
フィット、ヴェゼル搭載、i-DCDのいろは坂問題の原因
先日、渋滞した日光いろは坂でi-DCDの車両が多数故障で停車していたという件でネットニュースがたくさん出ています。元々Twitterで上がっていたものから記事になっているのだと思いますが、
おそらく
同じ現象を経験した者としてなぜそうなるかに少し触れようと思います。
i-DCDは1モーターハイブリッドです。したがって1つのモーターで走行、発電を両方行っておりモーター走行中は充電することができません。通常ずっとモーター走行するということはないのでネガは出ないのですが、1つネックになるのが1速はモーターでしか駆動できない(というか1速ギアの中にモーターが入っている)というところです。
通常の発進時は1速でクラッチ直結状態からモーターで走り出してクリープ状態になります。そのまま加速/変速すればいいのですが渋滞で加速できなかったり、上り坂の抵抗とクリープ力が釣り合って停止したり(私の場合はこのパターンでみるみるバッテリーが減ってしまいました)してずっと1速でモーターが出力を出している状況が続くと、ひたすらバッテリーが放電していくのでモーター走行できなくなります。
もちろん、そんな状態も考慮されているのでそうなった場合はエンジン出力で発進できます。ただし1速はモーターでしか使用できないので2速発進となってしまいます。私は2速発進に切り替わった時に急に発進トルクが小さくなったので故障したと思って止めたのですが、実は止めなくてもまだ走れる状態です。ただし上り坂で2速発進を繰り返すので半クラッチを多く使う必要があり、発熱が大きくなって警告が出るという流れだと思います。
このパターンになりにくくするには、まずはシンプルに走行用バッテリーの残量をできるだけ増やすことが効果的です。クリープや少しアクセルを踏んで駆動力で釣り合わせて車を停止させるのをやめて、きちんとブレーキを踏んで止まると充電できるようになります。なるだけ平坦でクラッチが楽なところでSモードに入れて1速発進をやめさせるという手もありそうですが、クラッチ発熱とどうなんでしょうね。
この時期のいろは坂はそれほど暑くはなかったと思いますが、フィットハイブリッドの場合クーラーコンプレッサーも走行用バッテリーからもらう電力で駆動しているので、クーラーが多く電力を消費する真夏はさらに充電量の減少が大きく、さらにこの状況になりやすくなります。(私はまさに
そのパターンでした)。
家の車もかれこれ8年経過しており、フィット3もそれなりに経年劣化してきていると思います。もちろんバッテリーも全く劣化しないわけではないでしょうから新車時であれば問題なかったレベルでも厳しくなってきているのかもしれません。劣化要因が大きいと、今後夏の渋滞などでこの問題が頻発しそうで心配な気もします…。
DCTは上り坂の渋滞に弱い、というまとめ方のニュース記事もありましたが通常のDCT車の場合1速のギア比を十分に低くしてクラッチを保護するようにしたりといった設計がなされるので、確かに日本の環境ではDCTは発進が苦しい部分は感じますがこの現象とは違うのかなという気がします。i-DCDは発進をクラッチ直結でモーターで行うのでクラッチのトラブルは出にくいのですが意外なところで弱点が顕在化しましたね。
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Posted at
2022/11/13 22:26:24