昨日、無事エンジンが起動したシルビアさん。
ここまでは順調だったが、どうも聞きなれない音が。
はじめは長い事エンジン掛けず置いてあったので、
油圧タペットの音かと思ったが違うよう。
音の正体は“インジェクター(燃料噴射装置)”の辺りから(;^_^A
しかし、この辺りはバラしてないからなぁ・・・
LINKのパラメータでも異常が無いし振動も出てないから取りあえずは無視するかw
この噴射装置・・・昔から色々物議があるので少し触れようと思う。
まぁ大まかな作動原理等は割と理解されていると思うので割愛(イキナリカッ!)
今回は間違えやすい所を少しだけ。
そもそも自動車の内燃機(エンジン)は”大きなポンプ”だと思ってもらえればいい。
「空気を吸い込み圧縮膨張(燃焼)して排出する。この時、入口温度と出口温度の差が仕事量となる。」
だが空気だけでは膨張しないので、化石燃料を足して膨張させる。
この時、内燃機に吸入される気体には混合比と言うものが存在し、
それを数値化したものがA/F(空気燃料比率)だと思えば分かりやすい。
内燃機におけるA/Fは様々な説が存在するし、
空気の密度や燃料の密度、ポートやバルブに付着してロスしたり、
排気圧力や脈動により数値流れ(ドリフト)もするので、
正確な空気密度を割り出すのは難しいが、近年センサーの精度が上がりかなり良くなった。
それでも誤差や計測器の精度などがあるので正確かと言えば・・・疑問もある。
話がそれたがw
A/Fは空気と燃料の比率だと先に書いた。
ではなぜターボとNAで空燃比が違うのか?・・・それは温度が関係してくる。
NAは自然吸気の為、エンジンの慣性だったり負圧などで空気を自然吸入する。
当然多くの空気を吸い込むのには排気量だったりバルブ径や開弁時間、
カムシャフトのタイミングなど様々な物が関係しているが急激に温度変化はしないのがメリット。
一方ターボはある程度の排気圧力が出ればタービンが過給し強制的に空気を押し込める。
その反面、空気は圧縮すれば温度が上がって密度が下がり出力が低下する。
内燃機に入れる空気は密度が大事、その為インタークーラーなどで冷却し戻そうとするのだが
実はさほど落ちない事も多いし、増えた重量物で走行風を遮るだけでなく、
I/Cの熱を奪ったコアを通過した暖かい空気が他の問題を引き起こすことも多い。
その為、ターボでは大量の空気をシリンダーに送る為もあるのだが、
内燃機の圧縮行程でただでさえ熱い混合気の温度が上がるのを懸念し
圧縮を落とした低圧縮内燃機が主流であった。
混合気の温度が上がればデトネーション(着火前異常燃焼)を引き起こす。
一般的に言われるノッキング(着火後異常燃焼)より内燃機に悪影響を及ぼし、
最悪のケースではシリンダーヘッドが溶けたりなどの問題を引き起こす。
近年、低速時の加速補助のため圧縮が割と高く低過給圧の内燃機もあるが、
これはあくまで走行性能の為ではなく補助の役割が大きい。
実はターボの場合、吸入する混合比もNAとは違う。
”ガソリン冷却”と言われる混合比の為に高回転高負荷の必要燃料がNAとは大きく違う。
一般的に1馬力当たりの燃料消費率(あくまでノーマルエンジンでの話です)が、
NAは220g/psh、ターボが280g/psh、ロータリーが350g/psh必要といわれ、
過去の水平対向はガソリン冷却を減らすとブローする事も多かった。
なお・・馬力は時間単位なのでpsの後にhが付きますし燃料は量ではなく重さです。
F1などの中継でガソリン補給の場合重さで解説が入るのは業界では重さが基準だからです。
最近、この燃料消費量の低減が燃費に直結しますから内燃機構造が変わって来たと言われます。
よく「俺のインジェクターは○○○ccだから○○○psまで」と言う言葉を耳にしますが、
これはターボやNA、ロータリーで変わってきますので注意が必要です。
そもそも最大希望出力に対し燃料の計算式は・・・(文面で書くには分かりにくいですがw)
必要燃料(cc/min)=(要求馬力(ps/h)×燃料消費率(g/psh))÷(ガソリン比重×60(min))
で計算できますが・・ガソリン比重の計算がめんどくさいwので一般基準で書いてあります。。
なお、大まかですが6気筒エンジンに着いているインジェクター容量が要求馬力に近く
4気筒エンジンでもその計算で説明されている事が多いようです。
例えば・・・RB26に着いている444ccをRB26で使うなら約440psまで
そのインジェクターをSRに移植すると・・444cc×4気筒÷6気筒で290psとなります
先ほどの計算式に当てはめると・・・
=(290(ps/h)×280(g/psh))÷(0.75×60(min))となり
=81200÷45
=1804.4÷4気筒
290ps/h=451.1cc/min@1気筒
となり、ほぼRB26のインジェクター容量になります。
ここであれっ?と思った人も多いはず。
そうです上記の計算式にある燃料消費率はターボ車のもの、
と言う事はNAなら必要馬力に対してターボとはインジェクター容量が違う?
そうなんです、自動車アフター業界で言われる必要燃料はターボ基準なんです。
先ほどの公式に要求馬力290ps/hはそのままでNAに置き換えてみましょう。
=(290(ps/h)×220(g/psh))÷(0.75(比重)×60(min))
=63800÷45
=1417.7÷4気筒
290ps/h=354.4cc/min@1気筒(NA)
となります(ガソリン比重は共に20℃のもので計算)。
緻密に言えば・・・過去じぶんで取得した実測データから、
インジェクターは最大容量の91%(平均値)で飽和する事が多いので、
290psを狙うなら354.4cc/minより10%程度大きいものがベストといえると思います。
オーテックは通常のNAと同じ、1気筒270cc/minと言われていますが、
先ほど書いたように単純計算で、270cc/min×4気筒÷6気筒で計算してみると180ps/h。
ここから「燃料足らないじゃん!」と言う噂が出たようです。。正確には・・・
必要燃料=(200ps/h×220g/psh)÷(比重0.75×60min)なので、
244.4cc/min@1気筒でオーテックの200psには足りる計算になります。
(しかも270cc/minのフル噴射の約90%数値・・・オーテック社秀逸w)
ただし、ガソリン比重は20℃の時のものですから、
温度が変われば比重(一般的に70℃で0.71と言われます)は変わりますし、
燃料消費率もエンジンチューニングなどで変わりますので、
エンジンに手を加えると合わなくなってきます。
そこをどう計算し最適な燃料を噴射させ熱変換を行うのか?
これこそがチューニングの面白さだったりします♪
またちょっと思った事が有ったら、なるべく理解しやすく砕いて書きますが・・・
あくまで一般人の私でも理解できる内容なので参考までとしてください・・・w
(これで、闇雲にいじるのでは無く少しでも内燃機や構造に興味を持ってくれる人が増えたら嬉しいです♪)