1月30日にオイルキャチタンクをW化しました。1週間で326キロ近所を走行した。峠で全負荷を掛けていないので、意図するオイルミストの取り残しをセカンドタンクで捕集するという事は検証できないが、普通の使い方に近い走りであると思います。
オイルキャチタンクのドレン作業が、冬場特に忙しいみん友がいる。面白いのは夏場にあまり取れずに余裕をかましていたのが冬場の黄水の多さに口閉しているようだ。なにがしか捕集できているのでそれでいいのですがうっかりオーバーフローさせる訳にはいかない。
●ブローバイガスの中身
1年中ブローバイガスは出ており、季節を問わず水分と油分は含まれている。クランク内とキャッチタンクの温度差でガス中の蒸気の飽和状態を利用して捕集するので夏場は少なく冬場は多くとれる。夏場取れないのは、温度差が不足しているだけである。
★オイルミスト≠油煙 エンジンの世界では同一視されていますが、機械屋の世界では分けて考えられています。オイルミストは機械的な運動によりオイルがせん断され細かく飛び散り発生したもの、油煙は燃焼や摩擦熱により生じたもので、粒径の大きさが異なります。
・オイルミストは比較的粒径が大きく、細目のフィルターで濾し取る事が可能ですが、油煙は水蒸気と同様に粒径が小さく1μmを下回るため、普通のフィルターでは捕集できません。そのため温度差による飽和状態を造り出し、小さな粒を凝集させ大きな粒とし、露滴させて捕集する原理になります。
●発生させない対策は難しい
・オイルミストはオイルミスト抑制剤(正体はポリマー)で粘度を上げることで低減できるが、使っている内にポリマーのせん断が進み効果が長くは続かない。せん断の影響を受けにくい粘度調整の添加剤や基油がせん断に強い物(PAO等)を選択したいが恐ろしく高い。
・油煙に対する対策は添加剤では難しいとの事で、基油が極力軽質留分を含まないものが望ましく、熱を受けると初めに軽質留分が油煙となって蒸発します。埼玉55の云う馴染みです。
・軽質分が少ないオイルの見分け方は難しく、密度で0.85を切ると軽質留分が多いのではないかと考えていますが基油だけではなく添加剤を含めた密度なので使ってみないと解りません。
●お勧めした手前どういう事なのかをしっかり話しておきたい。
先日ピュンピュン号はWタンク化した。シングルタンクでは取り切れていない油煙が吸気シャッターバルブへ廻っておりその対策という意味合いだ。
●位置と役割について
W化するに個々の位置と役割について改めて説明する。シングル時のタンクはブローバイ出口に近いバッテリーの上。フィルターを駆使しオイルミストだけキャッチし、★水分は素通りさせる。露滴効果ではなくフィルター材で濾し取っている。
たわしを入れると水分を取る事が出来るが、長距離走行をする埼玉55には道中のドレンは面倒であるので入れない。旅行中はトランクに工具とペットボトルを常備し、満タン給油毎に一応ドレンしている。
黄水(水分)は別に悪さはしないだろうという考えでそのままスルーパスさせている。これがいいのか?間違っているのか?今のところ知見は無い。その結果、水分以外の油煙もいくらか素通りしてしまっているのか?吸気シャッターバルブ周りがべちゃべちゃの小さな煤隗がポツポツ付着する。
2個目はエアクリの前、エンジンルーム内で2番目に温度が低い場所だ。中にはたわしを入れており、露滴効果で飽和水蒸気と残余の油煙をたわしで捕集する役割だ。
●調整について
1つ目の捕集物は灰色ヘドロのみ。2つ目は黄水と残余のヘドロになる想定だ。2つ目の黄水の溜まりが早くて忙しい場合は、1つ目に少量たわしを入れて1つ目にも黄水を捕集させ、ドレンが忙しくならないように1つ目に入れるたわしの量でバランスを取る。
●ホースの取り回し
長ければその分ブローバイガスの温度が下がり露滴しやすくなるが、★最重要事項★ホース中に露滴した水分が上から下へ流れるようにする。もしくは中間部分を山にし、ホース中の水分が第一タンクへ戻るか、第二タンクへ流れるようにする。中間部分が谷になるのはプロから厳禁と聞いている。
ホース中間の水分は冬場凍結して色々不都合な状況に陥るようだ。また、粘性の高いオイルやスラッジでホースを詰まらせやすい状況を自ら作る事となる。雪国の方は特に注意が必要だと思います。
●まとめ
・黄水が多い、少ない、全くないという現象は以上のような事から発生する。エンジンを回して熱を入れて走るとキャッチタンクの設定の仕方で水分が全く取れない事があるが、ブローバイが発生している限り必ず水分は含まれる。取れていないのは温度が高すぎて露滴していないだけだ。
・よって、夏場取れていないのは、発生していないのではなく、取れる装置になっていないだけである。繰り返すが水分(黄水)は取る必要は無いと思っているが真相は知らない。
・KE時代は16万キロから22万キロまでタンクを装着していた。たわしも入れていた。黄水8、ヘドロ2でドレンがせわしないので、KFはたわしを抜いてヘドロだけに絞った設定にしていた。
・本当は、トリプルにして、サードタンクはほぼ何も取れないというレベルにファーストとセカンドタンクの設定を詰めて行けばブローバイ対策は100%だが。手間なので、第二タンクのOUTホースの出口に時折小指を突っ込んで、油分を感じたらまだ取り残しがあると判定する。
★ドレンが忙しくてオーバーフローで悩むのなら、W化して、第一タンクのたわしを減らし、第二タンクはフルたわし。これでバランスを取る事をお勧めする。
●本物のオイルミストセパレーター
中華製の2000円台の物はオイルキャッチではない。オイルミストセパレーターとしては性能が低い。これは製法の違いで、アルミの塊よりNC工作機で削りだして製作しており、筒の板厚が厚すぎる。本物は薄板溶接のバフ仕上げで放熱性がかなり高いが値段も高い。
●効果の検証

シングルタンクではインマニに少しオイルが回り吸気シャッターバルブがすぐに汚れていた。写真は12月ごろ。

写真はWタンクにする前の日12月29日

写真はWタンク一週間後2月5日
Wタンクにしてからインマニにオイルが回らなくなり、バタフライが汚れなくなった。吸気シャッターバルブも安定しており堆積は少なめ。

(吸気温度センサー)

(第一タンクの写真)
第一タンクは灰色ヘドロのみ。基油や添加剤の違いにより色は異なる。量は15ml

(第二タンクの写真)
黄水オンリー、負荷を掛けていないので油分は第一タンクで納まっている。水と油では密度・比重とも油が低く、油煙の方が捕集するのは難しいと考える。底から15mm、40mlという結果。夜間の一週間。326キロ走行の結果。
Posted at 2022/02/05 15:32:59 | |
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