが、今年に入りいよいよ新ラインナップが拡充してきたので、ここは足元を見つめなおしてみようとDLRを訪れます。
C3エアクロス。
その名の通り、人気車種C3の派生モデルにて、これまた人気のコンパクトSUVの部類に属する、これは受容性の高いモデルでしょうと乗る前から好意的な想像ができてしまうようなクルマです。
かくゆう私も5月の先行展示機会にショールームで見て以来、そのポップでお洒落なスタイリングに魅了されてしまい、イメージは勝手に昇華してゆくばかり。
特に、今秋待ち受けるマイピカソの車検という代替タイミングが頭の片隅にちらつくだけに、C3エアクロスに合わせたライフスタイルさえホヤホヤと想像してしまう始末。
そんな、スペック的なものより感覚的なものを頭に巡らせながら、おろし立てという試乗車に対面します。
まずはいつものように現車確認、ウォークアラウンドをします。
印象は先行展示にて受けた印象と同じく、軽快さとお洒落さを兼ね備える、ある意味フレンチカジュアルファッション的な存在に見受けられます。

ハッチバックモデルのC3がセント・ジェームスなら、こちらはエーグルというところでしょうか。
外観は好みも含めて申し分ない感じです。
ただ、冷静になってみると内装や操作系がやや簡素で古典的な感じでしょうか。
これは最近体験しているクルマがメルセデスAだったりプジョー508だったりするという上位車種慣れしているせいかと思いますが、外観に連動した軽快感あるインテリアはプラスティックの質感が目立ち(ハッチモデルよりは加飾されているけど)、あ、やっぱりこちらはBセグコンパクトなりなのね、という印象を持たされます。
そういう意味では、マイピカソって古くなっちゃったけど、実はとっても質感高いもので構成されてるんだなと所有車に感心してしまいます。
ただ、このC3エアクロス自体の他にないキャラクターと、300万アンダーで手に入れられるバリューを考えたら、当然この内装質感も十分受容できるもの。
そもそもガシガシと使ってこそのBセグコンパクト、その用途を叶えるには何ら問題ない範囲のポイントです。
このクルマに欲しいのは質感ではなく遊び心。
頭の中にあるメルセデスAやらは一旦どこかに隠しておく必要ありますね。
ちなみに内装で気に入ったのは、上位車種のシートはテキスタイル的には好み。
それにリアシートが前後スライドしたり、リクライニングするのは嬉しい機能です。
さて期待の試乗です。
担当セールスは、"基本はC3と全く同じです"と連呼しますが、実は現行C3を体験したことのない私にとっては、今回が新鮮な体験。

だから、パワートレインか同じで車重が増えたその影響は…と問われても、相対評価などはできません。
そんなことで、左ハンドル用のシフトゲートでイマイチ使いにくいシフトをDに入れて、スタートさせてみると…とにかくいろいろ軽い!
軽快さ、という意味ではイマドキの小排気量+ターボのパターン通り、1.2Lターボ、そして6速AT共に驚きもない、軽くて使い勝手よさそうな、必要十分な運動能力なんだと思います。
それよりも気になったのがステアリングを回転させる時の動きの軽さ。
17インチの大きい方のタイヤを装着しているのに、その引っかかりは感じることなくクルクルと軽く回るステアリングには少し拍子抜けしてしまいました。
キャラ通りのセッティングであるのでしょうけど、小さいながらもどっしりと安定感あるスタイルとは違う印象に戸惑ってしまいます。
そう、私わんどらはこのC3エアクロスに求めているものが違いすぎているのかも知れないということに気づきました。
勝手にこのユニークな存在感をワングレード上の車格へとスケールアップさせて臨んでいたのかもしれません。
素晴らしきC5エアクロスの弟分なんだから…と。
後日談としてさらに追い討ちをかけるように、シトロエンDLR現場の裏の声を聞いてみると、こんな懸念が。
このC3エアクロスは、C3ハッチとは違う工場で生産されているんだそう。
ハッチはフランス・ポワシーのPSAの工場で生産されるのに対し、エアクロスはスペイン・ザラゴザのオペルの工場で作られています。
ここでは同じPSAのプラットフォームを使用したオペルクロスランドXやプジョー2008を製造しているとのこと。
しかし、これまでハッチ生産で培ったノウハウが生かされていないので、アッセンブルでの初期不良が多い"厄介な予感"かあるんだそう。
イマドキのFAの時代に工場による差異なんてあるの?と思ってしまいますが、まあ、あくまでも見方のひとつとしては興味深い観点で、実際にはどうなのかは今後の評価になるんだと思います。
コホン。
そのギャップや懸念を帳消しにして、素直にインプレッションしてみると、このスタイル、カラーリング、お洒落感、軽快感、どれをとっても"欲しい"部類のクルマです。
ただし、"セカンドカーだったら""No Kidsだったら"などの、若干言い訳っぽい条件がついてしまいます。
極めて個人的な印象として、やはり今のライフスタイルには何か無条件で迎え入れたいというにはもう少しバリューまたは妥協点が必要だと感じています。
いや、ホント好きなタイプなんてすよ、欲しいランキングはかなり高い。
でも現時点はマイピカソの今秋車検を塗り替えるまでの候補にはならなかったのが、これまた率直な感想でありました。
こうなるとやはり気になるのがシトロエン2019年下期の目玉、ベルランゴの上陸。

どうやら発売は年末になるようで、本格的には年明けからの導入となるのかと思われます。
導入車両はディーゼルモデルを予定し、グレード(5or7シーターのモデルサイズ)は未定なんだとか。
販売手法は検討中とのことにて、カクタスのように限定車となる可能性が高いと聞いています。
やはり商用車ベースのモデルを売るという事がPCJ的には懸念事項のようで、まずは試し売りという感じになるのかもしれません。
ただ、インポーターにもDLRにも、"いつ発売されるのか?"という問合せは毎日入るようで、事前の反響は上々のようです(今月発売の専門誌にて並行輸入モデルのインプレッションが掲載された事も前評判のひとつなのかもしれませんね)。
そんなことで、マイピカソ車検には間に合わないながらもベルランゴの発売を本命に据えていくのが、個人的なクルマ選びのしばらくの傾向になるのかと思います。
さてさてC3エアクロスの件、試してみたら、見た目イメージ通りの軽快さがステキなシティSUVだということがわかりました。
相対比較してしまうことでいろいろな雑念が入ってしまうけど、改めて車両を見ると、このキュートなスタイリングが自身のライフスタイルさえもアクティブに変えてくれそうな気がして、やっぱり気になるクルマには変わりない存在です。