
木は切ったり削ったりの加工がしやすく、機械のない家でものを作るのには便利な素材です。多少潰れるので、釘や木ねじが使えるのも他の素材にはない特徴ですね。気を付けないと割れたりしますけど。
木は建築や家具では多用されますが、工業製品にはほとんど使われませんね。均質な品質を担保しにくかったり、プラスチックにコストで負けるためでしょう。でも、型が起こせない少量(端的には一個)の場合、プラスチックは使いにくい素材です。最近は3Dプリンターを使うという手はありますが、プラスチックは切削がとてもしにくいので。一方で、木は根気さえあれば手で好きな形状のものを作り出せます。実は強度も結構ありますが、問題は割れたりすることですね。
参考:
https://www.toishi.info/sozai/woods/
ということで、木に何かを浸透させて強化できるとうれしいので、ちょっと実験してみました。
まず、そもそも木に樹脂を浸透させて補強する製品として、「木固めエース」というものがあります。
https://kigatame.com/
これを使えばいいだけとも言えますが、そこそこお値段がするので、ほんのちょっとしたものに使うには大袈裟です。そこで、100均瞬間接着剤を木に浸透させて補強できないか試してみました。
まずは実験用に木片を用意します。

□12mmで長さ30mm程度のもの。
これに瞬間接着剤を浸透させてみるわけです。そもそも瞬間接着剤は、モノマーである主成分のシアノアクリレートが空気中の水分と反応してポリマーに変わることで固まります。固まった後のポリマーは、プラスチック様の個体なので、木に染み込ませて固めればいい感じの補強になるのではないかという作戦です。
それで、単にそのまま木に垂らすよりも、より浸透させる方法がないものかと少し考えまして、木を事前にアセトンに浸けておけば、木に浸透したアセトンが呼び水となり、より深く瞬間接着剤を木の中に引き込めるのではないかと思ってやってみることにしました。アセトンはほとんどの有機溶媒、水、油と混ざり合います。
アセトンは、嫁さんがネイル用に持っているこれを少量使います。

これを小瓶に入れて一晩木を浸けておきました。
で、実験準備完了。瞬間接着剤は、100均で小分け4個入りで売っているものです。黄色いカゴはキウイが入れられていたもので、台座にしました。
左にアセトン浸けの木片、右にそのままの木片をセットします。
瞬間接着剤を木口にそれぞれ5滴垂らしました。

ん~~、アセトンを染み込ませてある方が染み込みが悪いですね。
アセトンなしの方は、そこそこ染み込みました。
アセトンありの方は表面に盛り上がったままで固まってしまいました。量が減ったのは木口の下の木の周囲に行き渡ったためです。
固まった後、浸透していない表面の瞬間接着剤の固まったものを除去します。
アセトンありなしで、削った木口を比較してみます。左がアセトンあり、右がアセトンなし。

アセトンありの方はちょっと木そのものとは違うようにも思いますが、かなり元の木ままです。あまり瞬間接着剤が浸透していないようですね。あるいは、浸透したものが薄まりすぎていたのかも知れません。瞬間接着剤では固まるのが早すぎて、アセトンが引っ張って揮発するよりも先に固まってしまうようです。
アセトンなしの方は、表面に固まったものを取り除いても、ナイフでの切り口にプラスチック光沢があります。そしてかなり硬い。
お〜、これならかなり強力な補強になるんじゃないかな。小さいものなら十分な深さにまで浸透していそうです。
アセトン作戦は失敗ですが、直に垂らすので良さそうですね。木口からしか浸透しませんが、割れ防止には十分そうです。
さて、じゃあ直撃垂らしで本番をやってみましょうか。
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Posted at
2023/10/15 14:24:01