
あの中村良夫氏のエッセイ「クルマよ こんにちは」が始まっています。
この連載は後に単行本としてまとめられました。
<編集部から>
今月号から中村良夫氏にエッセイを連載していただくことになった。
題材はフリーということでお願いしたが さりげないお話のなかに、クルマを愛する心、クルマをとりまく日本的状況への怒り、そしてクルマの本質についての深い洞察といったものを感じ取っていただければさいわいである。
と、冒頭に書かれています。
中村良夫氏と言えば、言うまでもなくかつてのホンダの技術開発者で60年代のF-1チーム監督ですから、この第一回の話題も当時大きく沸いていたF-1日本GPに絡めたものでした。
京王プラザで行われたレセプションに出席した氏は「ホンダのF-1撤退から10年が経つと言うのに、来日した出席者を数えてみれば 自分が知らなかったのは全体のわずか15%ほどだった。」
と氏自身が驚いており、かつてF-1サーカスの一員として世界を転戦してきた氏ならではの顔の広さを表しています。
その時、ケン・タイレルとの食事に同席した氏は彼からこんな事を言われたと書いています・・・
タイレル曰く世界中で売れ続ける日本車を例に挙げて「日本のメーカーはクルマさえ売って儲ければそれでいいのか?」と、そして排気ガス対策に精を出すのも結構だが、あんなモノは一部の政治屋が偽善者面して叫んでいるに過ぎないとブチあげ、さらに・・
「性能の良いレーシングエンジンを誰にでも欲しい人に売りますよ。、分けてあげますよ、ということを日本のカーメーカーが申し出たのを聞いた事がないし、『フォードがウン千万ポンドをポイと投げ出してコスワースをサポートした』というようなことを日本のメーカーがやったのを聞いた事が無いよ、まったくオカシイんじゃないの?」
と言う苦言を呈されて反論できなかったらしい。
ケン・タイレル・・・熱いですね~!
そして外人たちは「日本GPは興行か?スポーツか?」と言う話題で盛り上がったらしい。どうやら彼らには日本でのF-1が「ショウビジネス」のように見えたらしい。
(僕にはその明確な理由が分からないのですが・・・)
「莫大な資金を必要とし、バーニーエクレストンのような人物が暗躍?しなければ成り立たない」し、もちろん「F-1はボリショイサーカスでも宝塚歌劇団でもなくプロ集団の造る純粋なスポーツである」と言いたいのだけれど、氏はメディアにおける諸外国と日本のモータースポーツの捉え方の違いを例に挙げ、今後の健全な発展を望んでいます。
Posted at 2009/06/30 07:58:24 | |
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