
V型エンジンとは、シリンダーを縦一列でなく、二列にして組み違えにして配置するわけですが、そのV型エンジンの中でもV6というのは歴史が新しい方のものらしいです。
で、エンジンは基本的にシリンダーの中を上下するピストンの運動をコンロッド・ピン・クランクシャフトなどが連携して円運動に変えてタイヤへもっていくわけです。なので、360度を割り切れる数字にしないと、シリンダー数は成立しません。
V型6気筒だと6スローか3スローで60度ごとにピンが出るか120度ごとにピンが出るわけですが、確かV6エンジンで120度バンクを取って3スロー等間隔爆発を取っている市販エンジンは無かったと思います。確かアウディかなんかのレース用エンジンが120度V6だった気がしますが。
市販エンジンの場合、セオリーは60度バンクで6スローの等間隔爆発がもっともスムーズとされるようです。細かいことは難しいので省くのですが、スペース的には3スローのほうが小さく出来るようですが、市販エンジンにおいてはスムーズさや振動問題を解決させなければならないわけで、そうなると色々な振動がキャンセル出来るその構造が良いようです。
過去にはV8エンジンの2気筒削ったバージョンとして出ている90度バンクのV6エンジンがありますか、これは3スロー不当間隔爆発であったり、30度オフセットのクランクであったり、やはり60度バンクには合理性ではかないません。
メルセデスの一時期あった90度V6やずーっと昔のPRVエンジンなどは、完全にV8エンジンの設計に引っ張られてしまって90度になっていたと思うのですが、経済性は良かったにせよ、スペース性とNHV関連に関しては不利なことが多かったようです。
で、異常バンク角度(笑)なエンジンたちを上げると、VWグループの10.6度や12度、オペルの54度、そしてメルセデスのOM642エンジンが持つ72度です。
VWグループの極端な狭い角度のバンク角度は彼らの手持ちシャシーに乗っけるには、とにかく小さいエンジンが必要であったからなんだと思います。ゴルフ3から存在したVR6グレードはこのエンジン無くして成立はしなかったでしょう(縦置きシャシーには90度V6エンジンを積んでますね)。
オペルの54度は謎ですねぇ・・・手間が掛かりそうな角度にした割に、特段利点も感じられないといいますか・・・ただ、このエンジンも横置きFFシャシーに搭載されていたので、多分理由はスペースを稼ぎたいという事なんだと思います。それにしては中途半端な角度ですが、苦笑。
で、メルセデスの72度バンク。
V型エンジンで72度バンクを理想的に取れるのはV10です。5気筒は星型にピンを出せる特性が実はとても優れていて、固有のよさがあるのですが、それをさらに純化させられるV10エンジンはある種の天性を持ったエンジンです。72度を持っている市販エンジンはLFAくらいしかないんですけどね、BMWのは90度でした。
どっこい、OM642型V6エンジンは5気筒と何の関連もないV6エンジンです。
どうやら理由はターボチャージャーなどの補器類をバンク内に収めるための措置のようですが、それにしても妙な角度にしたなぁ・・・と思います。90度だと幅が広がりエンジンベイに突っ込めない、じゃぁ限度はどこだ、72度だ・・・よしこれでホットバンクエンジンを作ってしまえ・・・
2004年登場のエンジンなので、ダイムラークライスラー時代ですからもしかしたら、そういう構成がこのエンジンの設計を方向付けしたのかも知れません。
そして、この写真の通り、上のカバーが歪んでますから熱害はあるわけでして、さてさて・・・
ちょっと調べてみると、このエンジンは3スロー不等間隔爆発らしく、じゃぁ偉く揺れるエンジンじゃないか・・・と思ったのですが、ウェブやらカウンターウェイトやらバランスシャフト、エンジンマウントなんかで相当シャットしてるんでしょうね。回してもせいぜい4500rpm程度ならこれで良いや、となったのかも知れません。
既に400dに代表される最新型の直6ディーゼルに更新され、このV6Dは引退していますが、まさに過渡期のエンジンだなぁと感じます。400dに乗ってしまうと、あ!これが正式回答か!!!と思ってしまう訳でして、苦笑。
とはいえ、日本における通常のEクラスで現在新車の6気筒ディーゼルがやってこないとなると、どうやらディーゼル最強グレードはE350ブルーテックとなるわけでして、、、、
本国にあるオールテレイン400dでもあれば一挙解決なんですけどねぇ、、、とりあえず変なエンジンがどう使えるのか、しばらくお付き合いしたいと思います。
Posted at 2020/11/26 15:02:21 | |
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