
タイカン、あれは別世界にいるんだなぁ、、、と僕の車から見るとそんな感じがします。
もはや過去のものになりつつある、ターボが付いてない12気筒エンジンですが、当初の印象は「ラグジュアリー」でした。
確か、納車してすぐくらいに書いた日記には、まるでE31型のBMW850Ciみたいだ、とか書いた記憶があります。ヴァンテージに比べるとDB9はとてもおとなしく感じました。音も静かで足も柔らかく、どことなくゆったりしていて、エンジンも思ったほど炸裂せず、スムースに吹け上がり気が付いたら結構な速度になっている。
要するに、これGTカーなんだ、そう思って当初のインプレは完結していました。素直に、ヴァンテージの方が運転は楽しかった、と書いたと思います。ぶっちゃけ、これXK-Rとかの方がスポーツじゃないの?とか思いました。
で、一年以上過ぎて、どことなく音が変わり、どことなくトルク感が増し、どことなくレブカウンター真上まで軽く吹けるようになってきて、ここ最近で気が付きました。
当たりが付いた。
アストンマーティンのV型12気筒エンジンは、出自があまり自慢できない、というかよく言われるのはフォード製デュラテックV6エンジンの二基掛け、というやつです。
デュラテックは確か90年代半ばにデビューしたV6エンジンで、モンデオとかに乗っかっていた気がします。マツダの一部車種にも搭載されていました。あまり目立っていいエンジンという印象はなかったです。
ところが、そのエンジンをジャガーS-typeに搭載するにあたりコスワースがヘッドを開発した結果、レブリミット6800rpmという高回転型且つ3リッターから当時としてはBMWのM54を凌駕する243馬力を発揮するようになり、実際に乗ってみてもこのエンジンは個人的なV6エンジンのトップ3に入る気持ちいいエンジンとなりました。
DB7ヴァンテージで初お目見えしたアストン製V12は、個人的にはデュラテック由来というよりも、それをコスワースが改良したものをコスワースが12気筒化した、そういうものだと思っています。
当初の420馬力から最終的には仕様にも寄りますが600馬力級にまでなったエンジンですが、実際のところポテンシャルは400馬力時代が相当に抑えたもので、デフォルトで500馬力、ちょっと気を利かせれば軽く600馬力を出せる力がある、というのが真実のようです。
フェラーリのV12などと比べてパワーも低く、且つあまり回らない印象が強いのが一般的な感覚だと思います。僕自身、なんだ、、、まぁ、、、こんなもんか、、、と思ったのは間違いなくて、でもスタイル良いし、あこがれていたし、まぁそれで120%満足だな、、、と思っていました。
どっこい、工場長からあまり低い回転数で走るとよくない、と聞いて回すようになって様変わりしたのです。
確かにしたからもりもりトルク、という感じはありませんが、2000rpmからふっと盛り上がりそれが回せば回すだけトルクが湧き出る、さすがこれが12発と6000ccの威力なのか!と感動させるものに変わったのです。
その証拠?に、スタート時や、低回転からの踏み込みでホイールスピンしないくせに、2000から3000,3000から4000rpmと回転がふっと上がった時にズル!っと滑ったりします。
当初の旦那仕様V12の印象とは違う、回すとパワーもトルクも出てくる典型的なスポーツエンジンだったのです。フェラーリみたいな9000rpmまで回って、脳内を真っ白にさせるような感じはありませんが、それよりも低い回転までのドラマ性は非常に濃くて気持ちがいいものです。
だから、きちんと回してきちんと踏む、いわゆる昔風のあたりを付ける作業が必要なわけで、今この時代にそんなエンジンがあるのか・・・とやや驚きました。
慣らしで激変するなんて経験、正直市販車ではなかなか無いです。やはりレース屋が発進地点のコスワースのやることですから、つまらねぇ仕事はしてなかったのです。
エンジンが激変するとともに、結果的に速度の乗った状態でのコーナリングや適度なブレーキングにより、一気に車が纏まり始め、もはや旦那仕様とは言わせないほどにアストンマーティンが目指したスポーツを体感できるようになりました。
とはいえ、普段街に溶け込めば、普通のGTカーになれますし、トランクも多少荷物は積めるので、遠出もこなせます。そして、どこに出しても恥ずかしくない。
なんか電球切れたり、どっかからかキコキコ言ったり、民芸品現象はありますが、そんなことぶっ飛ばしてしまう魅力がこの車にはありますね。優雅にあらず、そんな一面を垣間見れたらよりこのメーカーの車をオーナーは愛せると思います。
やっと自分の味になった気がします。最高の相棒です。
Posted at 2022/10/28 23:55:38 | |
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