2023年04月12日
番外編:リニア新幹線の是非
世界で初めてリニアモーターカーを営業運転させたのは中国で、上海に30kmほどの路線が現在も運用中で、方式はドイツ由来で最高速度は400kmh以上です。もう20年も使っているんですね。
研究自体は日本も老舗ですが、今のところ営業運転はしてません。山梨に実験線がありますね。
そんなリニアですが、リニア中央新幹線計画は着実に進んでいて、結構なところで工事が進んでいます。
https://www.pref.nagano.lg.jp/linear-shin/kurashi/kotsu/linear/documents/20221130_jigyougaiyou.pdf
トンネルも掘れているところは掘れています。
そのトンネルが思いっきりもめているわけです。南アルプスを貫通するトンネルで、工事により大井川水系の水が減る!!!と大騒ぎ。静岡県知事が許可しないから止まっていて2037年の開業は無理そうだ、という感じなのがここ最近の状況です。
当初、5兆円台で完成させるはずが今では7兆円を超える工事費が見込まれるわけです。まぁいつもある奴ですね、ああ予算超過。
で、私見ですが、リニアは多分要らないだろう、と思っています。
まず、初めに思うのは例のトンネル問題。
知ったかぶりもいい所の某知事の水問題は実は問題じゃなくて、これの問題は他にあります。
まず、工事区までの工事用道路が何度も壊れてます。主に大雨の時に増水して流されるのですが、これがずっと続いています。それくらい、困難なエリアでの工事なわけです。
吉村昭の「熱水隧道」は黒部渓谷の高温トンネル掘削の話ですが、別場所の別問題とはいえいかにトンネル工事が危険で大変かが解る話です。時代は既に100年近く違うので、技術の発展で解決できることは多いのですが、それでも解らないと言われているのが「大破砕帯」の問題です。
これまた黒部ですが、黒部の太陽という映画で有名になった破砕帯。言ってみれば超軟弱エリアで、そこは水脈になっていて、ぶち当たった瞬間に水が大噴出、、、とてもじゃないけど掘り進めるのは困難だ、、、という感じに映画でも演出されていますが、とにかく大変なことです。
なんせ、掘れば崩れる、水も出る、少し掘って固める、、、の繰り返しで1日辺り数センチ進むかどうか、なんていう事も聞きました。
で、黒部であれだけ苦労した破砕帯ですが、その時は80mだったそうです。今回の南アルプス貫通では最短でも800mは破砕帯が続くと言われています。
言われている、というのは地盤調査じゃ解らないから。全く想像が付かないようで、掘ってみないと解らないという恐ろしさ。
というか、ここフォッサマグナを貫通させるわけですよね、、、掘れたとしてももし東南海連動地震があったら、、、、
というわけで、水がどうこう以前にそもそも掘れるか?という問題があります。
その次、一体リニア中央新幹線計画はいつ発案されたもの?という事です。
どうやら1979年に計画委員会が発足しているので、それ以前の発案だと思いますが、さすがに高度経済成長期は終わっていますが、この後バブル景気もあるので、今とは違う感覚で発想されたものだと思います。
https://www.cbr.mlit.go.jp/kokudokeisei/kouiki/pdf/n01_chikizukuri_sanko03.pdf
試算はいくらでも都合よく考えられます。
いつもこういう試算で見られるのは、利用者の純増です。航空機、車、在来線、新幹線にプラスして、潜在客が掘り起こされて全体の利用者が増える、という数字です。カニバリズム的な試算は絶対に出てきません。
ただ、現実的にはどうでしょう?
まず、カニバリズムになるのでは?と思います。そして、移動時間を考えると名古屋の出張は日帰りどころか、午前中に済ませて昼までに東京に帰れ!が出来ます。大阪もそうなります。
シンプルにそういう都市の飲食や宿泊は萎むと思います。特にビジホなんか、要らない、になりそうです。さらに言えば、2040年くらいにはビジネスシーンも変わっていそうで、そもそも出張という事自体が違う概念になっている気もします。
観光需要だと飛行機と当たる気もします。リニアを作る意味のある国土にはおもえないです。なんせ中国でさえ、新規案件が無いんですから。あの国でペイ出来ないなら日本も無理でしょう。
公共事業って、発想時期の意識のまま突き進む傾向が強いわけですが、リニアにしてもそうですよね。時代の変化によって変化をさせることが当たり前の世の中で、全くそれとは別次元で動いてしまうのは何とも言えないものです。
ただ、現実としてこのような事業がある事で支えられる業種や雇用もあるので、無くした時の目に見えない影響というのも怖いといえば怖くて、むしろやる価値があるとすると、そういう部分の保護になる気もします。
出来たら出来たで維持費もかかるし、一体7兆とかそういうお金をどうペイさせるのか、到底難しいと予想が付きますが、合理的発想に向かない事情がこの国の根っこにあるんだと思います。
結局、こういう物体というか、事業は、その事業自体の合理性はなくて、そうでない見えざる周りにある何かが必要としていて、それが存外にも我々一般大衆にも多大な影響を与えている気がします。
そういう意味では、リニアが出来る出来ない、儲かる儲からない、やるやらないなんて事はどうでもよくて、7兆とか10兆というお金が2040年手前まで随時投入される事に意味があるのでしょう。
本来ならもっと合理性がある場所にその金額を落とすべきなんでしょうけれども、多分そういうもんじゃないんでしょうね。。。人口増、世帯増、何かもが上手に回転していた時代が前提の査定と計画では絶対に破綻するのに、やっちゃうってのは、もうそういう事なんだろうと思います。止めたら多分、相当色々まずいんでしょう。
なんかなぁ、、、新幹線のぞみ号以上に日本を小さくする意味ってあるんでしょうか?
リニアには夢や希望よりも、せせこましさや、世知辛さを感じるのは僕だけなんでしょうか?
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Posted at
2023/04/12 19:50:34
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