• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2025年07月11日

そうか、関門海峡は通れないんだ

そうか、関門海峡は通れないんだ
ブリュッセルでコンテナに詰められたスピットファイアは、
 ・フィーダー船でロッテルダムに運ばれ、
 ・超大型コンテナ船HMM RAONに積み替えられ、
 ・ロッテルダムからアルヘシラスタンジェMEDシンガポールへの寄港を経て、
釜山までやってきていました。

そして、6/29 22:04に釜山新港に一旦陸揚げされて、しばらく釜山で待機状態でした。

その10日後となる7/9 23:16に、ようやく次のコンテナ船SEASPAN BEACONに積み込まれまして7/10 3:30に横浜に向けて出港しました。いよいよ日本にやってきます。


------

その話の前に、なんで積み替え(トランシップと呼ぶそうです)が必要だったのだろうと思い、少し調べてみました。

HMM RAONはパナマ運河を通ることができないサイズの大きな船で、SEASPAN BEACONはパナマ運河をぎりぎり通れるサイズの船です。




TEUと言う数値がコンテナ船として最も重要な値で、20フィートサイズのコンテナに換算したときの積載個数のことです。シンプルに何個運べるのかということですね。HMM RAONが14,000TEUで、SEASPAN BEACONが10,000TEUと言うことです。HMM RAONの方が4割も多くのコンテナを運べるというわけですね。

このTEUが大きい方が運搬効率が良くなるわけですが、当前、船が大きくなります。長さや幅も重要ですが、船舶が水に浮いている状態での船底から水面までの鉛直距離が重要で、それは喫水と呼ばれます。その喫水は、HMM RAONが16mで、SEASPAN BEACONは15.5mあります。

ここで、日本の大型港(東京、横浜、大阪、神戸)の岸壁の水深は、深くても16m程度のところが多いようで、18mの水深があるところは南本牧ふ頭にわずか2ヶ所(MC-3, MC-4)しかないそうです。


16mの水深の岸壁では、喫水16mの船は付けられません。そのため、喫水16mあるHMM RAON以上のサイズの大きなコンテナ船は、日本には定期運航していないと思われるのです。
少なくとも、邦船社(日本郵船、商船三井、川崎汽船の3社)が日本に寄港させている最大のコンテナ船は、下図の上から2番目のNYK ALTAIRという船だそうで、HMM RAONどころかSEASPAN BEACONよりも小さいサイズだったりします。


SEASPAN BEACONも十分に大きい船ですが、喫水が15.5mなので16m水深の岸壁が利用できるのでしょう。HMM RAONは、この図でいうと下から3番目のMILLAU BRIDGEと同じくらいの大きな船ということです。

また、コンテナの取扱量を比較すると、
 ・横浜:308万TEU @2024年
 ・上海:5,000万TEU超 @2024年
 ・釜山:2,208万TEU @2022年
だそうで、まあ簡単に言えば、日本は中韓に大きく負けているということです。日本は、京浜地区を合わせても800万TEU程度で、阪神も合わせて530万TEU程度に過ぎません。

そして、釜山港での取り扱いコンテナの約半分がトランシップだそうで、超大型船が停泊できるハブ港として機能しているのでしょう。スピットファイアも、世界規模での流通の最適化の中で、横浜には入れない大きな船で釜山まで運ばれ、日本に航路をもつ船に積み替えられることになったのだと思われるのです。

なお上の図にある通り、現時点での世界最大級のコンテナ船は、そんなHMM RAONよりもさらに巨大な24,000TEUなのですが、そんな巨大な船が日本の造船所でも造られていたりします(https://trafficnews.jp/post/129910/3)。一方で、接岸可能な港の関係で日本で造られた後に日本に戻ってくることはないのだそうです。 


う~ん、こんなところでも日本は世界からやや取り残されているのでしょうかね。釜山でトランシップする方が総合的に合理的なのかもしれませんが、日本人としては何となく寂しい。

それに、この24,000TEUの巨大コンテナ船が竣工し運用されるようになってからまだ5年程度しか経っていないのです。造船と言われると、何となく古い技術のような気がしてしまいますが、実は今なお超ホットな開発競争が繰り広げられているようです。そして、以前は造船大国だった日本は、貨物取扱量だけではなく、大型船造船技術においても中韓にやや遅れ気味のようです。

------


さて、コンテナ船の話から釜山からの出航の話に話を戻しましょう。

釜山から横浜にスピットファイアを運んでくれるSEASPAN BEACONは、その前の寄港地の青島から、釜山新港に7/8にやってきました。
https://youtube.com/shorts/VQYXez4fbQ0


上述のとおり、スピットファイアを入れたコンテナは、7/9 23:16にSEASPAN BEACONに積み込まれ、7/10 3:30に横浜に向け出港しています。
https://youtube.com/shorts/qUKxX6uXBck


その後の横浜への航路は、関門海峡を通るこんな感じになるのかなぁと漠然と考えていました。(その後に瀬戸内海を通った方が僅かに短くなりますが、大きくは変わらないので豊後水道を抜けていくのかなぁと)


でも実際には、対馬の西側、五島列島の西側を通って、鹿児島と種子島の間を抜けて、九州の南側を通るルートを通ったのです。


全行程はこんな感じだと思います。


Googleマップで距離を測るに、関門海峡を通れば1,240kmくらいで済むのに、こちらの九州の南側経由だと1,600kmくらいにもなるのです。350km以上も長くなるのに、関門海峡を通らないんですよ。

なんでだろうと調べてみると、関門航路の水深は約12mで、最大喫水11.4mまでに制限されているようなのです。なるほど、それでは喫水15.5mのSEASPAN BEACONではまったく通れませんね。小さい頃、関門海峡は世界中の大型船が通る要衝だと聞いて育ちましたが、船の大型化が進んだために今となっては大きな船は通っていないのですね。


さてさて、船はここまで来ました。


いよいよ、明日、横浜港に入港です。
ブログ一覧 | 日記
Posted at 2025/07/11 20:29:30

イイね!0件



タグ

今、あなたにおすすめ

関連記事

関門海峡と言えば ~先のブログから ...
SNJ_Uさん

釜山で待ってます
SNJ_Uさん

あれ?青島(チンタオ)に向かってる?
SNJ_Uさん

フランス沖航行中
SNJ_Uさん

壇之浦古戦場跡(みもすそ川公園)で ...
空のジュウザさん

モロッコの中にスペイン発見
SNJ_Uさん

この記事へのコメント

2025年7月11日 20:39
港や海峡が思ったより浅いのに驚きました。
コメントへの返答
2025年7月11日 20:53
そうですよね、なんか浅いですよね。

でもまあ、船が特にここ10年くらいで巨大化してきたのに対して、日本の港の整備はそれに追いついていないということなのでしょう。あるいはその必要性がそんなには高くないということなのかも知れません。

関門海峡を今の最大サイズの船が通れるように掘るなんてことはしないでしょうね。まさかパナマ運河に負けているとは思いませんでした。
2025年7月11日 21:52
いよいよ明日、横浜港に到着するのですね!
同じ県内にいるのでなんだかソワソワしてしまいます(^^)
長い船旅を無事に終えてくれそうで本当に良かったです
コメントへの返答
2025年7月12日 10:33
今朝、横浜に到着しました!
そろそろ船からコンテナが降ろされた頃だと思います。日本上陸ですね。

通関が待っていますが、何事もなく進んでくれるといいですね。
2025年7月11日 22:31
こんばんは〜😊
いよいよ日本に到着なんですね!

ホントに仰る通り、日本はハブ空港も大型コンテナ港も中韓に水をあけられました💦
失われた30年の間に「財源がない」と言う財務省(と自民党政権と悪夢の民主党政権)のせいでインフラ投資を怠りましたからね!
税率ばかり上げて経済を冷やした結果です。
将来にツケを残す…と言うなら、冷え切った日本経済こそ将来にツケを残すのでは…と危惧してます。
「税率を上げる」よりも、経済を上向かせて「税額を上げる」発想がなかったのがこの失われた30年だと感じてます。
この30年の間に羽田の沖合展開するのがやっとで、その間に仁川空港、チャンギ国際空港、上海や広州の空港にハブ空港の座を奪われ、トランシップさせる釜山や上海のコンテナ港にやられてます。
私もその現状を苦々しく見るしかなかったのが悔しいです。と、戯言はここまで💦

まぁ何はともあれ、スピットファイアがもうそこまで来てます♪
楽しみで仕方ないですね😆
到着報告お待ちしてま〜す😃
コメントへの返答
2025年7月12日 9:08
おはようございます。

いよいよ日本、と言うか、日本時間の今朝、横浜に到着しました! 予定では9:30には荷降ろしされ、午後には保税倉庫に移されて、今日中にはコンテナを返却するみたいです。

積み上げられた結果の事実を目の当たりにすると、日本を率いる船頭の悪さを痛感しますね。視座が低すぎ、視野が狭すぎる。近視眼的にしか物事を捉えない政治家しか生まれない構造的欠陥が、日本にはあるんだと思います。日本が強みを持つ分野での技術力自体は、その30年間にもまったく失われていませんでしたから、なおさらそう思います。

ようやくやって来ました。長かったですね。まだもうちょっとあるかもしれませんが、またブログ書きます。
2025年7月11日 23:05
いよいよ横浜ですか〜
今回もいろんな事が知れて面白かったです。水深16メートルに喫水15.5ってなんか怖い気がするんですが、そうでもないんですかね〜

しかし、造船日本って刷り込みが抜けないので、いろいろ寂しいですね😂
コメントへの返答
2025年7月12日 9:29
私も15.5mでホントに大丈夫なのか、ちょっとしっくり来ていません。笑

造船分野は昭和30年代からずっと日本が世界一だったのですが、日本から技術導入した韓国が90年代から台頭してきて2000年には世界一となり、2000年頃から中国が伸びて2010年には世界一になったようです。今や中国がシェア5割、その2国で8割を占めるようです。
機会の減少は技術力の向上にも影響し、日本は超大型船分野においてはやや遅れ気味のようですね。
日本が得意な他分野もそうならないといいなぁと切に思います。

さて、横浜に到着しました! もう少しですね。
2025年7月12日 2:27
もう、なんでもその道の専門家になってしまうSNJ_Uさんですね。なるほどなるほどです。

大阪湾から瀬戸内の小豆島付近までは雑種船(プレジャーボート)でたびたび運航していまして、魚群探知機の水深計を見るのはいつものことでした。

マリーナでは水深2〜4mくらいのことが多く、どこかしらの沿岸で水深1.5mを切ると少し怖いなと思う感覚でした。海底が砂泥の場合、スクリューで攪拌されたそれらで引き波が濁ることもありました。


神戸の沿岸を明石海峡に向かって進んでいると、概ね20m前後で推移していた水深が、明石海峡に近づくにつれてどんどん深くなり、最深部はうろ覚えですが120mはあった気がします。
タイ釣りをしている船なんかは、あの海流の中で100m以上もラインを繰り出しているのか、手巻きじゃしんどすぎるな、とか考えておりました。
巨大船はバンバン通過する明石海峡ですが、なるほど彼らの喫水は所詮15.5m止まりなんですね。

知らなくてもいい知識ですが、こういうことを知るのは面白いものですね。ありがとうございました。
コメントへの返答
2025年7月12日 11:38
6月末には、釜山に着いたHMM RAONが上海に向かう航路になったことがまったく理解できなかったくらいの付け焼き刃もいいとこな知識なわけですから、専門家には程遠いでしょう。

18m級の岸壁は日本では本牧に2つしかないようですので、大きく見える明石海峡を通る船も、世界レベルで見ると大したことはないということですね。
日本に来るコンテナ船の2.4倍ものコンテナを載せた船が、世界の長距離輸送の標準になりつつあるようです。
2025年7月12日 6:03
おぉいよいよですね❗️だいぶ遅れましたが、それ以上に楽しみなんじゃないでしょうか?仕事してる場合ではない?ww

お盆前に走り出すことが目標ですかね?頑張ってくださいね♪楽しみにしてます。
コメントへの返答
2025年7月12日 11:41
楽しみですね〜! まあ一応、仕事もしますけどね。笑
まずは、無事通関できて、無事保安基準をクリアして予備検査を通すことですね。何だかんだで8月にずれ込むかも知れませんが、早くガレージに入れて、早く乗ってみたいですね!

プロフィール

「@{ひろ}さん、 いや6億かぁ、そりゃすごい‥‥っていうか、さらに倍って印象ですね。」
何シテル?   07/12 13:22
F355を購入したことを契機にみんカラ始めてみました。どこまで続くかわかりませんが。車は昔から好きです。フェラーリ初心者です。よろしくお願いします。 昔のゲーセ...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/7 >>

  1 23 45
67 8910 11 12
13141516171819
20212223242526
2728293031  

リンク・クリップ

ステアリングとシフトノブのリペア 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/01/05 09:35:39

愛車一覧

フェラーリ F355 フェラーリ F355
フェラーリ F355に乗っています。長年乗ったポルシェ996カレラから乗り換えました。こ ...
スバル インプレッサ スポーツ スバル インプレッサ スポーツ
日常使いのインプレッサです。もう一台の方で週末ドライブに行くとき以外は毎日乗ります。どノ ...
ポルシェ 911 ポルシェ 911
長年(16年7ヶ月)乗った車です。996は歴代911の中では不人気ですが、総合バランスに ...
BMWアルピナ B6 BMWアルピナ B6
E30ベースのB6 2.7、89年式です。10年近く乗りました。消耗品メンテはちゃんとや ...
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation