
フェラーリFFが出たとき、理財局長並みに「それはいくらなんでも」と思ったのですが、フェラーリは真摯にこのモデルを改良して名前を変えて出てきました。
GTC4ルッソ
GTはわかるけど、Cは・・・クーペ?4は4シーター?4WD?ルッソ?豪華?ナニ?
FFの時も思ったのですがイマイチ理由が分からないネーミングセンスはこのモデルでも引き継がれたように思えます。デザインの変更は前後の灯火類とエアロパーツ類が主で、横から見ても全く変化を感じられない変更程度で、中身は馬力が上がったり4WDの設定や4WSの設定などが変わったようです。
で、さっそく乗り込んでスタートすれば、V12エンジンはステキなセルモーターの音をさせながら一吠えします。まぁ大概の人間はこの音でやられちゃう。フェラーリマジックってのはこれなんだよなぁ、と思いながらひねている自分は存外に冷静に感じたのはアストンのラピードよりも視界がいいかもしれない、ということです。
幅が2メーター級のくせに、路上に出ても運転しやすいことで、それは照明されたのですが、それに合わせて感じたのはハンドルが丸くないこと。F1みたいな長方形にも感じられる、何とも言えない握り心地と操舵感はフェラーリならではかもしれません。
その重さも、微妙に軽めで、これまたフェラーリ独特のもの。ステアリングインフォメーションよりも操舵した時の車体の動き方、切り始めの車体の動き方が重視されているのか、ポルシェみたいな濃密なステアリングフィールでの対話感はあんまりないです。
なので、フィーリング以前の話で、フロントにV12を突っ込んでいるとは思えないくらいにノーズが軽く動くのでまぁ驚きます。唐突、ではなくてあくまで軽い。デカいフロントノーズの奥にエンジンをめり込ませていることからも解るのですが、この車は結果からすればただのフェラーリのエゴの塊で、しかも4人乗せるという離れ業さえ実現してる、謎な形からは想像しがたい、快感の塊みたいな車だとボクは感じました。
まぁ、これを快感と思わないでフェラーリに心が動かない人もいるでしょうし、それ以前の判断で購買を決める人がほとんどだと思うのですが、形がどうなろうが結局フェラーリはフェラーリで、しかも顧客の事そっちのけで、フェラーリの価値観をこれでもか!と押し付けてくる辺りが「まぁこのブランドはすごいもんだ」と感じるわけです。
ポルシェだって、ここまでブランドの価値観を顧客の希望そっちのけで押し付けてきたりはしません。そもそも、991型のGT3が後期型でMTが出たのは、むしろお客の要望に応えているわけで・・・フェラーリに至ってはMTなんかかたくなに存在しませんし、GTC4に乗っても、これむしろ4人乗りの要望を聞いたんじゃなくて、フェラーリ中毒者を同時に4人発生させたいだけじゃん?と思った次第です。
だって、ハンドリングはもちろん、踏まなきゃラグジュアリーGTカーっぽい雰囲気を無理くり出してますが、いざ踏めば快音がこれでもか!と響いて、それこそターボ化した488GTBよりもリビドーが噴出してしまいそうな音を掻き立てるわけですから、これはもはやフェラーリ価値観の押しつけ以外の何でもないのです。
そして、これにやられてしまう人が大勢いる。
ベンツがルイヴィトンだとすれば、フェラーリはエルメスだと勝手に思っているのですが、ヴィトンが意外と顧客に媚びるくせにエルメスは媚びるどころか値上げしまくって挙句に顧客の欲しいものより自分のブランドが作りたいモンを勝手に作って、それが受けてしまう・・・
似てるじゃないか。
恐ろしいまでのブランド力・・・。
ちなみに、もう少し冷静に車自体を観察していると、正直700馬力近い出力を感じることは無くて、安定感や重さを差し置いてもちょっと誇張している気もしなくもない・・・ただ、これはE63sをはじめとした最近のアホアホトルクバカになれてしまったせいかもしれません。NAの耽美的なパワーフローは、E63sのアホアホロケット加速よりも気持ちよく、美しいものです。
乗り心地もイタリアンラグジュアリーらしく、フラットで乾いていて、快楽主義の頂点にあるラグジュアリーなもの。
乗り出し4500万円、これをどうとるか・・・・リセール気にせず、4人の中毒者を出すためのマシーン。どうやらボクにはまだまだ分からない世界のようでした。
Posted at 2018/04/19 14:53:55 | |
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