ロマン溢れる「油圧アクティブサスペンション」

日記も普段の通りに戻しますよ！相変わらずの能天気っぷりです。

さて、表題の油圧アクティブサスでございますが、世界中で一番この装置に拘ったのは間違くなく「日本車」だと思います。まぁその装備をさっさと見切りを付けて捨てた辺りも、実に悲しいところですが、笑。

この輝かしいハイテク装備、登場したのは８０年代から９０年代中盤に掛けてです。なんせ、この時期は「エアサス」「ファジー制御」「アクティブエアロ」などなど、謎のハイテク装置がはびこった時代なので案外「油圧アクティブサスペンション」というモノ自体は目立った存在じゃなかったようにも思えます。

当時の自分としたら、ツインカム２４Vターボとか、オートスポイラーの方がびびびっと来てましたな、笑。でも三菱GTOの「アクティブサイレンサー」はさっぱりだったなぁ・・・。

で、油圧アクティブサスなんですが、ただの油圧サスならいわゆる「ハイドロニューマチック」で有名なシトロエンが５０年代はおろか、４０年代に試験車両を作っていて凄く古いものです。メルセデスベンツなんかも、確かW126辺りまで使っていたと思います。

どっこい、油圧「アクティブ」となると、これがなかなか出てこないんです。ロータスF1で有名になった技術ですが一般車には８９年デビューの「インフィニティQ45」まで待たないと出てきません。８７年デビューのBMWE32型７シリーズの電子制御サスなんぞ屁でもない最新技術です。

なんせ、コンピューターが操舵や加速を逐次チェックして、ロールしようとする間もなく、アウト側の油圧を上げてイン側を抜く、すると車は水平を保ったまま高いコーナリング速度で駆け抜ける。９１年デビューの６００SELよりも凄いように勝手に思えました。まぁあれは当時考えもつかなかった４１０馬力マシーンだったので、それはそれで「やりすぎだろ」と思いましたが。３１０馬力しか（？）なかった知り合いの７５０iLオーナーは「クソ！高速でチットモ追い付けん！」と嘆いていました。ちなみにコーナーじゃQ45において行かれるとも言っていた気がします。

Q45、凄いじゃないか・・・。実際問題、４．５リッターのＶＨ４５ＤＥ自体の実力も結構高く、当時の日産に勤めていた知り合いは「オフはＧＴ－Ｒ（Ｒ３２型）で、オンはＱ４５って社長多かったです」なんて言ってました。

実際、Q45には乗ったことないのですが、一回だけY32型シーマのアクティブサスペンションに乗ったことがあります。が、調子が悪いのか「ゴトゴト！」と激しい異音ばかり出て、チットモ良いもんじゃないな・・・という印象しかありません。油圧モーターが馬力損失させるので、４．１リッターのシーマだといまいち速い印象もなかったですし。ってか燃費が異常に悪かった・・・。

結局のところ、凄く複雑な技術なので調子がいいと、素晴らしいのでしょうけど、一旦崩れるとダメダメ自動車になるのでしょう。しかも、コンピューターから足回りまでフルオーバーホールすると三桁万円に届くとも言われたので、整備しない個体も多かった結果今ではなかなかマトモな個体に会えません。あっても「安心のバネサスに交換！」とか書いてあったりね・・・。

一時期はトヨタもソアラの４．０ＧＴリミテッドにアクティブサス仕様がありました。７００万円したと思いますが、これまた違和感あれど凄い脚だったようです。

結果的に、そんな仕様よりも普通の仕様が売れて、Ｑ４５は果敢にもアバンギャルドな体制で挑んだにも関わらず、旧来の技術の積み重ねで出来たセルシオに完敗してしまい、最終的にＹ３３シーマでアクティブサス仕様が残っただけになり最終型シーマには「アクティブダンパー」しか残らず、今ではそれもなくなってしまいました。

うーん・・・そう思うと、何となく完全な状態の油圧アクティブに乗ってみたい気もします。３０万円もあればシーマは購入可能です。まぁ完調なアクティブサスの個体なんかほぼないだろうから、そこが問題ですが。ソアラのアクティブサスなんか、Ｇｏｏｃａｒで見たら全国で一台しかありません。このレベルだと整備できるかも微妙な線です。

絶滅寸前です、笑。

日産車の方が油圧アクティブの車種が多かったので、まだ大丈夫かもしれませんが。８０年代はどのメーカーもハイテクに挑みまくり、個性爆発のカンブリア紀状態でしたが、今は総べての面である種の結論が出た感じがあり、超高性能な肉食恐竜とちっこい草食系がそこそこ仲良くやっている感じです。ここに隕石落下で、それこそ全く違う新種が誕生するのでしょうか？例えば、テスラとかリーフとかがそれに成りえるのでしょうか？

なんかいまいちワクワクしないんですが、何ででしょう。

あ、忘れてた。よくよく考えてみたら、油圧アクティブは新車で買えました。

http://www.mercedes-amg.jp/standard.html#/lineup/cl65

いやー、よかった、もう希望がないかと思って愕然としていたんですが、いやいや、よかった、完調な新車がまだまだありました！これなら直線も負けないし、コーナリングもＡＢＣでバッチリ！ホテルのエントランスにななめに止めても文句は言われないし（やめましょう）、幅寄せしても大丈夫（じゃありません）。後ろからミニバンが煽ってきたらブレーキテストでもしてゴッツイブレーキのストッピングパワーを見せつけましょう（やめましょう）。いやー安心して眠れそうです！

ＰＳ
３９９万円で、ほとんど油圧アクティブっぽい「シトロエンＣ５」というナイスな１．６リッターターボエンジン自動車が購入可能です。ボクはそっちが良いです。