
ぼくの大好きなクローンネタ映画、「モーガン」。
正確にはクローンではなく人造人間(人工生命体)なのですが、重要なのはこの映画の監督がリドリー・スコット監督の息子、ルーク・スコットであること。
リドリー・スコット氏自身も「ブレードランナー」で人造人間=レプリカントを題材にしていますが、そこでは「記憶」と「自我」を人間とレプリカントとの相違として捉えています。
今回はその息子が同様に人造人間と通常の人間との差異を題材として取り上げることになっており、「やはり親子は似ている」と思うところ。
こういった例では他にデビッド・クローネンバーグ監督の息子、ブランドン・クローネンバーグ氏がやはりその父親そっくりの世界観を持つ作品(でもちょっとクリーンな)「アンチヴァイラル」を撮るなど、非常に興味深い類似性がありますね。
さて「モーガン」に話を戻しますが、舞台はちょっと未来か、もしかしたら現代(メルセデス・ベンツGLAなど、登場する車は現代のもの)。
どこかの極秘施設で人工生命体を生み出す研究を行っており、何世代かを経てようやく人間と同等かそれ以上の生命体「モーガン(アニヤ・テイラー・ジョイ)」を作り出すことに成功。
しかしながらその「モーガン」が施設内で事故を起こしてしまい、人工生命体を研究している会社の危機管理コンサルタントである女性(ケイト・マーラ)がその調査にて施設に派遣されるところから物語はスタート。
その施設ではモーガンを実際の人間と同様に扱っていて「彼女」と表現するのに対し、危機管理コンサルタントは「モーガンは人ではなくモノ」といった姿勢を崩しません。
モーガンは実際のところ6歳ですが、見かけや知能は13-15歳くらいの女の子であり、身体能力は成人男性をも凌駕するほど。
危機管理コンサルタントはモーガンが「失敗作」と認定されればそれを「廃棄」する権利を持っているわけですが、施設の人々がモーガンに抱く歪んだ愛情、そしてそれが生む新たな悲劇が物語の中心となってゆきます。
モーガンは教育担当係が「見せてくれる」と約束した湖を見にゆくために施設からの脱走を試みますが、彼女が施設の人々から受けたことに対する「復讐」があまりに(救いがないほど)残酷であり、それを阻止しようとする危機管理コンサルタントの状況判断能力と処理能力の見事さがみどころ。
ラストにはあっと驚くオチが待っていますが、このオチはリドリー・スコット監督作品には見られないものであり、「ブレードランナー」において「デッカードは人間なのか、レプリカントだったのか」という論争に対する一つの答えとなっているようにも思います。

Posted at 2016/12/28 08:00:47 |
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