
さて、新型ランドクルーザーに試乗する機会を得ることになり、ここでその印象などを述べてみたいと思います。
試乗したのは先日紹介したブラックのGR SPORTS、3.3リッターディーゼル(5人乗り)。
ぼくは以前にドバイの砂漠を走って以来ランドクルーザーの魅力に取りつかれているわけですが、帰国後に購入しようと(先代ランクルを)試乗した際、「(砂漠とは違って)街なかでの扱いにくさ」に直面し、そしてその頃からフルモデルチェンジのウワサがあったために「新型ランクルを待とう」と考えることになったわけですね。
よって今回の試乗にはそうとうな期待をもって臨むこととなっています。
まずは新型ランドクルーザーの外観について。
グレードはGR SPORTなので、大きな開口部を持つフロントバンパーやグリルが与えられ、グロスブラックのアクセント、「GRバッジ」にて外観が引き締められます。
全体的なイメージはオフローダーというよりは「スポーツカー的」でもあり、ダーク仕上げのホイール、コンパクトに見えるキャビン、大きなルーフスポイラーがそう感じさせるのかも。
新型ランドクルーザーのボディサイズは全長4,965ミリ、全幅1,990ミリ、全高1,925ミリ、ホイールベースは2,850ミリ、車体重量は2,850kg、最小回転半径は5.8メートル(ボディサイズに比較すると、最小回転半径はそんなに大きくない)。
インテリアはGR SPORT専用のブラック&ダークレッドで、落ち着きがありながらも情熱をかきたてる仕様です。
全体的に見て、前後バンパーやホイールアーチ、ボンネットにはダイナミックさも感じられ、反面ヘッドライトやフロントフェンダー/ボンネットの境界はフラッシュサーフェス化が図られ、繊細な雰囲気も。
そこで早速新型ランドクルーザーに乗り込みますが、最低地上高が225ミリもあるのでフロアが結構高く、ステップを利用して乗り込むのがベター。
シート表皮は本皮で、しかし国産車にありがちな「樹脂べったり」な表面ではなく、やわらかくしなやかな手触りを持っています(レザーには厚みもあり、これまでのトヨタのようにノッペリしていない)。
ブラック部分にはダークレッドのコントラストステッチが用いられ、シート中央にはパーフォレイト(穴あき)加工が施されており、シートベンチレーションを作動させると暑い日でも非常に快適。
そしてエンジンを始動させることになりますが、新型ランドクルーザーには「指紋認証」エンジンスタートが用意されており、登録された指紋をを持つ人であればエンジンスタートボタンをプッシュするだけでエンジンをスタートさせることが可能(そうでなければ、ボタン付近にキーを近づけてからエンジンスタートボタンを押せばOK)。
エンジンスタートは非常にスムーズであり、若干のノイズを伴ってエンジンが目覚めるものの、誇大表現抜きで振動は「皆無」。
なお、新型ランドクルーザーでは快適性に多大なる注意を払っており、吸音材や制振材が大量に投入されている、とアナウンスされています。
その後はギアをDに入れてスタート。
アクセルを踏めばパーキングブレーキは「自動解除」となるのでそのままアクセルを踏んで走行開始しますが、ここではその静粛性に驚かされることに。
これは先代ランクルと大きく異るところで、ディーゼルエンジン特有の振動や高圧インジェクターのサウンドがかなり抑え込まれています。
エンジン音は車外から聞いてもほぼ気にならないレベルで、ノイズの発生源から徹底して音を抑え込んでいると考えて良さそう。
ちなみにパーキングブレーキが解除される際の衝撃や音は全く感じられず、そのままスルスルと走り出します。
なお、ボンネットの両端が盛り上がっているので車両感覚を把握しやすく、ルームミラー、ドアミラーによる視認性も良好であり、大きな車ではあるものの、実際に運転すると非常に扱いやすいようですね。
トランスミッションには10速ATが採用され、ドライブモードを「ECO」「コンフォート」「ノーマル」に入れておくと変速ショックは文字通り「皆無」。
一方「スポーツ」「スポーツ+」に入れるとドライブトレーン、サスペンション、ステアリングホイールが「スポーティー」に変更され、とくに変速はガッツンガッツン来るという印象です。
そして「コンフォート」「ノーマル」ではややロールを共用する足回りも、「スポーツ」以上ではビシリと安定。
ただ、一通り試したところでは、「コンフォート」「ノーマル」が新型ランクルの性格に合っているのかもしれません(もしくはカスタムモードを選び、好みの設定を行ってもいい)。
試乗コースは街なか〜ワインディング(上り)〜ワインディング(下り)〜街なかというルートで、けっこう様々な条件でランクルを試すことができたと思いますが、とにかく快適でスムーズという表現がピッタリ。
ドライバーがアクセルやステアリングホイール、ブレーキの操作を行えば、クルマが状況に応じて最適な反応を示すというイメージがあり、どんな状況で、どんな無理難題をクルマに押し付けても難なくこなしてくれるかもしれません。
なお、急な上り坂であっても、10段ATの細かく刻まれたギアによってストレスなく登ってゆくことができ(それどころか思うように加速すらできる)、しかし車内にはエンジン音の唸りを伝えることもなく、こういった部分からは余裕すら感じられます。
とにかく何も気を使うことなく運転できるのが新型ランドクルーザーということになりそうですが、意図的に急ハンドルや急ブレーキ操作を行ってもピッチやロールが最小限に抑えられ、まさに「大船に乗った」という感じ(ただしクルマはちゃんと意図したとおりに曲がったり停まったりしている)。
とくにブレーキは特筆に値する部分で、効き始めがマイルド、そしてブレーキペダルを踏めば踏むほど「真綿で首を締めるように」効くようです(ポルシェよりもその印象が強い)。
そして、最後にピタリと停止する際の挙動も安定していて、「最後のカクッ」がないのもいいですね。
車に乗っていると、疲れているときや体調が悪いときなど、ともすると操作がラフになりがちですが、そういった際でもクルマの挙動が乱暴にならず、やさしく乗員を包んでくれるというイメージです。
つまりは乗り手に負担を強いることや、特殊なスキルを要求することは一切なく、誰でも楽しく安全に、快適に走れるのが新型ランドクルーザーだと捉えています。
ぼくはこれまでにもメルセデスAMG G63、ランボルギーニ・ウルス、ポルシェ・カイエン、ベントレー・ベンテイガ、マセラティ・レヴァンテ、メルセデス・ベンツGLS、ランドローバー・ディフェンダー、ジャガーF-PACEなどに試乗していますが(プレミアムメーカーではアストンマーティンDBXとBMW X7、アウディQ8に乗っていないくらい)その中でも群を抜いて快適で扱いやすく、懐が深いクルマという印象を受けています。※逆にキビキビした動きだと、ランボルギーニ・ウルスやポルシェ・カイエンに軍配が上がる
そして今まで試乗したSUVの中で新型ランドクルーザーに比肩しうるとすれば「ランドローバー・ディフェンダー」。
その悪路走破性(実際に悪路は走っていませんが)、快適性、テクノロジー、そのポジショニングや価格を考慮すれば「真っ向からぶつかる」かもしれません。
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