車に乗り出してから30年、過去50台オーバー乗り継いできたが、
1台としてノーマル車両は無かった、そこで自分なりの持論を。
あたしはバネオタクなので、過去にはメーカー吊るしのサスペンションから
シャコタンバネ、直巻き、デュアルレートなどなど様々なバネから、
峠、最高速、ストリートドラッグ、サーキット、競技などの仕様、
ハイパコやスイフト、アイバッハ、ヴェステックス、メルヴァなどなど
様々なスプリングをとっかえひっかえして来た。
バネは車の部品の中でも見た目や乗り心地、さらには安心感まで様々な状況で
車体とタイヤを繋いでいる、そんなバネだが・・・
意外に脚光を浴びない縁の下の力持ち、今回はバネのみに話を進めて行こうと思う。
人が一番関心がある部分は仕様によって違うが、
バネは「ちゃんと動かさないと不快な波長を起こし、終息に時間がかかる」
だが車の性質上どうしても波長は起きる。
以前も書いたが"バネは短ければ動きが速く、IDが細くなれば屈曲率が上がる"
現在の車高調は概ねID65をベースにする事が多いが、
クリアランスの問題でID60を使わざる得ない事も非常に多い。
そうなると屈曲が起きやすくなるだけでなく動きもシャープな方向になる。
わかりやすく書くと・・70→65→60の順番でナロー→シャープになる。
長さは動きのスピード(シャープさ)に影響する。
8in→7in→6inの順で遅い→速いと考えるとわかりやすい。
ハイスピードコースになればなるほど加減速時間は短くなるので、
移す荷重スピードも速くしないといけなく、国際コースなどでは短いバネが多用される。
さてレートだが、実は硬さとは何の関わりもない。
そもそもレートは荷重に対し何ミリ縮むかを表したものなので硬さの表記ではないし、
バネ本来の特性や長さや太さでも性質は全く変わる。
「この車は16kgfで6inのバネだからノリ心地はガチガチ」と言うのはちょっと違う。
バネが回転して縮むのを邪魔しないよう、アッパーシートやロワーシートに
特殊なピロを入れたりシート入れたりすると、レートを低くした様な状態になる。
(このスプリングアッパーシートは半年間使用したもの、スプリングが当たる面に回転方向の傷が付いているがこれがバネが回転しようとした跡)
(こちらは同期間使用したピロボールが入ったアッパーシート、ものの見事に傷はない)
硬さと言うのはバネのレートで起こるものというより、
縮初めなどのシート上をバネが回転する所で引っ掛かりが出て硬さがでる事が殆ど。
その為、バネが回転しにくいサスペンション形状はこの独特な硬さが出る。
しかもバネが回転しにくいサスペンションはバネが耐え切れず屈曲も起こしやすい。
屈曲が起きると本来のレートは発揮できず、振動や波長を起こし
ドライバーにインフォメーションが伝わりにくい。
硬さはある程度の安心感をドライバーに与えるが、通常走行は硬くてキツい、
結果、レートダウン→今度は曲がりにくい→他の部分で何とかしようとする→迷宮入り
バネを変える前にもう一度脚を見てみるとそのままのレートでやる事は沢山ある。
何度も書くがまずは「バネの動きを妨げない事」
実はこれをしないと本来のスプリングの能力は発揮出来ないばかりか、
間違ったイメージになってしまい「ハイレートはノリ心地が悪い」となってしまう。
そこで低レートのバネを使うと確かに柔らかいのだけれど1輪荷重に対してアンダーレートとなり
今度はピッチングやウェービングが起き乗り心地が気持ち悪い車になってしまう。
シルビアを基準にすると車両重量1250kgで街乗り~ミニサーキットなら
F8kgf、R6kgfが基準レート、場所で説明すると難しくなるので、
0~150km位のスピードレンジならこれが基準でいいと思う。
あくまでドライバーの技量や車の仕様もあるので基準値だと思ってほしい。
ココから2kgfアップするとスピードレンジが25km上がると考えれば分りやすいかな。
これは専門的な考え方では無いし、自分が過去に乗ってきた沢山の車両で
あたしなりのセッティングの参考値、言わば足を作る時の基準値なのでお間違えの無い様。
この8kgf、6kgfはバネの動きを妨げなければ、サーキットで遊べて乗り心地もいい。
うちのシルビアは前回までのテストレートF8kgf、R10kgfから、
思う所と欲が出て、真逆の方向に大幅(?)に変更した。
今の仕様でのトップスピードはサーキットでの170km付近まで。
当然街乗りをしてサーキットに行くのでバンピーな状況もある。
以前使用していたHALの低反発バネは、街乗りなら最高に良かった。
ブレーキこんなに上手だったか?と勘違いするくらい減速時の動きは最高。
だがリアレートが高かった事もありコーナーのクリップ付近で荷重を移す"タメ"が必要。
ここでアクセル操作に間髪入れずに移行すると、リアに荷重が移り切っていないので、
強オーバーステアになり、緩やかな低反発なのに操作が逆にシビア。
ただこの低反発が悪いのではなく仕様によるものだと思う。
逆にアクセルオンでフロント荷重が抜けやすいFF車や
アクセルオンでリアを自由に動かせるのでドリフト仕様などには合うと思うし、
ドラッグスタートなどでリアの荷重を抜きたくない車などには低反発は大きな武器になる。
でもうちのシルビアさんはあくまで"ミニサーキットのグリップ"が主。
以前の車のように"公道も走れるレースカー"では無く今回は"チューニングカー"
せっかく良い物が着いているので、タイヤのグリップをトコトン詰めてみたくなった。
そこで今回はF8kgf低反発からF10kgf高反発へ変更し
フロントからリアへ移行するのを素早く移せるよう仕様を変えた。
HAL SPRINGSはスプリングレンタル制度があるので気軽に試せる。
リアは10kgf低反発からフロントで使用していた8kgf低反発にチェンジ。
減速時の操作はフロントの反発が高いのでブレーキ踏力を変えない操作が必要になるが、
減速しながらターンを開始し、向きが変わり次第アクセルを入れれる方向にした。
FRはリア荷重を抜くと加速も鈍るので今回はレートを下げる方向へ。
前が"減速重視”なら今回は"加速重視"と言ったところか。
試しに試走してみると、思ったほどフロントの反発は強くなくて、
思いのほかブレーキングでタイヤを潰す量もコントロールしやすい。
HALの高反発はハイパコより反発は低いそうなので
ターン入り口のハンドリングがハイパコに比べ少々劣るかなと思ったが、
逆にストリートからミニサーキットならならこちらの方がちょうどいい感じがする。
フロントダンパーのストロークが少々多いので、舵を切る側にアシストは入れない主義なのだが
ストローク調整の為に今回はENDLESSの新型アシストを入れた。
ここはレートが決まり次第ダンパー変更もスプリング特注も行うので、
当分はこのままでまずは基準レートを決めます。
なにより、反発とレートは違いますが8kgfと10kgfの
乗り心地硬さが変わらない、変わったのはステアのしっかりした感じと、
路面やタイヤのインフォメーションが格段に良くなった。
後はリアに移した荷重をコントロールするのに、
低反発が良いのか中、高反発が良いのかを走らせて決めます~♪