最近、Xなるものを始めた。
そうしたらあちこちでフォロワーさんが増え、よく聞かれるようになったのがボディ。
コレは…かなり長い物語になるのでブログで書くのが良いと思うので改めて書こうと思う。
シルビアを買った理由…VEを積むのに部品が多く販売されているクルマが必要で必然的にS15になった。
くしくも…DRAG S13ヨメシルビアを降りる理由になったクルマ、気持ちは複雑だった。
アタシはGT−Rマニアでもあり、人生最後はBNR34で終わる予定だったがとても買える車では無くなってしまった。
その代わりがS15シルビア。
なら徹底的に自分の好みに作り直そう、そこからいつ完成するかもわからないプロジェクトが始まった。
ナンバー無しのオーテックを埼玉から買い取った、距離が飛んでいたので60万以下で…今考えたら底値に近かった。
前オーナーは女性らしく、パチモンの純正風エアロがパテ埋めされていたが所々割れが出ていて、みた感じはボロボロの16万キロ、車屋さんの店長が‘本当にコレで良いんですか?’と言うくらいの状態だった。
全部作り直すので大丈夫です、そう言って引き取ったシルビア。
実は80台以上のクルマを所有したがシルビアは初だった。
愛知に持ち帰り…さてどこからやるか?
製作には5年以上費やすだろう、ならナンバー取る前に‘ワイドにしてしまえ’と言うことでフェンダーを探し始めた。
アタシはブリスターが好き、もっと旧車なら迷わずバーフェンなのだがS15ならブリスターの方が似合う。
だが…派手なモノが多くなかなか良いモノが見つからない、フロントフェンダーのダクトすら要らない…そんな中売っているモノは大まかに分けて2種類くらいの派系だと気づいた。
そこで1番目立たないフロント20mm、リア30mmに行き着いた、‘コーラ瓶ボディ’と言われるフロントよりリアの方が広いパターン
選択したのはMスポーツのフロント20mm、リア30mm
コレをいつもお世話になっている板金屋に持ち込んだ。
ココの板金屋、年老いた社長と年老いた工場長の2人でやっていて、この近所で1番うまいと言われていた。
‘社長、ワイドボディにして欲しいんだけど’
‘あぁ…そんなもん長く持たねぇからやめとけ’
‘いやぁそう言われるのは分かっててもう買っちゃったんだよねw’
‘…ったく、工場長トコに置いてけ’
‘予算も厳しんだよね…いくらくらい?’
‘そんなもん貼って塗るだけなら25万くらいでいけるだろ’
‘んじゃクルマとフェンダーと25万置いてくわ’
こんな感じで始まったワイドボディ計画、この時はまさかこんなんになるとは夢にも思ってなかった。
工場に行き部品を置いて行こうとすると工場長が
‘なんだーコレ…FRPのフェンダーか?’
工場長は社長と違い完全な‘職人’
割とウマが合うのでいつも相談事は工場長にしていた。
‘ウチのシルビア、ワイドボディにして欲しいんですよ’
すると工場長が’おぉ良いねぇ、オレはこう言う若い子(アタシは若く無いが)が好きそうなGTカーみたいなのが好きなんだよ、保険の板金なんてちっとも面白く無い‘
’よし!良い機会だオレの最後の仕事で凄いの作ってやる!‘
年齢が年齢のためそろそろ引退すると言う話だった
’いやいや工場長、予算もあるのでその中でやりたいようにしてくれて良いんでお願いします‘
本来なら色々やりたかった…だが当時予算は底をついていてただ貼ったボディを覚悟していた。
預けて1ヶ月…
シルビアが気になり見に行った、すると工場長が工場の隅でフェンダーを磨いていた。
工場長、どおしたんすか?
’おーオレはよーこのナミナミのFRPが許せないんだよ、だからギリギリまで削って面出してんだ、そうだ’
ボディ加工が始まっていたシルビアを見ながら工場長が…
‘ボディハスに切り上げてフェンダー貼るのは良いんだけどよーインナーはどおすんだ?’
そこまでの予算は無いのでできる限りで良いんでお任せします
そうしたら
‘インナーフェンダー作っといた、コレでサビで朽ち果てることもないだろ’
あぁありがとうございます…💧
‘あとよーギリギリまで面出ししたんだけど…このフェンダーどう貼るか悩んでんでんだけど’
ウチにパネルボンドがあるんでそれで貼ります?パネルボンドなら硬化したあとパテみたいに修正できるんで。
‘それ興味あった!なんだ持ってんのか?持ってこい’と言うことで
貼り付けはパネルボンドを使用。
工場長、強度があるギリギリまでミミ切って下さい太いのはかせるんで…
‘おう、そう言うと思ってすでに5mmまでカットしてあるわー’
‘でもよーフェンダー薄くてインナーも作ったんだけど押すとベコベコするんだよー、なんか気に入らん’
ならウレタン突っ込みますか?パネルフォームたくさんあるんでとフェンダーの中に発泡ウレタン充填したら
‘そうそうフューエルリッド奥に入るのカッコ悪いからよー外出しといたわ’
ステーもワンオフされてたw
そうやってできたリアフェンダー、工場長と楽しくやっているのを見て塗装担当の社長が来て
ここまでやったらドアとフェンダーの段差が気に入らんと参戦w
ドアの耳を手曲げで曲げてパテで修正し始める始末w
こうなるとアタシの出番はなく…そっと工場を後にした、老人2人が昔を思い出したようでやりたいようにやってる姿、もうこう言う職人達とモノを作ること減るんだろうな…あとは任せよ。
数ヶ月後…できたぞーと連絡があって工場に行くと出された請求書は…片面で60万w
いやいや社長、コレ聞いてないよーこんなの払えん
そう言うアタシに社長が
‘まぁ良いわ…最後に楽しい金勘定無視の仕事は楽しかったわ、今までありがとうな’と
工場長は
‘どうだオレの最後の仕事は…ちょっとしたストリート走るグランツーリングみたいだろ…この車やれて楽しかったわー’
そう言って作られたS15ワイドシルビア。
みんなのこだわりは…
この部分だけ唯一ワイドフェンダーと分かる部分、ノーマルボディはテールとリアフェンダーの合わせ面に段差はない。
‘例えシルビア乗りで合っても気づかないワイドボディ’
派手なボディが今のトレンドだろうが、おっさんと爺さん2人がやりたいように作った大人が乗るボディ。
安くやる方法もたくさんある、だけどギリギリまで長く乗れる工夫がされアタシの‘終のクルマのボディ’ができた
たくさんの職人が‘GT’と言われるモノを具体化し、エンジンはグランツーリングレースで活躍したプリメーラから頂いたヘッド…みんなの思いが詰まって命名された‘Spec−GT’
残念ながらこのボディを作ってくれた板金屋さんはすでに廃業、絶対に壊せない宿命を背負ったが…やらせてくださいと言う若い板金屋さんが見つかった(既に15軒に断られた)ので思いっきり走ろうと思います😊