レールバスとあそぼう2014
と銘打って開催された、旧南部縦貫鉄道レールバスの公開イベントに行って来ました。
「レールバス」と言われる車両は現在もありますが、南部縦貫のものはバス部品がが多様され、車体の構造もよりバスに近いことが特徴。見た目も当時のバスに近いものがあります。
旧七戸駅
かつてはここから野辺地まで鉄路が延びていました。
東北新幹線の七戸十和田駅は旧営農大学校駅に近く、一時は新幹線との接続が期待されていたものの、結局は新幹線の青森延伸を待たずして廃止に。
現在は旧七戸駅構内と車両が「南部縦貫レールバス愛好会」の手により保存されています。
昨年、駅構内が七戸町により町有化され、普段でも土日であれば機関庫内のレールバスを見学が可能だそうです。
しかし特筆すべきは、レールバス2両と機関車1両が走行可能な状態で動態保存されていること。
毎年この時期に開催されるこのイベント動く姿を見ることができます。
今回は、5/3~5/5のイベント期間のうち、初日の車両撮影会と2日目の体験乗車会に参加。
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5/3(土)
朝の新幹線で東京から七戸入り。
イベント開始時刻になると、お待ちかねのレールバスが機関庫から姿を現しました。
キハ101。1962年(昭和37年)の開業時に2両製造されたうちのレールバスのうちの1両です。
スバルでおなじみの富士重工製
今はトヨタ資本が入り様変わりしてしまいましたが、かつては飛行機や鉄道車両など手広く手がけていました。
運転席にはなんと、
シフトレバーと
クラッチペダルがあります。
機械式ディーゼルカーといわれるもので、いわゆる"マニュアル車"。
アクセルは左のレバー、ブレーキは右のレバーを手で操作します。
現在、鉄道のディーゼルカーは液体式と言われるトルコン車が主流で、動く状態で残されている機械式はきわめて貴重。
車内の雰囲気もバスそのもの。
天井は低めですが幅は自動車のバスよりほんの少しだけ広く、思ったより狭苦しい感じはありません。
サイドビュー
全長は10mほどで大型路線バスと同じくらい。
ずらっと並ぶ"バス窓"も、今やバスでも見られなくなりましたね。
エンジンは日野自動車製のDS90型。
見た目から直列6気筒のようです。
当時、日野RB10系バスに搭載されていたDS80型エンジンに近いものなのかと推察しています。
台車は鉄道車両らしさを感じる部分。
しかしボキー車ではなく貨車と同様の二軸車で、リーフスプリングにより台枠へ車軸が固定されています。
上方へ延びる排気管。
屋根に付いている煤はこの車が生きている証ですね。
こちらは、カラカラとエンジン音を奏でて構内をゆっくりと走る光景。【動画】
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そして…
レールバスお食事ショー
この機会でないとなかなか見ることができない、レールバスの給油作業です。
構内に給油設備がないので、駆けつけたローリー車からホースを延ばして給油。
バスと同じように給油口から軽油を給油します。
100リッターほど入りました。燃費は大型のディーゼルカーと比べるとだいぶ良いとのこと。
機関庫の中で眠るキハ10形キハ104気動車とD451機関車。
キハ104はレールバスからの通し番号ですが、こちらは旧国鉄のキハ10形をラッシュ用として譲り受けたもの。
残念ながら現在は不調のようですが、再び自走する姿を見られることを期待しています。
機関庫前に並ぶ、レールバスキハ101、キハ102と除雪車DB11機関車。
営業当時は、この小さな除雪車で雪深い冬の鉄路を支えていたそうです。
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5/4(日)
翌日は体験乗車会。
乗車には500円の"会員証"が必要ですが、会期中何度でも乗車することができます。
乗車待ちの列に並び…
車掌さんに"会員証"を提示して車内へ。
本来の車両定員は60人ですが、故障防止などに配慮して車両の負荷を減らすため一度の乗車人数は約25人に設定。
そのおかげで、全員着席して乗り味をゆったりと楽しむことができました。
シフトチェンジしながらレールバスを運転する様子。【動画】
運転手さんは、南部縦貫鉄道が営業当時に実際に乗務されてた方だそうです。
野辺地方面のレールは国道4号バイパスで寸断されており、レールが残っている区間は300m弱。
体験乗車では駅の構内を行ったり来たりして、一度の乗車距離は800mほどでした。
ちなみに、二軸車の宿命で乗り心地はあまりよくありません(汗;
この日の締めに行われた2両連結でのデモ走行。
機械式ディーゼルカーは連結しても総括制御ができません。
そのため1両目と2両目の運転手さんが乗り込み、2人でタイミングを合わせて運転する職人芸が必要になります。
自動車の基準で製造されたレールバス。
鉄道車両であれば、製造後50年経っても手入れ次第でまだ使える余地がありますが、バスの耐用年数が15~20年ほどであることを考えると、その維持にかなりの困難が伴うことは想像に難くありません
それだけに、現在もこうやって走る姿を見られることは意義深いと思います。
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Posted at
2014/05/06 22:32:31