
ご縁がありましてなんだかんだで3000キロぐらいは乗りましたので、ディーラーで試乗しただけよりはいろいろな条件で乗ることができました。
皆さんご存じの通り、日産のe-powerはタイヤに伝わる動力はモーターからのみで、エンジンの生み出す動力はタイヤには伝わりません。エンジンは発電機だけにつながっており、発電機で作った電気でモーターを動かして車を走らせるシステムです。発電機とモーターの間にはバッテリーがあり、電気を蓄えることができます。仕組みとしては通常動力型潜水艦みたいなものでしょうか。
よって、自分で充電しながら走るEVといっても差し支えありませんので、走行フィールはEVそのものです。発進加速は素晴らしくトルクがあり、機敏なダッシュ力はエコカーとは思えません。Fit3ハイブリッドが後期型でギア比を下げてきたのは、競合のノートe-powerの発進加速があまりにもよかったためでしょう。一方、高速巡行になるとエンジンの力で直接走行できない点が弱みになり、いまいち燃費が伸びない状況になります。100㎞/hぐらいでは、明らかに家にあるFit3ハイブリッドの方が優れた燃費になります。必要十分ではありますが最高速度もどうやら低めのようです。
雪道を走った際にトラクションコントロールの制御が異次元に正確で本当に驚きました。コーナリング中に意地悪くアクセルを踏み込んでも、タイヤのグリップが許す分だけしか駆動トルクを出さないようで、アンダーも出ずスッと曲がっていきます。雪道でのモータースポーツなら、早めにアクセルを全開にしてトラクションコントロールに頼って脱出するのがよさそうです。電動車両はトラクションコントロールとの相性がいいですね。
ノートe-powerという車両として見たとき、弱点はサスペンションだなと感じました。おそらく車両を設計した時には無かったハイブリッドシステムを後から搭載したため、重量的に厳しくなったように思います。結果として荒れた道を飛ばすとかなりの勢いでバンプラバーにあたって跳ね返されたり、舗装のはがれた穴に落ちた時にタイヤの向きがウニウニ動くような感覚が気になりました。とはいえ、昔のハイブリッド車の中には重量増やバッテリーによる重量バランスの変化でまるで荷物を積んだ営業車か?みたいな変な車もあったので、そのころに比べればはるかに快適です。この車は普通のグレードなので柔らかいサスペンションですが、例えばニスモ系のような足が堅めのセッティングになるとこのネガは目立たなくなるでしょうね。
アクセルを離すと回生ブレーキがかかり停止までしてくれるワンペタルドライブは個人的には非常に気に入っています。市街地ではほとんどブレーキペタルに触れなくて済むので、非常に楽ちんでした。あと20%ぐらい効いてくれたらワインディングでもブレーキペタルを踏まなくて済むのになと思います。。
私の環境で乗って、燃費は20km/L程度です。同じ環境で家のフィットが22km/L程度走るので少し負ける程度になります。郊外を巡行する機会が多いとフィットのほうが燃費に有利で市街地で発進停止を繰り返すような環境になるとノートが俄然有利になってきます。仕組みから考えても妥当な結果ですが、e-powerが不利な私のようにかなり巡行が多い環境でも-10%程度になっていることからすると、半導体の進歩でe-powerのようなシリーズハイブリッド方式はかなり伸びしろがあるのかなと思います。
家のフィットと比べると、変速機のないEVのシームレスな走りで市街地は非常に快適な一方、郊外や高速道路などではフィットのほうがいいなと感じる点も多かったです。くしくもフィット4のハイブリッドはe-powerにエンジン直結モードを加えたアコード譲りのシステムに代わり(どちらかというと先に存在したホンダや三菱の通常はモーターだけで走り、高速巡行ではエンジン直結モードがあるというタイプからエンジン直結モードをなくしたものがe-powerという見方もできる)、ノートも新型はe-powerのみで開発されているようなので、それぞれの弱点を補強した今の世代は果たしてどうなっているのか、興味があります。
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試乗 | クルマ
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2021/03/13 22:55:13