
小学校低学年の頃からカタログを集めていますので、収集歴は30年以上になります。
新しく貰ってきたカタログを整理しながら、お気に入りのカタログを数冊引っぱり出してきました。
スズキ新型スペーシアのカタログ
スズキは昔から日本人のモデルと車をカタログの表紙に使う事が多いです。

パレットSWから最新スペーシアカスタムに至るまでの系譜。特に興味が湧くジャンルではありませんが、意識して集めればこんな風になります。
先代とカラーバリエーションの比較。いすゞギガの様だった先代に対し、新型は、N-BOXを強く意識したフロントフェイスと言えましょう。
さて、本題に入ります。私の好きな車にまつわる印刷物を3つ紹介します。引用が長くて恐縮ですが、よろしければお付き合い下さいませ。
クラウンフィロソフィノート(2012年12月発行)
クラウンの車づくりにかける執念のようなものが、この1冊に込められています。私がクラウンにより興味を持つようになった参考文献の一つです。
気になった部分を引用します。
極めて静かなクルマ。クラウンは、そんな文脈でしばしば語られる稀有な存在である。事実、風切音、ロードノイズ、外部騒音といったさまざまな騒音源を、妥協なく封じ込めることにトヨタの技術の粋を結集させている。結果、紛れもなく静かなのである。しかし、音を効かせることにプライオリティを置く高級車が多いなか、クラウンは何故ここまで、頑なに静かさという歓びにこだわるのだろうか。その理由は、クラウンが根源的に単なるドライバーズカーではないことに起因する。走りにこだわったスポーティモデル「アスリート」の存在はあっても、あくまでクラウンの根底にはフォーマルカーとしての精神が脈々と流れているのだ。
エンジンの吸気サウンドを室内に引き込むこともサウンドデバイスを搭載することも、技術的にはいくらでもできる。しかし、クラウンは強い信念を持って、ドライバーズマインドを高揚させる盛り上がりの演出を施さない道を選ぶ。ドライバーの歓びはもちろん大切に考えるが、それが後席に座る方の心地よさを犠牲にするのであれば、潔く切り捨てる。静かさとは、クラウンにとって単なるひとつの性能にあらず、クラウンのスピリットそのものなのである。
クラウンの大きさの理由…それは、クラウンが「日本人の頭と腕で、世界に誇る乗用車をつくろう」という強い意志のもと、純国産にこだわって誕生したことにさかのぼる。世界でいかに認められても、クラウンの使命は果たされない。狭い路地も多く、すれ違いにも苦労する。大きなクルマであると持て余してしまう日本の交通事情。駐車事情を鑑み、14代に渡りクラウンは頑ななまでに車幅1,800mmも超えないボディサイズと扱いやすい取り回しを守りつづける。道路や駐車場などで、自らの大きさが誰かに不快感を与えることがあってはならない。そんな他者を思いやる日本人の美意識までも、クルマの設計に内包させる。(略)
この国で暮らす人々だけを見つめて、つくられた日本専用車だからできること。クラウンはラージセダンである前に、ジャパンセダンとして、その使命を全うしつづける。
10-20代の頃は、嫌いな車の筆頭だったクラウン。歳を重ねるほどに、日本の国情にマッチしたジャパンセダンの有難味を感じます。次期クラウンがニュルブルクリンクでテスト云々のスクープ記事が出ていましたが、この決意表明を読めば15代目もクラウンらしさは健在でしょう。
おまけで当時の新聞広告。
続いてカタログではありませんが、VWゴルフ(Ⅱ)のすべて。1985年6月発行。
この裏表紙の広告が実に見事なもので、この広告のためにこの本を取ってあるようなものです。さすがヤナセ、と感じます。


「裏に贅沢」
裏に凝る。あるいは、中味にお金をかける。これこそ、ほんとうの贅沢というものではないでしょうか。例えばドイツをはじめヨーロッパでは、この写真のコートのように、裏に高価な毛皮を使って、さりげなく贅沢をする。おしゃれを楽しむ。という粋さがあります。もちろん温かさだって、こちらの方が上という実用性も備えているのです。何とも憎い話ですが、クルマで言えば、ゴルフがそうなのです。コンパクトで実用的という強いイメージがゴルフにはあります。もちろん、それはその通りなのですが、ゴルフも裏に贅沢という点では、このコートに負けません。
余り普段は話題に上らないシートを例にとってみましょう。ゴルフのシートは、10万Km以上の走行を想定した耐久性、またあらゆるドライビングにおいて常にドライバーをしっかりホールドする安定性、そして、ドライバーの健康まで考えた快適さを目標に、ダミーでなく実際のドライバーを使って何度も何度もテストを繰り返し完成されました。
(略)
ロングドライブの疲れも知らず知らずのうちに吸い取ってくれるフオルクスワーゲンならではのゴルフのフロントシート。これを贅沢と言わないで何を贅沢というのでしょう。ただ、ゴルフはクルマにとってほんとうの贅沢を知っているから、少し控えめなだけなのです。(略)
長く、楽しく乗れて、しかも頼もしいゴルフ。そんな贅沢を、あなたもぜひ一度ご試乗になってお確かめください。見せかけでない裏に秘めたゴルフの真実の魅力にきっとあなたも魅了されてしまうに違いありません。
タイプ打ちしながら思いましたが、この文章は見事です。VWが今までずっと好きでいられるのも、この文章の素晴らしさと実際の車の良さが相まっているからと言えましょう(^o^)
最後は、フィアット・パンダ。141パンダというごく初期のモデルです。
私達は一生懸命やります。
北海道から沖縄までのネットワークを完了した、私達60社は、一生懸命やります。
フィアット社は、日本の価格と、イタリアの価格と同じ位になるように一生懸命です。
アバルトジャパン(注 当時のインポーターJAXのこと)は、1億円もの部品を用意して、すぐ部品が間に合うように一生懸命です。
個性的でファッショナブルでシンプル。そして人間味ある、乗るほどに愛着心が生まれる、フィアットパンダです。
オーナーの方々が、いつまでもベストな状態で走れるサービスを、絶えず、一生懸命実行します。
JAXから知性ある方へ。
一生懸命という言葉が5回も出てきて、フィアットパンダを日本に根付かせようという熱意は伝わってきます。
シンプルな内外装の誂え、ハンモックシートの座り心地等、今でも乗ってみたい車の1つです。
いかがでしたでしょうか。私のカタログコレクションのツボは、「語り」と「写真」です。本当に良い車(のカタログ)は、何かを語りかけてきます。そして、それぞれキャラクターの異なる、クラウン、ゴルフ、パンダそれぞれが好きな車種なのです。
おまけ
昭和42年のトヨタ自動車工業会社案内
この写真を記憶しておけば、会議や宴席での「席次」にきっと役立ちます。
そのココロは、偉い順に「④②①③⑤」です。

トヨタ2000GTが現役だった時代…

「デラックス」が本当にデラックスだった時代…

日産の会社案内(昭和51-52年頃?)
当時の重役はどうしてこう厳めしい顔をしているのでしょうか。

六本木ヒルズの一角にあった東京日産のショールーム風景(たぶん)

当時のラインナップ

5系列のディーラーチャンネルの紹介
1992年7月の三菱自動車工業新聞広告。元気だったころの三菱。今は昔ですね。
話も尽きないので、今宵はここまでにいたしたく存じます(^_^;)
Posted at 2017/12/17 22:19:03 | |
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