RX-8を購入してあっという間に1年が過ぎようとしています。
実は当初RX-7(FD)を購入するつもりだったんですが、断腸の思いで下した決断や偶然のタイミングによって今のRX-8を購入するに至りました。
今回はFDと私のちょっとしたお話を。
最初のきっかけとしてMTのスポーツカーの相場があまりに高くなっているので、このままでは乗りたかった車に一生乗れなくなってしまうなと思ったことが全ての始まりです。
乗っていたミラアヴィと入れ替えで・・・と考えていたので、アヴィの車検が切れる半年くらい前から車を探し始めました。と言ってもここ数年毎日中古車はチェックしているんですけどね!
買おうと思って探したのはFD3S型のRX-7
この車は小さい頃から変わらずに一貫してずっとかっこいいなぁと思っているスポーツカーで、いわば一番長く恋い焦がれている存在なわけです。
理想はこの画像のようにピュアホワイトでマツスピエアロの4型以降。
もしくは
4・5・6型のフルノーマル。
ただ、マツダスピードエアロはレアアイテム。フルノーマルの車は少なく、相場も高い。
というわけで上記の条件はあくまで希望とし、それでもここだけは譲れないという最低条件として
・エンジン・吸気系がフルノーマルであること
・内装、外装の趣味がイジられていても前オーナーと趣味が合うこと
を条件に探しました。
MTであればグレードは何でもよかったのですが・・・
これがまあ見つからない・・・
外装の状態いい!と思ってエンジンルームを見てみると、毒キノコが生えてるってパターンを何度も経験しました。
そんな中2020年12月になかなかいいタマが出てきました
5型の外見ほぼノーマルでエンジン周りもノーマル。
ぎりぎり値段も(ぱっと見の)状態に釣り合っているなと久しぶりに思えた個体でした。
しかし、すぐに出せる金額ではないためローンのシュミュレーションをしたり、現車確認のタイミングを計っている間に案の定すぐ売れてしまいました。
今でもたまにFDの中古車を見ることはありますが、個人的にはこの車が新車時の価格を考慮して走行距離や状態に値段が釣り合っているなと感じた最後のノーマル車でした。
そして同時期にもう一台
走行距離はいっていて、修復歴はありますが、一度オーバーホールしてあるのか圧縮は良い数値でした。エンジンはフルノーマルです。外見は新品のRE雨宮のフルエアロが組んでありました。それでいてあえてスリークライトではなくリトラクタブルのままという理想的な仕様。スリークライトも好きなのですが、これまでの車でポリカの日焼けを経験して日に焼けないリトラクタブルが最強なのではと思ってしまっていて・・・マツスピと同じくらいRE雨宮のエアロ好きなので、こちらの車もかなり迷いましたが、黒いFDと同じく悩んでいる内に売れてしまいました。
ちなみに同時期、FDの購入意欲増強のためにプロジェクトXを見ているうちに、たとえFDじゃなくてもロータリーエンジンは絶対に乗りたいと思いRX-8もチェックし始めました。
そんな中、後期RSが相場より安く状態も良い個体が隣県で売り出されていたのでこちらを見に行くかどうか迷いましたが、この時はあくまでFDのことしか頭になかったためスルー。
そして2021年2月
改ざん車で修復歴ありですが、オーバーホール済みのノーマルエンジン。マツダスピードGT-CバンパーにたぶんRE雨宮のウィングにリアディフューザーという私もFDに乗ったらこうしたいという思っていた仕様の車が出てきました。色もホワイト。内装も前乗っていた方と感性があっていました。希望の中期後期ではなく前期型ではありましたが、その他の条件が揃いに揃っていたので気にしないことにしました。
本気だった私は、人生で初めて中古車サイトのお問い合わせボタンを押しました。
問い合わせ当日に返信があり、総支払いは陸送費込みで273万円とのこと。
これなら頑張れば買えないことはないなと思いました(もう北海道へは行けなくなりますが・・・)
買うか買わないか何度も頭の中で反芻して、3日ほど本気で悩みました。金額的にはギリ出せたのですが、何が起こるかわからないので、ローンしようかとシュミレーションもしました。20年落ちの比較的シンプルな作りのロードスターでもちょくちょく壊れてきているのに、26年落ちの複雑な作りのFDが壊れないはずないので余裕を持っておくつもりで。
ここで買わなければ、もう一生所有することはできないという思いと修復歴ありの改ざん車を273万円・・・相場を見れば安いけど・・・という思いで攻防は続きました。
しかし一番の壁は保険でした。RX-7に限らず90年代のスポーツカーは中古相場は高騰していますが、保険屋の扱いはただの古い車です。そのため車両保険は入れないか、入れても全損で最低金額しか出ません。
参考までに02年式のNB6Cは全損20万円です。
盗難が横行しているこの時代に、高い保険費用を払って、次の車の足しにもならない金額しか出ないのはどうなんだろうと・・・いざ購入して毎日心のどこかで盗難の恐怖と戦えるか考えました。
私には無理でした。
FDに関してはこの件できっぱりと諦めがつきました。
今ギリギリ買える金額の車が出てきて手が出ないのであれば、もう一生所有することはできないでしょう。ここまで本気で悩みに悩んで諦めると、いつか所有できるかもしれないという微かな希望も断ち切ることができ、一点の曇りもない清々しい気持ちになりました。
今までは街中でFDを見るたびに、カッコいい・・・と見惚れると同時にあんなに好きだと言っておきながら乗れていない自分や早く買わなきゃという焦りやらでどこかモヤモヤした気持ちがあったのですが、すっきり収まりがつきました。
私と同年代でFDに乗っている方は本当に尊敬します。
しかし、FDを検討している最中にモチベーションを上げようとロータリーエンジンに関する情報や歴史を再履修していくうちに、ロータリー熱が止まらなくなってしまいました。
そこでRX-8を探し始めることになるのですが、これはまた別のブログで・・・
最後に、FDを所有することはできませんでしたが、運転をさせてもらったことは一度あります。その時の感想をもってブログを締めたいと思います。
おそらく人生で最初で最後になるFDの運転は2019年のことで、ある場所で知り合った方、多分私と年がそう変わらない方の車を運転させてもらいました。
マツスピフルエアロ
憧れだったドアハンドルに手をかけ、乗り込むと車に包まれてる感がありました。
よく言われる運転者の方を向いているパネルもそうなんですが、サイドシルやドアの厚みやルーフ、内装、車幅のわりにタイトな室内、全てでそう感じさせられます。
運転席から見えるボディラインはまさに幅が広いNBという感じでした。
クラッチを踏み込むと結構な重みを感じました。ロードスターの倍とまではいきませんが思わず「強化クラッチ入ってるんですか?」と聞いてしまうほどでした。NBロードスターの強化クラッチよりも重く、他に乗ったことのある車種でいうとGC8と同じくらいの感覚。この時代の280PS勢のパワーを受け止めるクラッチはやはりすごい。
キーをひねるとロータリー特有のセルの音を立てエンジンが回りだします。
シフトフィールはロードスターを少し重くした感じで重厚感を感じます。
ステアリングは社外ステアリングで太いタイヤを履いているためかかなり重かったです。
最初はロードスターと同じくらいの感覚で、2000回転ちょっとで運転していたのですが、どうもギクシャクするので3000回転くらいまで回して運転するとちょうど良い感じです。
正直この時点では、街中で常用する領域に関しては失礼ながらロードスターの方が軽快で"楽しい"なと思ってしまいました。しかし、それは浅かったとすぐに覆されます。
以前FDは回すとヤバイと聞きかじったことがある私は「少し回してみてもいいですか?」と聞いてみたところ、快諾いただけたので2速でアクセルをハーフスロットルまで一気に踏み込み5500回転くらいまで回してみると
世界が変わりました。
ボディがほんの一瞬よじれる感覚があり、それと同時にとてつもない加速を始めました。
3000回転くらいから一気にグワァっと強烈なターボが来て一気に回転数とスピードを押し上げていきます。よくロータリーロケットなんて言われますが、その所以を身を以て知りました。当たり前ですがNB6Cのフルスロットルなんかより遥かに速いです。
この加速はちょっと怖いと思う反面、逆にその危なっかしさが楽しく感じられるのも分かる気がしました。この加速はまさに麻薬。
これを経験して、ロードスターの"楽しい"とFDの"楽しい"は全く別ベクトルのものであることを理解しました。
個人的な見解ではありますが、ロードスターの楽しいは穏やかなポニーと共存する"楽しさ"。FDは暴れ馬を自分の腕で制御しモノにする"楽しさ"だと感じました。
ちなみにRX-8はどちらかと聞かれると断然ロードスター側です。
RX-8でハーフスロットル踏み込むことはありますが、フラットトルクで吹け上がっていくのであの危うさは感じません。圧倒的にFDの方が速いですが、正直ロータリーのフィーリングよりもターボの印象が強く、運転させてもらった後もロータリーに乗ったという実感よりもターボの印象が強く残りました。RX-8は(FDに比べたら)速くはありませんが、NAなので素のロータリーのフィーリングをダイレクトに味わえ、ロータリーに乗ったという実感は強いと思います。
走行中にリトラクタブルヘッドライトの開閉も初めて経験しました。開くと左側の車幅がわかりやすくなる問利点も初めて知りました。
運転を終え最後バックでの駐車でエンストしないか不安でしたが、なんとか無事駐車することができました。
エンジンを切ったところで、私は車から降りることができなくなってしまいました。
FDにずっと乗っていたい・・・
もっと強烈な加速を味わいたい・・・
もうここから出たくない・・・
と駄々をこねて・・・
いるわけではありません。
恥ずかしながらドアの開閉レバーがわからなかったのです笑
この小物入れの仕切りだと思ってたものがドア開閉のレバーでした。
今思うとこのような刺激的で楽しい体験をしてしまったことが1年後のFD探しにつながった要因の一つだったのかもしれません。