日産・ステージア

ボルボに乗っていると、意識に一回は上がるのが「日産ステージア」でしょう。

９６年に出た初代は、サッシュレスドアで妙に長く見えるデザインがローレルっぽくて、当時のボルボ８５０ワゴンとは別段デザインがかぶるわけでもなく、直列６気筒のFRワゴンって事で「あれはあれで良いよね」程度にしか思っていませんでした。２６０RSでしたっけ？R33GT-Rのパワートレーンが丸ごと入ったバージョンは。確か最後の方で２８０馬力の２．５リッターターボモデルに５MTモデルが出たりと、なかなか好戦的グレードも多く「ワゴンのスカイライン」的ポジションはなかなか良かったと思います。

が、二代目はかなりアレでした。

なんせ、どう転んでも当時のボルボにイメージがダブるの何の。具体的にどこが似ているんだ、というよりも全体的なフォルムがまさにボルボしていて、しかも先代の面影はどこにもなく、完全にボルボイーターでやってきた感じがありました。

実際問題、知り合いなんぞは「いや、俺のは１７０馬力だが、あんな日産なんぞいくら馬力あろうが・・・」と対抗意識バリバリでした。まぁ総額５００万円のV70をはるかに超えるスペック性能をそれよりも１００万円安く実現してましたからね。たとえサイドエアバックがOPであろうが、それ付けてもボルボよりははるかに安い。

実際、セールスの持つ内部資料はことごとくボルボと比較対象されており、ここまでボルボ並べるか！ってくらい並べてありました。

多分、日産の開発技術者にしてみれば「どうだ勝った！！！！」と思ったことでしょう。トヨタの足回りみたいな、丸棒をただ並べただけ（今は違うけど）のか細いサスとは違い、アルミ部品を多用した結構お金がかかった足回りは確かに良かった。ラゲッジもガラスハッチは独立開閉するし、フロア下も有効なスペースがあり、リアシートはリクライニングする。しかも広さは２８５系を上回るくらい、快適。

BOSEサウンドをはじめとした装備、後期型はアルミパネルが本物のアルミになりATがブリッピングコントロールするなど、実際問題ブラッシュアップもちゃんと行われてました。

数回レンタカーしていますが、そのレンタカーが２５０RS－Fourという重いヨンクに２．５リッターということで２１５馬力どこにあるの？状態な以外は、とても良く走り、シートがいまいちでヨンクシステムが当時の愛車だったアウディとは全く違う制御をして慣れない以外はボルボV70より総合得点は良いんじゃないかなぁ・・・と思いました。

どっこい、市場の評価が付いてこない。まぁ台数的にはV70より遥かに売れていますが、日産の思った売れ方はしなかったと思います。まぁV70の他にも３や５のツーリング、CやEのワゴンなどを駆逐するレベルには至ってませんでした。

まぁ、一つ言えるのが、モノ自体良いのに、相手が舶来モノだと正当な評価が受けられないというのがあったと思います。あと、ワゴン自体の市場が狭まった上で、この類のクルマを買う人がより雰囲気重視に流れたという可能性もあります。正直、ボルボ（２８５，３８４系）が二代目ステージアに勝っていたのは安全性とシートの良さくらいしか思い当たりません。S60乗ってて思うけど、樹脂の質感とか劣ってるし、窓ガラスはステージアがたがた言わないもんね・・・。

ただ一つ、決定的に言えるのは「やめちゃった」という致命的欠陥。

折角、作ってきた歴史をぱったり止めてしまいました。V35だって、いまいちな部分がV36でずいぶんよくなりました。まぁ代わりに高くなっていますが。ステージアも同じように進化したらいい車になっているんじゃないかなぁ・・・とつくづく思います。まぁそのV36にしたって、思ったように売れないのかもしれませんが、それでも北米なんかではそこそこの台数がさばけていますから、インフィニティブランドとして頑張ればいいわけで。

ボルボはずーっと続けているから強いんです。ボルボはちゃんとしたワゴンをずっと作っているってイメージが根付いていますからね。

スカイラインって向こうじゃG37だから、W37とかで売ればよかったのになぁ・・・。たぶん、良い車になっていただろうし。

まぁそんなわけで、ボルボコピーっぽいけど、組成がいいもんで結構好きです、ステージア。