
1980年頃、当時Z400FXに乗っていた友人から聞いた話。
既に正確な日時や季節すら覚えてはいないが、深夜と言うか未明と言うかとにかく皆が寝静まった頃だったと言う。
当時はコンビニなども無く、世間全体が今のような夜型ではなかった筈だ。
彼は夜の街を愛機の赤いZ400FXで走っていた・・・何故彼がそこに居たのかも今となっては不明。
しかし走りたい年頃、キザな言い方をすれば味わいたいのは「マシンとの一体感」、目的地も無くただただ走ってた・・・と言う事にして置こう。
キッカケ、これも今となっては「忘却の彼方へ」だ。
多分一旦停止を怠ったか信号無視をやらかしたか、そんなとこだろう。
どこから現れたか、一台のパトカーがサイレンと赤灯を点けて彼を追って来た。
これもよくある話だが、彼は(逃げてやる)と決意して愛機のスロットルを大きく開けたのだった。
県警のパトカーは、と言えば当時はクラウンかセドリックの鈍重なセダンしかなく、例えそのパワーソースが警察仕様の2.6Lや2.8Lの若干チューンされたモノであったとしても、中型自動二輪に追いつけるはずも無い。
(直ぐに引き離して まいてやる)
とタカをくくっていた彼は、余裕で逃げるのだが「そのパトカー」は100m位後ろの交差点を「ギャ~!!」と物凄いスキッド音を撒き散らしてフルカウンター?あるいは4輪ドリフト状態で追って来るではないか!!まさに♪明かりの消えた街角で♪ だ。
(え?何?)
彼はマシンを倒し、交差点を闇雲に右左折して逃げるのだが「そのパトカー」はやはり交差点でも速度を落とさず、相変わらずアメリカ映画並みの追跡の手を緩めない。
(そんなバカな!)
彼は焦った。
(敵ながら凄いテクニックを持っている、ひょっとしたら適わないかも?)
やはり加速で有利な自動二輪、さすがにお縄を頂戴するほど両車の距離は近づいては居なかったが、精神的に焦れば焦るほど転倒する等 危険も増える。
どのくらい走っただろうか?福井市中心部から数km程度、彼は毛矢大通りで路地に入ってエンジンを止め様子を伺った。
彼は「口から心臓が出そうな程」の恐怖を覚え、暗闇でかなりの時間 身を潜めて居たと言う。
「そのパトカー」が通過したのか、もう追って来なかったのか それも今となっては定かでは無いが、とにかく彼は無事に家に辿り着き事なきを得た。
ただ単に彼のマシンの操り方が下手だっただけなのか?
それは俺にも判断できないが、こんな素晴らしい追跡をやってのける「パトカー」が福井県警に居たと言う事実・・・彼らにしても追跡が原因で相手に事故られたら問題になるし、ビビらせて大人しく捕まれば「めっけもん」、逃げ切られて「当たり前」 だったのかも知れない。
県警さんよ・・・今でも こんな追跡出来ますか?
フンッ ゼロクラじゃ出来まい。
・・・アホどもが。
Posted at 2011/11/23 07:47:16 | |
トラックバック(0) |
回顧 | クルマ