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最近「カーボンニュートラル」とか「SDGs(持続可能な開発目標)」なんて言葉が飛び交っている。
まぁ単純な話、地中に埋蔵されていた化石燃料を掘り出せば、大気中の二酸化炭素が増える。どうにかして二酸化炭素の発生を減らす。更には既にばら撒かれた二酸化炭素を回収しないことには以前の環境に戻らない。基本はココが問題。
「カーボンニュートラル」が話題になれば、毎度セットで議論されるのは「クルマの電動化シフト」。
恐らく、大多数の方はクルマの電動化は「化石燃料の枯渇」とか「排ガスによる大気汚染」が主要因で、いつか電気自動車に移行する必要がある...と漠然と理解しているのではないだろうか。
しかし「カーボンニュートラル」の根本的問題は「二酸化炭素」。マイカーを電気自動車に変えたって、化石燃料で発電していたら問題解決しないことは理解すべき。(更には発電余力や送電ロスも議論されるべきだろうが...)まぁみんからを見るようなクルマ好きはこの辺について理解していると思う。
次に考えるべきは「移動の多様性」。どうも偉い人たちは都心で生息するからか、都会の価値観で物事を考えがちだが、そんなに世の中単純ではない。
先日の関越自動車道で発生した大雪の立ち往生が象徴的だったが、現時点で存在する電気自動車は程度の差はあれど冬季間の運用に課題が残るのは事実だろう。(元々少ない航続距離が暖房で更に3~4割も低下する)
要するに、今考えるべきは「ガソリン」か「電気」の二者択一ではなく、適材適所。トータルで二酸化炭素の排出を減らす方策を考えるのが本筋ではないだろうか。
e-燃費.comによれば最新のトヨタ「ヤリス (ハイブリッド) 」の平均実効燃費は28.05km/Lとか。旧世代のトヨタ「アクア」が22.67km/Lなので、ざっと20%以上は燃費が改善され驚いた。このご時世サラッと20%も問題解決するソリューションなんてそう簡単に有るもんじゃない。
少なくとも、電気自動車の運用に課題を残す地域(寒冷地や急速充電器が少ないエリア)では燃費の良いガソリン車への転換を優先しつつ、人口や渋滞の多い温暖な都市部で電気自動車への転換やカーシェアリングの普及をドンドン促進すべき。すべてを1つのスローガンで解決しようなんてのは危険である。
話題を変えて。
近年欧州車を中心にEVシフトが盛ん。プジョー・アウディ・メルセデス....が続々と日本市場にも新型のEV車を導入している。
最近、札幌市内でもアウディ「e-tron Sportback 」を見かける様になった。「55 quattro 1st edition」は1327万円もする高級車で、バッテリー容量はなんと95kwh。一充電走行距離(WLTCモード)は405kmだから、カタログ電費は4.26km/kwh。実はこれってかなり電費の悪いクルマですよね。
一般的に国内で普及する急速充電器は20~50kwタイプだから、恐らく日常の充電に色々と苦労するのではないかと推察している。
アウディのカタログにも"50kW急速充電器(CHAdeMO)を利用した場合、30分で約117km分(27.5kwh)の充電が可能"と記載されている。
※一般的に急速充電器は1回30分以内。バッテリーの発熱や次のクルマが待っている場合もあり、複数回の急速充電は基本しない事が前提。
また一般家庭では200V(3kw)の充電器設置が通常だが、これでは1時間で12.8km分しか充電出来ない。夜通し頑張って12時間充電しても128km分。結局、電力/充電インフラが進歩しなければ、無闇に大きなバッテリーを搭載することが問題解決ではないと判るだろう。
実は、今本当に必要なEVは既に生産終了となってしまった三菱「i-MiEV(アイ・ミーブ)」の様な小型軽量で電費の良いEVだろうと最近ずっと思っている。
残念ながら「i-MiEV」は登場が2009年と早すぎて販売価格が459.9万円と高かった。年々改良と値下げを続け2016年12月の改良時点では「M(10.5kwh)」が227.3万円まで改善されたのだが、既に市場は興味を失っていた。
ちなみに、「i-MiEV」の廉価版である「M(10.5kwh)」だが、
東芝製のSCiB(チタン酸リチウムイオン)電池を採用。電池劣化が少なく、急速充電にも強い特徴があるのはあまり知られていない。電池容量こそ10.5kWhと少ないが、一充電航続距離は120km(JC08モード)でカタログ電費は11.42km/kwh。急速充電も15分で80%まで回復出来るスグレモノである。
ここでアウディ「e-tron Sportback 」と三菱「i-MiEV」を比較する意図はないが、利用実態(走行距離や充電環境)を良く考え選択する必要はありそうだ。
一般家庭での利用シーンを考えれば、夜間~朝にかけ8時間で200V(3kw)の充電器を使うと24kwhが充電される計算だから、ホンダやマツダが提唱する中容量(35kwh位)バッテリーは理に適っている印象だ。あとは電費と充電性能次第だろう。
世界的に見てEVの開発/販売で先行していた我が国で、EVのイメージを悪くしたのは日産「リーフ」。製造原価低減のため、バッテリー温度管理システムを省いてしまった。真夏の気温や高速走行、急速充電の多用でバッテリーが発熱し、劣化が急激に進んでしまう。フルモデルチェンジした2代目も何故か温度管理システムを省いているから驚く。
EVにとってバッテリーは車両価値の大半を占めるだけに、どんどん目減りする日産「リーフ」のリセールは異常に悪い。そりゃ当然ですよね。
(但し色々悟った上、激安の中古車リーフを購入するのはクレバーだと思う。)
個人的には、
BMW「i3」が42.2kWhのバッテリーに直列2気筒DOHC(647cc)のレンジエクステンダーを搭載しているが、当面はこのスタイルが正しいと感じる。295km (EV走行)+171km(レンジエクステンダー発電)で最大466kmを走行可能。日本には性能の良い軽自動車用660ccエンジンが沢山あるのだから、活用しない手はない。
近い将来「日産/三菱」が発売を予定する軽自動車版の電気自動車には期待しているのだが、バッテリーは何を選択し、冷却問題はどうするつもりなのか大いに興味がある。性能と価格次第では....

↓2018年10月に試乗したBMW「i3」。走りは刺激的で楽しい車。

Posted at 2021/01/24 17:23:30 | |
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