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2022年07月29日 イイね!

トヨタしか作れないクルマがある-40年目のクラウン誕生物語

トヨタしか作れないクルマがある-40年目のクラウン誕生物語この本は約四半世紀前の1998年に刊行されたものです。今日びこんな旧い本をネタに書くのは私くらいのものでしょう。
当時の車造りの様子が克明に描かれていて、興味深く、また読み物としても古臭くありませんでした。
10代目150系クラウンは、長年の伝統であったフレーム式ボディを廃止した型ですが、結果的にハードウェアとしても商業的にも成功作だったと言えると思います。
デビューはバブル崩壊後ですが、クラウンらしく風格のある内外装で、今の視点でも貧相に見えないのはさすがだと思います。読んでいると、「クラウンのお客様」という単語が度々出てきます。長年クラウンを愛用してくれるドライバーの層がまだまだ分厚かった時代です。
チーフエンジニア(CE)を務められた渡辺浩之氏は、2016年に鬼籍に入られていました。氏は、クラウンに対する想いが明快であり、汲み取る技術者やデザイナーの仕事ぶりが見事で、それがカタチにも現れていたと思います。

10代目クラウンについて、渡辺CEのメッセージ
その1-「買ってくださる人と、そのクルマと、うまく融合するっていうんでしょうか、その周波数が合っていないとダメなんですね。それが合ったときに(商品として)いい結果が出る。クルマの方の周波数が強すぎるときはダメなんです」

その2-「クラウンのお客様というのは、走りながらでも、仕事のこと、会社のことを考えておられる。だから、それをクルマが邪魔しちゃいけないんです」

-デザインにしても性能にしても車が表に出過ぎないというのでしょうか。そういう美意識って大事だと思います。

トヨタにおける、CEの役割(渡辺氏)
まず社会があり、マーケットがある。自動車製造会社だから、技術があって生産設備がある。そこに、カネと人と時間を注ぎ込む。これがエンジニアリングとしてのクルマ作りである。そして一方では、営業や経理、さらには品質保証などのエンジニアリング以外の社内の他部署との絡みがある。以上のトータルな活動のアウトプットとして、総合商品としてのクルマができあがる。
こういう「全体」を「最適化」すること。これがCEの職務なのだ。


2代目マジェスタについて、デザイナー市川巧氏の述懐
フロントグリルは立てる、ピラーは、前を立て気味にして、後ろを寝かせる。そして、リアビューは、思いきりチャレンジングにする。なぜなら、日本の美には意外な大胆さが隠れていることが多いのだ。そのことを市川は、桂離宮の奥の茶屋で発見していた。和紙の市松模様や、書かれている書の字体などが、こんなにやって良いのかと思えるほどにド派手だったりする。
縦長のリヤランプが、「様式」を外していることはわかっていた。「自然」でないことも、わかっていた。しかし、それをあえて採った。
こうして、フロントはちょっとセンチュリー風で、リヤにはエレガンスとともに大胆さも持っているようなイメージスケッチができあがった。
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(中略)
両サイドに大胆な縦型のランプを配したその中間の部分は、ボディの外板面というものをたっぷり見せたい。これは、このアイデアのアピール部分である。また市川としては、この外板面だけの部分というのが、茶室で見られるような「間」や「たたずまい」の部分なのだとも思っていた。

-日本の美とか西洋のホスピタリティを体感するために、デザイナーが京都を旅したり、外資系高級ホテルに泊まったりしてインスピレーションを得ていた時代。
この2代目マジェスタ、上物があったら所有してみたいと一時期本気で考えていました。

昔、徳大寺さんが言っていました。
クラウンは日本のどんな景色にも似合う。冠婚葬祭にも似合う。地方の素封家のガレージにこれほど似合う車はこのクラウンをおいて他はない、と。
私は今でもクラウンというのはそういう車だと考えています。
この本を読んで、ふと150系クラウンが無性に愛おしくなり、中古車サイトで探したら60万円くらいで程度良好なものがチラホラありました。
底値かつボリュームゾーンは、いまや12代目ゼロクラウンなんですね。興味のある方調べてみてください。
Posted at 2022/07/29 20:49:42 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記

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「@こゆ&すいぱぱ さん、昔NAVI読んでいました。大川さんの自動車観には大きな影響を受けました。大川氏時代のNAVIはとにかく読みごたえがありました。」
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ミニチュアカーや車のカタログ収集と国内・海外旅行、読書が好きな50代です。 マイペースで更新していきますので、お付き合いくださいませ。よろしくお願いします。 ...
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