2017年08月13日
軽自動車は高速道路を走って良いのか
試験的に時速110キロに最高速度が上がる区間がそろそろ出てきます。
で、軽自動車もそこを走ります。
軽自動車の安全基準が普通車と同じになったのは1998年だそうで、それから少しして最高速度も80kmhから100kmhへと普通車と同じ最高速度になりました。速度リミッターは140kmhのままですが。
最初は全長3Mに満たなかった規格から今は3.4M以内にまで成長したわけですが、依然相当小さい車なことは間違いないです。これに4人載せて広々空間で快適に走らせなきゃならんわけですから、エンジニアも大変です(だから最近の軽は高いんでしょうね)。
そして、重量も重くなったとはいえ1tそこそこ。ここ最近のコンパクトカーも軽くは作っていますからこの辺りの重量とオーバーラップしますが、他は軒並み1.5t超え(たとえは人気5ナンバーHVミニバンとか)ですから優に500kg差はあります。
軽自動車の衝突安全性はJNCAPで普通車同様の条件で試験をしており、この試験で優秀な成績を収めています(フルラップ正面衝突55kmh、オフセット64kmh、側面55kmh等)。間違いなく昔の軽自動車と比べたら安全性は段違いに上がっているはずです。
それでも、いったん事故が起きると大抵亡くなるのは軽自動車のオーナー。軽自動車同士だとしても、ここ最近であってもお互いに死者が出ますし、普通車との衝突であればほぼほぼ大きなけがは軽自動車の方です。
何故か。
小さくてクラッシャブルゾーンが取りずらい上に、比較的軽量な為に走ってくる相手の車が1.5t以上の普通車であれば物理法則から言っても軽自動車は不利なわけです。20tトラックがいとも簡単に乗用車を押しつぶすのと同じで、重量とマスの大きさは安全性の基本なのです。
ちなみに、欧州車のメーカーは自社の試験で異なるクラスの車をお互い動かしてぶつけたり、転がしたりして試験をしています。ユーロNCAPではそういう試験はないのですが、欧州メーカーは勝手に自分でそんなことをしています(保険料がどうやら変わったりする)。
有名なところではメルセデスベンツはスマートをSクラスとぶつけて試験していましたね。スウェーデンのサーブなんかも160kmhで相対させて9-5をぶつけてました。
日本のJNCAPの試験は止まったものにぶつけるだけですし、今のところボクが聞いている範囲では軽自動車メーカーが普通車と相互に動かしながら衝突実験をしたというのは聞いたことがありません。
公的な試験結果さえ良ければ良いわけでもないし、プレセーフティの能力を上げればいいわけでもないのです。メルセデスもボルボも競うように安全性能を高めていますし、彼らのプレセーフティ機能は最も進んでいるものの一つですが、その根幹には屈強なボディが備わっているのを忘れてはいけません。
本来であれば相互安全性を保つべき交通環境ですが、結局のところ同じ試験を通して「よし安全だ」と納得してしまっている現状では「交通格差社会」に変わりはありません。暴論承知で言えば、軽自動車は命の安売りみたいなもんです。
無論、古い車を趣味で乗っているのも当然安全性から言えばアウトですし、軽自動車がご老人や所得の少ない人の大切な移動手段になっているのも解るのですが、個人的には安全だと言い張って高価格(200万円を優に超える)で新型の軽自動車を平気な顔で売っているのが許せんのです。
そもそも軽自動車は善良なる国民の生活の足となるべく生まれ、なるべく安価で維持がしやすいはずなのに、気が付いたら燃費だって大してよくないし高いし、その割にブツかれば相手が悪ければ完膚なきまでにぶっ潰される。
だけど、高速道路は最高速度が上がる。
個人的には最高速度が上がるのは結構ですが、一般道にしたってインフラの発展は全然で、未だに農道にアスファルト敷いただけとか歩道と車道の区切りが解らんような子供に危険が及ぶような道路ばかり、高速道路だって休日のマナーを見れば最低速度違反レベルのどうしようもない車ばかり。
そこに大きさの基準が違う軽自動車が混ざって、さぁモータリゼーションの基準を世界並みにしましょうって、一体どういう了見なんでしょう?
いっそのこと、軽自動車は高速道路乗らないとか、それくらいの割り切りを本来ならばするべきですし、まして速度を上げるなら当然です。50kmhが60kmhでぶつかるのと、100kmhが110kmhでぶつかる、その10kmhの差は後者の方が断然過酷な環境なわけです。
まぁ・・・さらに言えば日本国内専用車の殆どは国際基準の衝突安全性をクリアできないですから、軽自動車だけでなく、そういう車も高速道路から締め出さないと本質的には高速道路の高速化はしちゃいけないとボクは思っています。
そんなことやれるはずないし、やったらとんでもないことになる、だから個人的欲望は別にしてボク自身の大義は「高速道路の最高速度アップは反対」なんです。まぁ・・・合法的に200kmh巡航出来たら嬉しいんですけどね、本当は。
試作車の路上試験にも厳しいし、基準がガラパゴスで道路は先進国中最低のインフラレベル、マナーだって褒められないし、まして危険回避能力に至ってはドイツ人の足元にも及ばない平均値。
いっそのこと、日本は全部低速道路にしてしまえばいいんだ・・・
コミンテルン的発想はそうなるわけです、意外とボクの中にはそういう平和主義的、護憲的な発想もあるのですwww
だが、もし世界とやり合うなら片っ端からインフラを世界レベルに上げて、免許制度と交通行政を刷新した上で、一気にレベルを上げるしかないと思います、ほんとはこっちのがやってほしい。マンションのパレットが1850mm限界だとか、そんなの知るかって話でやっちまうわけです。
まぁ、無理でしょうけど。
ちなみに、もし軽自動車を今の企画のままできちんと作り上げた場合最低でも200万円くらいなってしまうくらい、軽自動車が本来あるべき車の骨格になるには手間が掛かるようです。あのちっこいボディで強いボディ・・・良く考えたらスマートがあんな装備でさえあんな価格だったのですから、なるほどな、と納得してしまいました(日本の軽みたいな豪華装備を入れたら300万円ですね)。
いつか自信を持って高速を走れる軽自動車が出るといいなぁ・・・そうしたら貴重な日本の輸出技術になると思うのですが。
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Posted at
2017/08/13 23:18:24
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