この数週間、なぜだか“リアルなお友達”から相談を受ける事が多い。
内容はこれまた何故か“サスペンションセッティング”について・・世の中で流行っているのか?
何回も説明するのが面倒くさくなって来たのであたしなりの考えを書いておこうと思う、リアルな友人もこれを見てるようなのできっと参考にしてくれるはずw
そもそもサスペンションのセッティングが難しいのは、「どうしたら自分の好みになるのか解らない」のと「予想と違う動きをすること」だと思う。
サスペンションの役割は“乗り心地”が大前提でそれと同時に“タイヤをいかに路面に接地させるか”の2点が最大の問題。
そのため様々な方式やアーム類を含め開発されてきたのだが、これという決定打はいまだ出来ていない、自動車の長い歴史の中で大きく様変わりする部位でもある。
サスペンションには大きく分けて2つの部分が存在するとアタシは考えている、タイヤを決まった方向に動かす部位と衝撃を吸収する部位の2つ。
例えばサスペンションアームは何かを制御するというより状況に応じてタイヤの“押さえつけ”と“緩め”をする部位、自動車の運動上に起こるものだったり地球の重力だったり路面の入力だったり、人間が意図して行う場合と路面からの入力で起こるものが動きの大前提。
それに対し衝撃吸収の部位は衝撃を和らげるだけでなく、走り方によってタイヤを路面に押し付ける際に使用される。
先日、お友達と話していて「バネレートを上げようと思うんですが・・」と言われた。
彼は運転も上手くどちらかといえばストロークがたくさんほしいタイプ、今の足の詳しい仕様がわからないので話を聞くと・・・すっかり迷宮に迷い込んでいるよう。。
詳しい状況を聞きながらふと思った、みんな頭の中に伸び縮するのはサスペンション本体の事しか無いのか?
確かに目に見える場所でサスペンションは一番目に付く、初めて足を変えてタイムアップする人も多いので仕方がないのかもしれない・・・だがちょっと待って。
バネレートの交換をする前に今のバネレートが本当にダメなのか?やってみてからでも遅くはないと思うと話した。
彼はFF乗り、当然フロントの接地を追い求めるためあれやこれややってきたのはわかる、だけどバネは“自由に動かして初めて能力がわかる”もの、サスペンションの良し悪しはダンパーで決まるのではなくバネで決まる、ダンパーは組まれたレートを的確に制御するだけのもの。
車にはバネの役割をするものは沢山ある。
スプリングにスタビ、バンプラバーにゴムブッシュ、この中で意図してスピードを制御できるのはスプリングのみ、ショックアブソーバーがその役割を担う。
だがスタビの捻じれるスピードだったりバンプラバーだったりは2次とも3次ともいわれるスプリングなのだがスピードコントロールは運転中にできないに等しい。
ちなみに・・・これはシルビアのリアナックル部のブッシュだが・・・とても動くようには見えないw
ブッシュはゴムをねじって動くがこれだけゴム部が少なければ・・・ただこれには理由があります、ブッシュが動きすぎるとアライメントの変化が大きくコントロールが難しくなります。
強化ブッシュを使うとアライメント変化が少なくなり運転が楽になるメリットはあります、最近のFF車はリアに“トーコントロールブッシュ”が使われている車両が多くブッシュをたわませてトーをコントロールしています。
とは言え・・足をいくら動かそうと頑張ってもタイヤが取り付いているところのナックルブッシュがこれでは・・・正確なレートや特性なんて出るはずがない。
なので最近の一部の車は純正でピロブッシュが使われている車が多くなりましたね。
これはシルビアのリアダンパーだけど、アッパーはピロにする人が多いがロアはブッシュだったりする、ダンパーも直線的な動きではなくアッパーを支点にして円運動なのでいささか疑問が残る。
つまり今のバネレートは本当にレート通りの動きとして認識しているか?となる。
その昔、ジムカーナはレギュレーションでスプリング交換が認められなかった(今はどうかしりませんw)
その為トラクションを稼ぐためハードなブッシュを使い2次レートを上げダンパーで締め上げて走らせた、時と場合によってブッシュはバネの代わりに使われる。
実はこの2次レートがサスペンションセッティングを分かりにくくしている。
「このサスペンションのレートはフロント10kgfリア8kgfです」・・・なるほど...設計した車の細かい仕様は?・・・分かりませんがプロが作ったそうです。
ありがちな話、どうして10kgf8kgfになったのか?全く見当もつかないww
設計した車に強化ブッシュが入っていたりピロ足だったり・・その時点で自分に合うか全く理解不能。
「このダンパー、コーナリングにめちゃいい!」・・・コーナリングに作用するのはスプリングのみでダンパーは関係ありませんw
ダンパーの仕事はバネの伸び縮をコントロールすることであって、加減速の時や路面からの衝撃を穏やかにするもの、減衰を上げると固くなったり柔らかくなったりしますが、バネの伸びるスピードを変えて荷重の移る速度を変えるものです。
こんな話が大量では???となるのもうなずけるなぁ💧
まず今の状態を的確に理解するため“バネをきちんと動かす”のが大事、何も制約を受けず自由に伸び縮させて初めて合っているか否かが見えてきます。
コイルスプリングは特性上“回転しながら”だったり“屈曲しながら”伸び縮みをします、この時スプリングシートに回転させる物がなければ急に縮んだり引っかかったりして動きに硬さや急変化な動きが出たりします。
こんな状態ではまともなレートなど出せません、スプリング以外の部分もなるべく自由に動かす方がセッティングは出しやすいです。
その状態でスプリングレートを出した上で次はスプリングの反力性能を見ます。
あたしが愛用するHAL springsは反発の違いが明記されていて合わせやすいので最近多用しています。
うちのシルビアはフルピロ化されすべての動きを自由にしたうえでHALの高反発を使用、以前は低反発を使用していましたが、アクセルオンで若干前から後ろに移るスピードが気に入らなかったので高を使用中。
一切ゴムブッシュを使っていないシルビア、ダンパーロアブラケットもピロ化してあります。
リアのバネレートは9kgfで充分、プロにも内容を伝えず乗ってもらったが“この足、初心者の練習にも抜群!、足の動きがよくわかる”と評価を頂きました♪・・・この状態で乗り心地も全く問題なし、サーキットに合わせ車高と減衰を少し変えるだけで様々な場所を走ります。
対してFFベースのムラーノはアーム類がノーマルと言うことをふまえたうえでフロントに荷重を残し気味にしたいので低反発のスプリングを使用しています。
ボートを牽引するので動きが速い車は疲れてしまうためにこのようなセッティングになっています、レートは車重もあるけれど前後とも10kgf通しで使用しています♪
サスペンションは奥が深く非常に難しいですが、何かきっと気に入らないとこがあって変更を考えると思います、その際タイヤの状況を思い返すと多少理解しやすいと思います。
あたしはいつもまずちゃんと動かしたうえで、タイヤの動きを注視してセッティングに入ります、そのほうが迷宮に入らなくて済みますからw