今年の秋は例年と違い
シルビアのミーティングに出かけたり
BNR32の集まりに混ぜてもらったり。
例年だとサーキットシーズン前で忙しいんだけど、今年はまったりできる事が多くて‘こう言うのも楽しい’と感じる様になった。
とはいえ…ウチの車はSNSなどでしか出しておらず、現物見て質問をたくさんいただいたり‘どうされてますか?’などの質問より多いのが‘LINK’についての事が非常に多い。
単純にどれ選んだらいいですか?から‘こんな状態で…’などなど
アタシも人が作ったデータ見たり弄るのはできるだけしたく無いのだが‘秘密裏’に見させられることも。
セッティングと言うのは…‘取れててオーナーが乗って不満がなければOK’と言うのがざっくりしたとこで…乗ってるうちにと言うのもわかるし、中には作った人が誰かわからずなんて事も結構ある。
で、その中でも最近特に気になる事が多いのが‘点火’
フルコンと言うと‘パワー出してナンボ’なイメージなのか‘燃料突っ込み過ぎ’だったり‘点火激早’だったり。。
‘ECUはエンジンの状態を限りなく最適にしてやる事が仕事’なので、そこまでとんがらなくても…と思う事が非常に増えた‘ウチのセッティングはパワー出てるぜ’なんて愚の骨頂、本末転倒とも言える。
コレがまたいかんのが‘知識が薄いプライペータ’だけでなく、プロがやったのもチラホラあるから厄介だったりする。
燃料は薄くても直ぐに大きな問題を引き起こす事はあまり無い(長い期間、乳酸が貯まるみたいに、あるときー気に吹き出すパターンが多い‘燃料は適正かどうかも空燃比など見てればある程度分かってくるのでラク。
問題は点火、リニアに異常を判断する計器があるわけでは無い、唯一保険で使えるのもノックくらい、ノックモニターなるものもあるけれどストリートカーではノイズ拾いすぎてイマイチ。
点火の場合、コイルの配線がノーマル配線か引き直された配線かでも、点火時期数度変化してしまうくらいシビアなもの。
‘空燃比が適正なのにいまいちパンチがない’とか‘なんかエンジンだるい気がする’と言うのは点火が絡んでいる事が多い。
では分かりやすい事は無いか?と言う観点で少し書こうと思う。
イニシャル点火時期(アイドル時の規定点火時期)はクルマによって違う。
8~10°などの低く曖昧なものもあれば20°などの早いものもある。
RB26はイニシャル20°、RB25は15°こんなふうに違う。
この20°、正確にいえば‘上死点前20°’と言う意味なのだが、なぜ上死点前20°なのか?
そもそもプラグが火を飛ばし燃焼圧が最大になるのは点火して少し時間がかかる上死点後数度のところ、そのためある程度手前で火を飛ばし燃焼していく速度を加味している。
内燃機は燃焼室の形状やら圧縮比、ポート形状による混合気の流速や混合気温度、ヘッド周りの温度など様々な要素で状況が変わる。
回転が低くピストンスピードが遅い状況でこのポイントで点火したら1番効率も良く排ガスの状態も良い場所が指定されている。
言い換えればコレが点火の基準となる。
ピストンスピードが速くなれば当然点火するポイントはは変わりイニシャルより少し速い段階での点火が必要で遅角する事は理論上あり得ない、最近の特殊なエンジンでは稀に見る事もあるけれどほとんどの場合、回転が上がった場合イニシャルより点火が遅れる事はほぼ無いと言える。
エンジンによって熱に弱いとかもあるので点火異常はエンジンに致命的なダメージを与えるので十分注意してセットしないといけない。
この点火テーブルはたまたま見たクルマのモノだが、イニシャルは20°
よく見てもらうとわかるのだが下段(高ブースト側)の点火はイニシャルの20°を大幅に遅角されている。
おそらく高ブーストでのノッキング(デトネーション)が気になってこう言う点火時期にされているのだろうと予想できる、だがコレは逆にいえば自分からトラブルの元を作っている事になる。
高回転高ブースト時にアイドル回転より遥かにピストンスピードが早い状況でイニシャルより10°も遅い。
エンジンが混合気を吸い込み圧縮してピストントップの速度が落ちる頃に点火、燃焼圧はピストンが下がり慣性がで始める頃にMAX‘暖簾になんちゃら’の状態、しかもこの状況になると排気バルブが開き始めても燃えていない混合機が排気ポートで燃焼して排気温度が上がる。
‘空燃比は正常なのだがパンチが無い’状況、しかもこう言う状況だと排気温度は恐ろしい温度になるのでエキマニやターボフランジは熱で歪む。
以前やったRB25のターボがまさにその状況、社外のマニは目で見て分かるくらい反り上がり、ターボのハウジングも反り上がり再使用不可、点火が遅く無理やりブーストかけ全開のとこだけ合わせてあるセッティングだと見て予想できる。
ターボの排気ハウジングは大体1,000℃が上限と言われる、ノッキングでエンジンブローを避けたいので点火を遅らせるのは素人作業、その影響はこんなとこに出る。
‘日産のターボガスケットはよく飛ぶ’と言われる、確かに耐久性は低いが実はフランジ反っている車両が多い。
ガスケットの耐久性が低いだけでなくさらに追い討ちかけている場合も少なく無い。
‘じゃぁどのくらいにセットしたらいいんですか❗️’
ともよく聞かれるがそれは‘プラグの焼け見ながら’ヤルのが1番早い、例えば5,000rpm MAXで踏んでプラグとA/Fを確認、納得できたら1,000rpm上げてを繰り返す、その時排気温度がわかれば尚いいが、排気温度は中間見るのは非常に難しいので上限決めて踏む、やり過ぎると温度が溜まり上がるので排気温度はある一定のところで見るのがいいと思う。
アタシはターボ(直列エンジン)ならイニシャル+5°で卓上で高回転側テーブルをセットして始める、NAなら+10°。
その後何度もプラグなど見て最適なところに合わせていく。
点火は出力を上げるために独特な事はしてはいけない、エンジンが最適な膨張圧力を得られるためにセットするもの
計算速度が速いECUではテーブルはガタガタには絶対にならない、一瞬で読んで無いから大丈夫ではなく必ずそのガタガタがちゃんと読み込まれフィーリングに出る。
計算速度に優れるECUは一瞬でもちゃんと出力する、そのためセットがあったらエンジン音すら変わる。
フルコンにしたらパワーが出るのではなく、エンジンを最適なタイミングで動かせるだけ…結果それが出力だったりフィーリングに現れて気持ちいいものになる。
電気だけ出来ればセッティングができる、エンジン作れればセッティングできる…両方+αが必要なのがセッティング…
秋の夜長のオッサンの独り言💧