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2023年02月12日 イイね!

トヨタ博物館企画展「WRC 日本車挑戦の軌跡 再び!」

トヨタ博物館企画展「WRC 日本車挑戦の軌跡 再び!」例によってトヨタ博物館の企画展に行ってきました。WRC 日本車挑戦の軌跡 再び! ということでラリージャパンや富士スピードウェイにモータースポーツを主題とした博物館をオープンさせた連動企画だと思います。

戦後しばらく舗装率が低いという我が国の道路事情によって国産車は耐久性確保が優先されてラリーに向いており各車が性能アピールの場としてラリーに挑戦していました。またフォーミュラカーと違い、市販車をベースとしたラリーカーは新型車のプロモーション手法としても活用されていた事情がありました。

前回(2021年)の企画展から新たに展示されたモデルをメインに取り上げます。

今回もメーカー別に並んでますが、エントランスには1990年式セリカGT-FOURがお出迎え。漫画的手法(効果線など)をうまく使ってラリーカーが持つ躍動感を表現しているのは相変わらず良いアイデアです。



1991年式パルサーGTI-Rはラリーの為に開発したフルタイム4WDに2Lターボを持つ専用モデルですが、当時から鼻先が重いなんて言われ方をされていました。確かに1tを切るようなパルサーに高出力エンジンを積み込んだのですから強度や剛性を確保する為に補強が必要になったこともあったでしょうが、個人的にはプレイステーションソフト「グランツーリスモ」でお世話になった経験の方が印象的ですね。後年、マニアの友人が所有するパルサーGTI-Rに乗せていただいたところ、その速さは本物だと感じました。正直、速すぎて私が扱うにはちょっとスキルが足りないと思いました。



ところでこの展示車はサニーGTI-Rと言うそうです。当時は日米はサニー/セントラで、欧州市場をパルサーでカバーする戦略だったので仕向地によってはパルサーをサニーと呼んでいた地域があるようです。個人的にはバックドアガラスに熱線が着いていない仕様があったんだなと細かい部分ですが気になりました。

同じく日産の目玉は1973年式ブルーバードUですね。ブルーバードU自体が本当に久しぶりであの直線基調だった510と比べると1970年代的な曲線基調を強く感じさせるエクステリアデザインですし、視線が集まる中心軸を通して車両を大きく見せようとするデザインも何とも当時っぽいですね。個人的な感想ですが510の方が清廉でマニア受けしそうに感じます。



しかし610も現代の目で見ると味わい深いものがありますね。ダットサン180Bというエンブレムは海外仕様の名称なんでしょうね。
そう言えばブルーバードというネーミングは企画段階ではスノーバードという案が有力だったらしいですが麻薬常習者を示すスラングだったとか。
粉まみれでふらふらしてるイメージなんでしょうか・・・。

スバルは長年レガシィを経てインプレッサでWRCを戦ってきましたがワークス体制でWRCに挑んだ最後のモデルとなったのがこの2008年式インプレッサWRCでした。私が20代最後の散財としてDS3を購入した頃、会社の後輩も感化されてEP91スターレットからこのインプレッサWRXに買い換えました。



私は5年ほどで探していたRAV4が見つかったのでDS3を手放すことになったのですが、後輩は家族からの圧力に屈せずに今も酷使しながら乗り続けています。以後のWRXは何となくエネルギーの行き場を失った感があり後ろ姿が少し寂しい印象です。

スバルの良きライバルである三菱の展示車は1982年式ランサー2000ターボです。私はランサーEXのデザインが大好物でトミカも大事に持っていたほどです。同じ三菱だと初代FFミニカが大好きなのですがこの2台は同じスタイリストの手によって生み出されたと後年知りました。ランサーは特別な事はしていないのに水平基調でバランスが良くエッジが繊細で美しいんですよね。ベルトラインが前後で折れてちょっと低くなっているのがまたドアを薄く見せていて格好いいです。



この美しさに荒々しい2リッターターボFRを組み合わせている点が良いですね。3代目カリーナもかっこ良くて好きなんですが、カリーナはマスキュリンでランサーはどことなくエレガントでフェミニンなオーラを感じます。

ダイハツもシャレードでラリーに挑戦しており、前回は初代が展示されてましたが今回はルノーにも影響を与えた?と言われる3代目が展示されています。1993年式シャレード GT-TiはサファリラリーにおいてグループAクラスVIIで優勝しています。総合でも1~4位を独占したセリカGT-FOUに次ぐR5、6、7位を占めてコンパクトカーの優秀性を見せつけたのでした。



軽く調べたところによると、ショックアブソーバーの交換本数が他の車種よりも少なく、軽さによるストレスの小ささを如実に示していたそうです。まさしくLight you up?

一階の出口付近も恒例の番外編展示があり、ST205系セリカGT-FOURとAE111系(3S-GTE積んでるけど)カローラWRC(前回はメイン会場)が並べられていました。個人的には胸熱の二台、、、、というのも免許取得前にたくさん遊んだアーケードゲームのセガラリーでいつもこのクルマ達を選んでいたからなのですが。



免許を取る前は少しでもステアリングを握りたくて100円玉をこういったレースゲームに投入する機会が多かったです。アウトランに始まり、チェイスH.Q.もレイブレーサーもデイトナUSAもルマン24時間もよくやったものです。その後、GTIクラブやスリルドライブにハマったところで免許を取得してアーケードゲームから卒業してしまいました。

セガラリーはダート路のようにグリップが悪い路面をフルタイム4WDによって安定的に速く滑らせながら走る楽しさを疑似体験できる点が面白かったですね。どうしてもうまく曲がれない急カーブでは無理矢理2速に落として速度を下げて曲がっていたのが懐かしいです。ステアリングの反力装置もついていたのでターマックでのグリップ感が走りやすさに通じていました。セガサターン版も購入してストラトスを出現させて・・・・・




・・・思い出が暴走して横道に逸れてしまいましたが、今回の展示でも分かるように道路事情が悪い我が国で生まれた国産車に適したラリー競技では、国産車は比較的早い段階から参戦し、鍛えられ、時には世界から賞賛されました。(時に締め出されましたが…)

モータースポーツは暴走族を助長する?というこじつけ論により良くないイメージを持つ人が居ますが、一定のルールの下で勝ちにこだわる技術競争をリードしてきたのは事実でしょう。いまのWRCではワークス体制を敷く国産メーカーがトヨタのみなのは頼もしくもあり残念でもあります。各メーカーは新しい歴史を刻めるようなモデルをこれからも供給して欲しいなと切に願います。

ニッサントリコロールに身を包んだノート・オーラWRCとか見てみたいですけどね。だれか絵に描いてお得意の妄想レンダリング記事にしてくれませんか?(笑)なんて。

他の画像はフォトアルバムに!

今回もトヨタ博物館の年間パス更新しました。あの充実した図書館も行き放題なので(ファミリーパス)5000円は全然安い!
Posted at 2023/02/13 00:03:20 | コメント(1) | トラックバック(0) | イベント | 日記
2023年01月08日 イイね!

2022年式CX-60感想文

 2022年式CX-60感想文●正攻法?逆張り?
2022年9月、以前から予告されていたマツダが送り出すラージ商品群の一発目が日本で発売された。その名もCX-60、新規開発された縦置きFR構造を採用したP/FをもつプレミアムSUVである。

プレスリリースに拠れば
時代の要求に応える環境・安全性能を備えながら、日常の一般道走行から高速道路を使った長距離ドライブまで、余裕をもって運転を愉しめる「ドライビングエンターテインメントSUV」をコンセプトとした、2列シートミッドサイズSUV
とのこと。

ボディサイズは下記の通り全長が4.7mを超えるミディアムクラスでCX-5よりも165mm長く、45mm幅広く、5mm低い。ホイールベースは170mm伸びたが、FRを採用する競合はどれも2800mmを超えておりセグメントとしては標準的である。



マツダは2010年以降スカイアクティブ技術をアピールし、2012年に世界的トレンドど真ん中のCX-5を発売した。CX-5はアクセラのオーナーが次に買い換えるクルマとして構想されたと言う。読みは当たりマツダとしては大ヒットを記録した。特に2.2LディーゼルのスカイアクティブDは走りが緩慢なSUV、燃費が悪いSUV、或いは黒煙を吐くながらトロトロ走るディーゼルのイメージを簡単に塗り替えた。2014年には29000台以上のディーゼル車を販売し、日本のディーゼル車の再普及に寄与した。

今回取り上げるCX-60はCX-5オーナーが次にステップアップするクルマ、と言えばイメージしやすい。正式なデータは無いが、売れ行きからCX-5の上級移行の市場性があると判断されたのだろう。或いは元々プレミアムブランドを目指しすマツダにとって記号性のあるFR+L6搭載ありきだったのだろうか。・・・いずれにしても2022年としては異例なほどトラッドな様式を持ったSUVがここに完成した。

マツダは元々欧州的な味を好むブランドであった。スカイアクティブ技術を謳いだしたとき、今後の自動車はハイブリッドになると誰もが信じていた中で「内燃機関の最大効率を狙う」「効率のいい内燃機関+小規模な電動化」という独特の筋書きを描いていた。スカイアクティブDは見事にヒットするも、内部に詰まるスス問題やディーゼルゲートによって苦しむこととなり、全てを打開できるはずのスカイアクティブXでも価格に見合った商品性を持っていないと判断されてトーンダウンせざるを得なくなるなど当初の想定から軌道修正を余儀なくされる中、欧州チームはHEVに勝てないと見てEVシフトを主張し始めた。

マツダの企業規模を考えると急激なEVシフトに着いて行けそうに無い。元々マツダは欧州を意識しながらも決して欧州のモノマネで終わっていない。ダウンサイジングに対して早々に否定的な意見を持ち、CX-3の1.5LスカイDは1.8Lにスープアップさせてライトサイジング(排気量適正化)を謳うなど独自のポリシーを持っている。今回のFRや直6の採用も、伝統の様式を持つことで権威を持ちたかっただけでも、欧州チームの逆張りをしたわけでもなく、マツダにとって作りたい車がそうあるべきだっただけなのだろう。(プレミアムと一目見て分かる様式なのでスケベ心は多少あっただろうが)

前置きが長くなったが、「既存CX-5ユーザーの為のポストCX-5」が積むべきE/GはCX-5が持つ「驚きの走り」と「低燃費」を維持向上することが求められる。開発陣は最初に「ポストCX-5」が持つべき動力性能を試算して500Nmだと決めたという。現行CX-5(平均車重1675kg)のスカイDは2.2Lで450Nmという大トルクを発揮する。CX-60ディーゼル車の車重平均は1865kgなので同等の走りをさせるには1.11倍の500Nmが必要だと求められる。

500Nmなら現行2.2Lの改良で到達できるかもしれないし、排気量を2.7L程度に上げてやれば十分対応できるのだが、そのままでは燃費性能が悪化してしまう。マツダはライトサイジングと言う考え方を提唱している。これは排気量を闇雲に下げず、必要な動力性能に対して排気量を大きめに設定することで、排ガスや燃費に厳しい燃焼をさせず、余裕を持って燃費に優れるリーン燃焼領域を広げようというものだ。

「ポストCX-5」を考えたとき、500Nmのトルクを確保した上で排気量を1.1Lアップの3.3Lを選択した。気筒数は違えど2.2Lのボアストは同一なので「同じ燃焼ノウハウ」を活用することが出来るのである。3.3Lあれば本来は450Nm×1.5=675Nmを出すことだって可能であるが、敢えて500Nmに留めることで余力を排ガス性能と燃費に振った。排気量が3.3Lになるとプレミアムを謳うモデルとして4気筒エンジンの商品的限界が顕在化する。4気筒のまま排気量拡大するとピストンの上下往復による加振力が増大し、振動が増えて商品性を損なうため6気筒化することを選択。

マツダにはV6の経験があるのだからV6を選択できたが、問題となったのが排出ガス問題である。年々厳しくなる排ガス規制だが、エンジンそのものの燃焼をよくすることだけ対応は出来ず、触媒などの後処理装置が必要である。例えばガソリン車に使われている三元触媒はご存じの通り白金・パラジウム・ロジウムである。どれも貴金属であり車両原価に対して大きなウエイトを占める。V型E/Gは左右のバンクにエキマニが取付けられ、そこに触媒が着くので2個必要であるが、直列E/Gは全ての排ガスが片側に集まるので触媒が1個で済んでしまうので経済的なのである。同じ理屈でメルセデスも2017年に直6エンジンを復活させている。

直6を選んだ以上、横置きは困難なことから自然に縦置きFRが選ばれる。一見、「プレミアムブランドになりたいマツダが身の程もわきまえずカタチから入った」と思われがちだが意外とロジカルだ。



マツダは新世代商品群を一括企画することでどのセグメントのモデルも等しくマツダの最新技術が織り込まれるようにしていたが、開発者にとってコンパクトハッチバックから3列SUVまでを同時に見ることは負担が大きくなりすぎていた。既にマツダは「スモール」「ラージ」と商品群を2分して開発の効率化と最適化を図ろうとしている。マツダ3やCX-30はスモールであり、今回のCX-60は初のラージ商品となった。

だからこそCX-60は確かに力が入っている。マツダの新しいSUVであり、CX-5より立派で、後輪駆動であることが一目で分かるエクステリアデザインだ。インテリアもマツダ3やCX-30とのファミリーを感じさせながら、マテリアルやワイドなセンターコンソールで格の違いを見せつけるような堂々たるもので納得感がある。

走らせると、6気筒らしい振動の小ささやCX-5で度肝を抜いたディーゼルらしい力強さは健在。そこに後輪駆動的なステアリングの素直さや小回り性能、或いはMハイブリッドによる介入が感じられるなど運転体験の新しさは十分感じられた。乗り心地の硬さは私は気にならなかった。

発売したのはe-SKYACTIV DことディーゼルのMハイブリッドのみだが、マツダのプレスリリース情報によると6月下旬の予約受注開始から9月中旬までの期間でで8726台を受注とのこと。販売台数目標は2000台/月とのことだが、半導体不足やマツダ自身のギブアップによる遅れなどがあり順調に生産・登録が推移するか今は大切な時期だ。受注内訳は6気筒ディーゼルが8割を超えるという状況で一ディーゼルユーザーとしても嬉しい傾向だ。グレード比率までは見えてこないが、CX-5検討層が背伸びをするならベーシックなスカイDやスカイGで十分。


CX-60は見て乗ってみるとマツダらしいコダワリが強めのニューモデルだった。また高価格帯への挑戦というマツダにとって重要な使命を背負っており何としても失敗はしたくないだろう。その思いが顧客を取りこぼしたくないと言わんばかりの幅広い価格設定に現われている。SUVを何となく探している人にはお薦めできないが、CX-5が好きだった人ならきっと気に入るであろうポイントは抑えていた。危惧していたガッカリするような酷い出来映えにならず胸を撫で下ろしたが、パッケージング的な完成度やエクステリアデザインの洗練度は価格に見合っていない部分があることも確かだ。更に、試乗した限りだと高級車としてはもう少し洗練させるべき箇所が残っている。少しでも商品改良で良くなることに期待したい。

個人的に装備表を見ているとXD Lパッケージ(400.4万円/423万円)が最もお買い得感の高い仕様設定になっていると判断した。FFベースの競合とも肩を並べる価格設定でありながら本格的高級車の味わいが楽しめるメカニズムが奢られているのは面白いと感じる人が居ればいいのだが。私の稼ぎでは簡単に買えそうに無い価格帯だが、国産車からFR+直6を復活させてくれたマツダを素直にお礼を言いたい。

クルマとしては★3つだが、古典的なレイアウトの復活に感謝して+1。
Posted at 2023/01/08 01:40:54 | コメント(1) | クルマレビュー
2023年01月04日 イイね!

まほろばミュージアム見学

まほろばミュージアム見学2023年初投稿です。本年もよろしくお願いいたします。
一発目に書きたかったネタがこれです。

私が育った奈良県には「まほろば」なるワードが多数出現します。ネット情報によると、

「まほろば」とは 古事記の中で、「倭(大和・やまと)は国の真秀(まほ)ろば 畳(たたな)づく青垣 山籠れる大和うるわし」と倭建命が国をしのんで歌われ、
「まほろば」には「素晴らしいところ」という意味があります。


大和=奈良なので、奈良県のあれやこれやに「まほろば」と名付けられるケースがあきれる程でして、例えば奈良県の特産品を売る店は「奈良まほろば館」、JA奈良の農産物直売所は「まほろばキッチン」、県営のスポーツ施設は「まほろば健康パーク」と言う具合。子供の頃から聞き飽きるほど「まほろば」の洪水の中を泳いで参りました。

もし奈良県に空港が出来るなら「愛称・まほろば空港」だろうし、ローカルTV局を開局させるなら「まほろばテレビ」だろうし、新設の高校は「県立まほろば高校」なんだろうし、地方銀行が統廃合するなら「まほろば銀行」、サッカーチームをつくるなら「まほろばFC」でしょうね。

そんな中まほろばミュージアムが2021年にオープンしました。

気になっていたのに流行病やら何やらのせいで行くことが出来ず、昨年11月にようやく残業調整(金曜午後に帰ることで残業を4時間減らす)で時間を捻出してお忍びダンガンZZツアーを敢行した次第です。

まほろばミュージアムと言っても、笑い飯(奈良県出身のお笑いコンビ)の奈良県立歴史民俗博物館ネタに出てくるような、古墳とか遺跡の展示ではなく、恐らく奈良初のクラシックカーが常設展示される博物館なのです。設立したのは奈良トヨタ。さすが奈良県の名門ディーラーです。私はRAV4で昼飯も食わずに名阪国道を一気に下り、Ωカーブもグイグイクリアして来ました。久々に高峯からの奈良の景色を見ると本当に嬉しいもので、故郷が嬉しいという気持ちになるのは、老化したんだなと自覚した次第。

現地は奈良県を南北に貫く国道24号線沿い。(県を東西に貫く25号線も重要幹線道路です)

明らかに前世ユニ●ロやん!という建物なのですが、自動ドアをくぐった瞬間に嬉しくなる光景でした。



奈良トヨタがレストアした車両などが展示されております。




一角には謎の昭和コーナーもありますが、その中にスタウトの玩具があった事を見逃しませんでした。





一等地に置いてあるのは、奈良県を地盤に持つ某大臣が所有していた70スープラ
綺麗にレストアしてありますね。安易に部品交換をせず、リペアする技術を磨いた点は大いにリスペクトするべきだと思います。







ほかにもヨタハチやMR2、セリカLBなどスポーツカー系が多いですね。MR2はECT-S車でした。先日訪れたアイシン精機の展示で横置きATの内製化を阻止し、初の電子制御ATとした記念碑的なATが搭載されています。

このMR2のECT-S車なんですが、子供の頃に母の友人(女性)が同仕様に乗っており、一度助手席で全開加速に乗せていただきました。4A-GZEは速かったですね。近い時期に伯父のGX81のグランデGの1G-GZEにも載せていただいてびっくりしたりもしましたが。あの頃は、新車買った人は大抵助手席に乗せてくれて信号グランプリをお披露目してくれました(時効)。

特にセリカLBは私が参加していたトヨ博のクラシックカーフェスティバルに出場されていた個体のようです。LBと言えばこのリアコンビランプやクオーターベントダクトですよね。マスタングやん!と言われればぐうの音も出ないのですが、格好いいものは格好いい。私が幼かった1980年代末期でも既にデビューから15年が経っていても生き残りが居た位ですからね。





スタウトはかなりレアなモデルで確か奈良トヨタに寄贈されたクルマを直したんじゃ無かったかと・・・。記憶が曖昧です。日野自動車と協業する前の小型トラックですが、実車を見るは初めてに近いです。例えば繊細なコロナとは違う頼もしい力強さをスタウトのデザインから感じ取ることができました。




このサイドマーカーどっかで見たなぁ・・・と思っていたら



これと似てませんか?同じ形してますね。セリカLBでも流用品なんですね。



そして「自動車をみんなのものに」をスローガンにしてきたトヨタ自動車の巧みなマーケティングに基づいた初代カローラもあるのです。2速半自動トヨグライド車ですね。



ちょっと残念なのがタイヤですね・・・・もう少しカッコよく・・・・・して欲しいな・・・と。



このほか、ディーラーとしての歴史を伝える写真も展示されていたたので、じっくりと見てまいりました。








個人的にカタログ収集を開始したディーラーや地元の懐かしい写真もありました。映りこんでいる車たちが懐かしいです。




いつかこのコロナも見てみたいものですね。


そして展示スペースの奥にいらっしゃるのがこちら。



斑鳩町にある世界最古の木造建築を大工さんに建てさせたあの歴史上の人物を思わせるキャラクターは、奈良トヨタのマスコットである「まほろばトヨ太子」。好きな食べ物は奈良漬けなのだそうです・・・鹿せんべいはお口に合わないようで。奈良を象徴する鹿と「まほろば」のコンボが奈良くささを倍増させております。

そうそう、奈良と言えば鹿ですよね。この県では何でも間でもシカに結び付ける風習があるのです。あの「せんとくん」騒動で対抗馬として生み出されたキャラクター「まんとくん」、あるいは奈良市観光協会の「しかまろくん」などシカをモチーフにしたキャラクターが次々と生み出されているわけです。

古来から、奈良のロードサイドには「シカと締めようシートベルト」なる安全標語が掲げられてきた訳ですし、奈良県関係者のDNAには自然とシカの姿が刻まれているんですよね。

奈良で育ってますし、ディスるつもりはありません。子供の頃は何でもかんでも「まほろば」とか「しか」とか「わかくさ」とか名付けてしまうワンパターンな感じがダサいと思ってましたが、歳をとるとそれも含めて懐かしいなと思うのです。昔聞いた話だと食い倒れの大阪、着倒れの京都、履き倒れの神戸だとしたら、奈良は「寝倒れ」なのだそうです。何もないから寝るくらいしか出来ん、と。逆にぐっすり眠れる良い場所だと思えてきますね。

久しぶりに奈良県に戻りましたが、変わってないからホッとする部分もあるのですが、逆にまほろばミュージアムの様に小規模ながら歴史的な車を展示する施設が誕生したことはうれしい限りです。子供のころは大阪にあった鉄道がメインの交通科学博物館にいく位しかできなかったのですから。ほとんど車の展示そのぜひ今後ともこの素晴らしい場所が維持管理されていく事を願っています。
Posted at 2023/01/05 00:21:51 | コメント(2) | トラックバック(0) | イベント | クルマ
2022年12月31日 イイね!

感想文アーカイブ2022

早いもので2022年も終わりますね。

今年は私は健康だったものの、家族が入院し手術を受けたり今月中旬には流行病で我が家がロックダウンするなど、困難な状況がありました。それだけでなく、自身の仕事の状況の厳しさ(内容も環境も)が段々と激しさを増し、ちょっと参りそうになることも正直ありました。

そんな中でも趣味であるクルマが私のことを救ってくれている、そう感じることが多い一年でした。年末年始は帰省もしませんし何処にも行きません。仕事納めが遅くて年賀状に着手したのが昨日・・・。デザインは完成したものの住所録がぶっ飛んでしまい、明日キチンとした宛名書きソフトを購入して作り直すことに決めました。

そんな諦めの境地の中で現実逃避がてらアーカイブの更新を行いました。
お正月休みの間に色々書きたいテーマに取り組めればいいのですが・・・。

来年は本厄ですが、何とか頑張りたいと思いますし面白い車との出会いや魅力の再発見ができればいいなと思っています。そして愛車達も一層大切にしたい思います。・・・という訳で皆様もよいお年をお迎えください。

●2022年試乗車抜粋(試乗順)
2020年式Honda e ミニ感想文

2021年式シビックEX(CVT/MT)感想文

2022年式ノア感想文

2021年式ノート・オーラ ミニ感想文

2022年式bZ4X感想文

2022年式ステップワゴンe:HEVスパーダプレミアムライン感想文

2004年式ワゴンR FX感想文

2021年式 N-WGNカスタムLターボ感想文

2022年式サクラ X ミニ感想文

2022年式 エクストレイルG感想文

2020年式 ロータスエリーゼスポーツ220II感想文

1999年式プレオRM感想文

2001年式コロナプレミオEリミテッド感想文

2002年式デュエット Vリトルパッケージ(4WD)

2013年式マーチ ボレロ

2022年式シエンタHEV_Z(7人乗り)感想文

16台試乗しておりました。原動機別で分類すると、EVが3台、HEVが5台、ICEが8台と電動化の波を感じますね。こんなにEVに乗ったの初めてじゃないでしょうか。車型別だとハッチバック3台、軽自動車3台、ミニバン3台、SUV2台、スポーツ1台と悲しいことにセダンの衰退を感じさせます。これがメーカー別だと、ホンダ4台、トヨタ3台、日産3台、スズキ1台、ロータス1台。新旧洋邦問わず、どの車も違った個性があり、車という道具の奥深さを考えさせられました。

この感想文が役立つときもありました。会社の人がミニバンを購入したのですが、ちょうど試乗済だったので、自分でブログを読み返してアレコレと情報をお伝えしたところ「えっ、ノイマイヤーさんって最新のミニバンも詳しいんですか?キモい位詳しいですね・・・」と若干Disられたものの、週末を挟んだ後で「ノイマイヤーさんの言ってることがよくわかりましたので●●を買っちゃいました」と即決。人様のカーライフのお手伝いができたのだとしたら嬉しいことですね。

個人的に感想文が書けるだけの情報が得られないレベルのちょい乗りはもう少しあるのですが、自分のメモとして残す為に一定の距離・時間走らせたもののみブログに残しています。

★2022年版 感想文アーカイブ
#順番はヒエラルキー順 同一モデルは古い順#
下記リンクから各メーカーに飛べます。





●トヨタ

2002年式デュエット Vリトルパッケージ(4WD)

2004年式パッソ感想文
2014年式パッソ感想文
2016年式パッソX-L_PKG・S感想文

2019年式ライズG(4WD)感想文

2000年式ヴィッツUユーロスポーツエディション感想文
2010年式ヴィッツ感想文
2014年式ヴィッツ感想文
2017年式ヴィッツハイブリッド感想文
2017年式ヴィッツGR(MT)感想文
2018年式ヴィッツGRMN感想文
2020年式ヤリス感想文
2020年式GRヤリス感想文

1999年式ファンカーゴX感想文

1986年式コルサ・ソフィア感想文

2011年式 アクア感想文 前編
2011年式 アクア感想文 後編
2021年式 アクアZ感想文

2012年式 ポルテ/スペイド感想文

2022年式シエンタHEV_Z(7人乗り)感想文

1978年式カローラGSL感想文
1981年式カローラクーぺ・レビン感想文
1998年式カローラGT感想文
1993年型カローラSE-Limited感想文
1998年式カローラ1.5XE-Saloon感想文
2002年式カローラ1.3X感想文
2008年式カローラ・アクシオX感想文
2012年式カローラフィールダーG(MT)感想文
2012年式オーリスRS感想文
2013年式カローラフィールダーHV感想文
2018年式カローラ・スポーツG"Z"感想文
2018年式カローラ・スポーツ ハイブリッドG感想文
2018年式カローラ・スポーツG"Z" iMT感想文
2019年式カローラ/ツーリング感想文
2019年式カローラクロス ハイブリッドZ感想文

2005年式MR-S Sエディション感想文

1981年式カリーナ1.8ST-EFI感想文
1984年式カリーナ1.8SG豪華マイロード感想文
1984年式カリーナGT-R感想文
1991年式カリーナサーフSXリミテッド感想文
1999年式カリーナ2.0Ti感想文

2001年式コロナプレミオEリミテッド感想文

2011年式プリウスPHV感想文
2017年式プリウスPHV_SナビPKG感想文

1996年式イプサムL-Selection"EX"仕様 感想文

2012年式86感想文(試乗無し)
2015年式86レーシング感想文

2000年式ライトエースノアGメモリアルエディション感想文
2022年式ノア感想文


1993年式カムリプロミネントG感想文
1993年式カムリプロミネントG感想文追補版

1996年式RAV4 L感想文
2015年式RAV4リミテッドHV感想文
2019年式RAV4 アドベンチャー感想文

2013年式ハリアー感想文 前編
2013年式ハリアー感想文 後編
2020年式ハリアー感想文

2022年式bZ4X感想文

1974年式コロナ・マークII GSL感想文

1989年式マークII3.0グランデG感想文

2000年式プログレNC250感想文

2001年式 ハイエース スーパーカスタムLTD感想文

2011年式ヴェルファイアX 4WD感想文

2003年式クラウンマジェスタ4.0Cタイプ感想文
2012年式クラウンアスリートS_HV感想文

2014年式ランドクルーザー70感想文



●レクサス

2012年式CT200h感想文

2018年式UX200/UX250h感想文

2014年式NX200t/300h感想文 前編
2014年式NX200t/300h感想文 後編
2014年式NX200t感想文 追補版

2017年式RX200t Fスポーツ感想文

2019年式LS500h_I_PKG_AWD感想文



●日産

2022年式サクラ X ミニ感想文

2013年式マーチ ボレロ

2016年式ノートe-POWER感想文
2020年式ノートe-POWER X感想文
2021年式ノート・オーラ ミニ感想文

2020年式キックス感想文

1985年式サニー305Reニスモ感想文
1990年式サニートラック・ロングボデー感想文

1990年式パルサーGTI-R感想文

1992年式シルビアQ'sSC感想文

2013年式エクストレイル感想文
2022年式 エクストレイルG感想文

2012年式セレナSハイブリッド感想文
2018年式セレナe-POWER感想文

1991年式ローレルメダリスト感想文

1979年式セドリックSGL-E感想文

2012年式シルフィ感想文(未試乗)



●ホンダ
2012年式N-ONE感想文

2021年式 N-WGNカスタムLターボ感想文

2011年式N BOX感想文
2012年式N BOX+カスタムGLターボ感想文
2017年式N BOXカスタム_ミニ感想文

1986年式アクティストリートL感想文

2020年式Honda e ミニ感想文

1983年式シティターボII感想文

2020年式ホンダフィット感想文

2014年式ホンダヴェゼル感想文
2021年式ホンダヴェゼル e:HEV Z感想文

1990年式シビック35X感想文
2017年式シビック HB(CVT)感想文
2021年式シビックEX(CVT/MT)感想文

1987年式クイントインテグラVX感想文
1989年式インテグラZXi感想文

2018年式インサイトEX感想文

1997年式ステップWGN_G感想文
2017年式ステップWGNスパーダ・ハイブリッドG・EXホンダセンシング感想文
2022年式ステップワゴンe:HEVスパーダプレミアムライン感想文

2007年式アコード20EL感想文

1991年式アスコット2.2Si感想文




●三菱

1990年式ミニキャブブラボー感想文
2011年式ミニキャブMiEV感想文

2012年式ミラージュ感想文

2001年式ランサーセディアワゴン感想文

2018年式エクリプスクロスGプラスPKG感想文

2012年式アウトランダー感想文

1990年式デリカ・スターワゴンLINKS感想文


●マツダ

2014年式デミオ13S感想文
2014年式デミオXDツーリング感想文
2018年式デミオ13S感想文
2018年式デミオXDツーリングL_PKG(納車12ヶ月経過)

2008年式マツダベリーサ 感想文

2020年式マツダCX-30 X L_PKG感想文

1992年式センティア感想文


●スバル

1965年式スバル360スタンダード感想文

1995年式ヴィヴィオef-s感想文

1999年式プレオRM感想文
2001年式プレオLS感想文

1987年式ジャスティLJ感想文

2011年式インプレッサG4感想文

2012年式フォレスター感想文

2011年式インプレッサG4 2.0i-Lアイサイト感想文

2014年式レヴォーグ感想文

2018年式フォレスターツーリング感想文


●スズキ

2004年式ワゴンR FX感想文

2012年式スイフトRS×スイフトスポーツ比較感想文
2017年式スイフトスポーツ感想文

2018年式ソリオバンディットHV感想文

2018年式ジムニーシエラ感想文



●ダイハツ

1993年式ミラ Jターボ感想文

2012年式ミラココア プラスG感想文


2000年式ムーヴ カスタムターボRS感想文
2001年式ムーヴCR感想文

2007年式アトレーワゴンカスタムターボRS感想文

1986年式シャレード ブランシェII感想文
1988年式シャレードGT-XX感想文

2019年式ロッキーPremium感想文

1993年式アプローズ16Si感想文



●いすゞ

2004年式いすゞエルフカスタム感想文




●メルセデス・ベンツ

2012年式メルセデスベンツA180感想文
2012年式メルセデスベンツB180感想文




●BMW

2020年式BMW320d xDrive M Sport感想文



●VW

2012年式VW UP!感想文

2020年式VW T-Cross感想文

2009年式ゴルフVIコンフォートライン感想文




●アルファロメオ

2011年式アルファロメオジュリエッタ感想文



●フィアット

2007年式フィアット500 1.2POP感想文



●プジョー

2012年式プジョー208感想文



●ルノー

2010年式トゥインゴ ルノースポール感想文
2018年式ルノートゥインゴGT(MT)感想文
2010年式ルノー・ルーテシア R.S.感想文



●アルピーヌ


2018年式アルピーヌA110ピュア感想文



●シトロエン
2011年式シトロエンC3感想文

2011年式シトロエンDS3スポーツシック感想文


2011年式シトロエンC5セダクション感想文



●ボルボ

2013年式ボルボV40感想文
2013年式ボルボV40SE感想文

2005年式ボルボXC70感想文



●ロータス

2020年式 ロータスエリーゼスポーツ220II感想文

以上
Posted at 2022/12/31 01:07:21 | コメント(0) | トラックバック(0) | 感想文_車レビュー | 日記
2022年12月14日 イイね!

アイシンコムセンター企画展「クラウンとアイシン」見学

アイシンコムセンター企画展「クラウンとアイシン」見学祝日は私の勤務先も妻の勤務先も仕事なのに保育園は閉まっています。そこで同じく公営の祝日保育を実施している保育園に連れて行くことになるのですが、給食が出ない為、5時起床でお弁当を用意する必要があり、最近は割切って有給休暇を取るようにしております。

夫婦交代で休むのですが、休みと言えども家でゴロゴロしているわけにも行きませんので10月はひと区間だけ子供達を新幹線に乗せてきました。正直、ひと区間で十分子供は楽しんでいたようで、下車後は安全な柵の手前側で通過する新幹線の迫力に圧倒されておりました。

次の11月の祝日は刈谷市にあるアイシンコムセンターへ行ってきました。ここは平日しか開館していないアイシンの企業展示施設です。

たまたま企画展をやっていることもあり、プログレでアイシン本社へ。お客様駐車場には三河33を掲げた初代セルシオが止まっていて何となくテンションが上がります。



エントランスには3代目トヨペットコロナが止まっています。社内のレストアプロジェクトで復活したようですが、流石というクオリティ。



トヨグライドなのは黎明期からトヨタのATを(元アイシンワーナーことアイシンAW)生産しているアイシングループらしい選択と言えます。



まずは常設展へ。

「アイシン」の社名は「愛知工業」と「新川工業」が合併して両社の頭文字をとったもの。1943年にトヨタ自動車と川崎航空機工業の共同出資で生まれた航空機エンジンの量産メーカーでした。1965年、トヨタ自動車工業のサプライヤーとして新川工業と合併しアイシン精機となりました。




時代の流れに沿って1/43スケールの代表的なミニカー(市販品)が展示され、マニア層で無くても自動車の進化を感じ取ることが出来ます。



トランスミッションは1959年にトヨタが開発した半自動2速ATであるトヨグライドを受託生産し、アイシンによって改良・洗練されていきました。当初は職人が一人で組み上げており、日産数台だったトヨグライドですが、1963年には完全自動のトヨグライドを開発、年間5万機の生産ペースに拡大しました。モータリゼーションの波でイージードライブへの要求や輸出先のニーズにATはよく合っていたのでしょう。



一方で米国ボルグワーナーも日本市場に目をつけ日本に進出したところ、トヨグライドがボルグワーナーの特許に抵触していることが発覚しました。トルクコンバーターとプラネタリーギアを用いた自動変速機という枠組である以上、特許を回避することは不可能であり1969年にアイシン・ワーナーという合弁企業を発足させてATの開発・生産を行うこととしました。

特許を調べずにトヨグライドを作ってしまったトヨタ自動車も鈍臭いところがありますね。以後、品質と技術に十分注意したアイシンワーナーは世界中のメーカーへ採用されていくことになります。

MTも1967年のトヨタ2000GTの5速MTが展示されています。これはアイシンによる開発第一号のトランスミッションとのこと。残念ながらシフトパターンを示すプレートは欠品しておりました。(いわばトランスミッションの顔なので復元して欲しいですね)



ATの進化は続き、ボルグワーナーが開発中だった新機種の基本設計を元にアイシンワーナーが完成させた3速フルオートマチックは1972年のコロナを皮切りにたくさんのFR乗用車に搭載されました。たった12人の技術者で完成させたと言われるこのATは全数検査(ベンチ試験では無く、車両に搭載して検査される)され2000台が実際に全数検査されて不具合はほとんど無かったと言われているそうです。確か我が家のライトエースノアのこのタイプの末裔が載っていたかと記憶していますが、かなり長い間作られていたんですね。苦労した分、ダシが出尽くした感じですか。

また、1983年のカローラに搭載された横置きFFの狭いスペースに4速を実現したECT-Sは、3速ATを基本として、カウンター軸(反転側)にO/Dを配置すると言う2軸構成が新しく、3速ATと同じスペースで4速ATを実現できる大衆車クラスとしては世界初のFF用電子制御4速ATとのことです。元々4速ATはFFカローラの企画にあったが、3速はアイシンワーナー製で、4速はトヨタ内製で検討されていました。当時はスペースが厳しい横置きATは車両とのマッチングを考えて自動車メーカー内製とする風潮が見られていました。



これは変速機メーカーであるアイシンワーナーの経営を揺るがしかねない事態であり、内製を超える商品性の実現という必要に迫られての開発だったようです。私のAE92カローラGTもAT車にはこのモデルの改良型が採用されていましたが、
軽自動車なら2速ATも存在していた時代に横置き用の電子制御4速ATの存在は相当なハイテクだったことでしょう。

子供時代、親の車は油圧式ATばかりで私は電子制御ATが持つPOWERとかSNOWと書かれたボタンが無性に羨ましかったです・・・が大人になったらMTばっかり選んでいます。更に新車に試乗するときに熱心に営業マンのかたがSPORTSとかECONOMYとか押してくれるのに、個人的な評価の為にあくまでNORMALで走ってしまうのですが・・・。

それはさておき、他にもアイシン精機の歴史的な製品が所狭しと展示されています。

トランスミッションなどのドライブトレーン系部品が有名ですが、ドアヒンジやロック、ムーンルーフなどのボデー(トヨタ流表記)部品も数多く生産していました。

トヨタ向け以外にもスズキアルトのATやポルシェ911のMTも生産していたんですね。(アトレーにスーパーチャージャーがあったなんて知らなかった・・・。)



このほか、生活関連の品々の展示もあります。有名どころではトヨタミシンがありますが、ベッドやシャワートイレも作っていたようですね。



こんなところにクラウンが!



クラウン展に行きたいところですが、せっかくなので続きを。



2階に上がると現代のアイシンの製品群が展示されています。プロジェクションマッピングシアターはうちの子供は「怖い」と泣いてました(笑)が中々楽しめる迫力のある映像でした。

トランスミッションの機構を説明するモックアップがあり、AT/MT/CVTの原理を同時に学べるのは貴重ですね。またスライドドアやスポイラーなど部品を見ただけで「●●に採用されてるんだな」と分かるような特徴的な部品を開発・生産しているんですね。



ここには初代カローラが展示されていました。こちらもアイシンでレストアしたクルマのようです。なるべく当時のメカニズム・工法を理解したひとが復元することは非常に意味がありますね。この手のプロジェクトで過去のガソリン車を普通に復元するのは難しいし安易にEVにしちゃえ!みたいな輩がいますが本当にセンスがないです。(お前らのことやぞ)



・・・と言うことでいよいよクラウン展に突入します。



アイシンとクラウンの関わりは初代から続いています。私は初代から15代までの歴代クラウン達の展示パネルと実車、部品を見せていただいてきました。説明パネルは非常に力の入った物でアイシンの視点が入った説明文として読み応えがありました。その文章全てを転記することはしませんが部分的なエッセンスは抜き出しておきます。技術名は原文そのままです。

●初代(1955)



アイシンの主な採用製品・技術
半自動FR2速オートマチックトランスミッション「トヨグライド」
日本のATの歴史は1959年にトヨタが開発し、マスターラインに搭載された半自動ATで始まる。1961年に内製から外部移管される際に愛知工業が名乗りを上げて1961年から生産を開始。当時は一日に数台の規模だったので組立ラインが無く、技能者が一台ずつ組立てる作業の為、品質が安定しないなど問題があった。迷路のような油圧回路は説明書も無く当時のエンジニアは(開発の際に参考にした)回路に白紙を当てて鉛筆で浮き出させて転写、PNRDLの各課色事に色づけし、圧力やシフトポイントを記入して自力で覚えたという。分かりにくい油路は煙草の煙を油孔に吹き付けて調べるなど血のにじむような努力で商品化にこぎ着けたのだという。

摩擦式バンパージャッキ
ヨーロッパの一流メーカーのジャッキに拮抗しうる製品として自主開発。最初はネジ式ジャッキで開発を開始したもののネジ山が破損し、ジャッキが落ちて失敗。次にサル式ジャッキを手がけて一応成功し(注:一応ってなんやねん)クラウンの車載工具として採用。開発当初は試験機も存在せず、人力で砂袋を昇降テストして開発していた。

ピニオン式ドアロック
鋳物製ヒンジ
鋳物製メーターパネル
コンベンショナルファン
外接ギアタイプオイルポンプ



●2代目(1962)
アイシンの主な採用製品・技術
完全自動FR2速オートマチックトランスミッション「トヨグライド」
先代は自動変速でありながら1速⇔2速を手動で切り替えなければならなかったが、新型ではアクセルペダルに連動するスロットルバルブと車速を検出するガバナバルブで制御され、負荷に応じてハイギアの2速が自動的に切り替わる。

トルクファンカップリング
ファンカップリングは冷却ファンとそれを駆動するプーリの間に設定された部品。プーリーはE/G動力によってファンベルトを介して駆動される。例えば始動直後は暖機が必要なのでファンは回って欲しくないが、暖機が済むとファンはたくさん回って欲しい。ファンカップリングはバイメタルの働きを使って切り替え機構を持つものである。

タンデムマスターシリンダー
PKBレバー付きリアホイールシリンダー
パワードアロック
ワイヤー式パワーウィンドゥレギュレーター
油圧反動式分離型ブースター
アルミ製シリンダブロック・シリンダヘッド
6WAYパワーシート(ベンチ式)



●3代目(1967)
アイシンの主な採用製品・技術
FR3速オートマチックトランスミッション「トヨグライド」
変速時のショックを改善する為、トルクと油圧特性の理論解析で改善を進めた。ショックには油圧特性と摩擦材の特性が大きく影響することが分かった。油圧特性の計算手法を獲得して設計スキルが向上した。

日本初ナマズ型プロポーショニングバルブ(後輪駆動用)
アメリカの安全基準FMVSSに適合する為に開発。ブレーキ液圧をスプリングによって調整するもので前輪ディスクブレーキと後輪ドラムブレーキの仕様差によって起こる後輪の早期ロックを防いで安定性を確保する。

カップリングケース/ファン一体品
スイングチェックアーム付き鋳物ヒンジ
コンベンショナルファン
2段制御式ファンカップリング
レバー反動式ダイレクト型ブースター
アームタイプパワーウィンドゥレギュレーター

●4代目(1971)
アイシンの主な採用製品・技術
FR3速オートマチックトランスミッション「トヨグライド」

日本初バキューム式後二輪ABS
エンジンのバキューム(負圧)を動力源としたABSをクラウンのオプション装備として量産開始。これがアイシン初のABSとなった。米国ビッグ3も同時期にオプション設定を開始しており日本の技術が欧米に追いつきつつあったとアイシンは考えているようです。

●5代目(1974)
アイシンの主な採用製品・技術
FR3速オートマチックトランスミッション
アイシン初設計のAT。ボルグワーナーと設立したアイシンワーナーでは当初M35と言う機種を生産する予定だったが、後継機種の開発が進められていると知り、担当者2名を現地に派遣。ところが開発は完了しておらず試作品もない。仕方なく500点余りの部品だけ見せて貰い紙に転写して(注:アイシンさんこの手法好きねぇ)情報を日本に持ち帰った。様々な新技術を取り入れて高速走行フィーリングとシフトクオリティは大幅に向上した。立ち上げ時は全数検査を実施。立ち上がり品質はトヨタも驚くほどのレベルだったと言う。

O/D付きFR4速オートマチックトランスミッション

●6代目(1979)
アイシンの主な採用製品・技術
ロックアップ付きFR4速オートマチックトランスミッション
ATの燃費向上策としてギア比が1以下となるオーバードライブを採用してE/G回転を下げたが、第二の矢として採用されたのはロックアップクラッチ。これはトルコンの入出力の間に生じるスリップ損失をなくす為に、E/G回転数がトルク変動による振動が少なくなる領域に差し掛かり、入出力の回転数差が無くなったタイミングでクラッチで直接繋いでしまう(直結)もの。

元々ATの全長はロックアップ無しと同値にしなければならなかった為、従来円形だったトルコンの断面形状を楕円形に変更する必要が生じた。開発当初は狙い通りの性能が出せず、夏と冬の長期休暇をほとんど返上(注:コンプライアンス・・・)して対策に当たり、実験室の壁が性能曲線のグラフで埋め尽くされたほど試作と評価を繰り返したという。トルコンを扁平化する技術は後の横置きFF用ATの開発に大いに活かされた。

前後無段階調整式ヘッドレスト
2色バンパーモール
インナースライドムーンルーフ
ゴム反動式タンデムブレーキブースター

●7代目(1983)
アイシンの主な採用製品・技術
世界初マイコン電子制御式FR4速オートマチックトランスミッション
電子制御によって複数の変速パターンを選択可能とする世界初のマイコン電子制御式AT。機械とエレクトロニクスが組み合わされた1980年代らしい一品。マイコンとは「マイクロコンピュータ」や「マイクロプロセッサ」を意味する略語で当時はマイコンが着いたらハイテクな物という雰囲気があった。トランスミッションをマイコンによって制御し、燃費を優先するスケジュールにしたり、ロックアップを作動を抑えて山岳路に向いた味付けにするなどができた。

8WAYマイコンパワーシート
金属二層式サイドモール

電動チルト&テレスコピックステアリングシステム
世界最高級のプレステージサルーンにふさわしい装備として従来手動式だった
ステアリングの角度・距離調整を電動化した世界初の機構を開発した。

ステアリングコラム
油圧式4輪ABS
リフレッシングシート



●8代目(1987)





アイシンの主な採用製品・技術
高容量FR4速オートマチックトランスミッション
石油危機を乗り越えて再び高級・高出力化のニーズに対応。従来品に比べトルク容量は1.5倍、全長は同等以下にするという一段高い目標が掲げられた。手書きの構想図を客先(トヨタ)に見せて採用を勝ち取るも、1年半という短期開発となった。手書き構造図は寸法入りの基本計画図を発行し、そこから部品図を展開。車内から人を集めてわずか二ヶ月で500点にも及ぶ新設品の試作図を出図。(注:2ヶ月=稼働60日で500点出図と言うことは毎日25もの図面にサインが入ったことになる)ミッションケースは大物ダイカスト部品の為足が長い。試作部と西尾工場の応援により、寸法の入っていない絵だけの図面を頼りに、図面出図と同時並行で試作品を完成させるという常識外れのウルトラCをやってのけた。本製品はその後34年11ヶ月で1600万台生産された。

電動式トラクションコントロール
電動式4輪ABS
自動車用ファクシミリ
4輪フルエアサスペンション



●9代目(1991)
アイシンの主な採用製品・技術
FR5速オートマチックトランスミッション
多段化が進み始め、他社で5速ATが商品化されはじめた。この5速ATは二つの変速機構を同時に変速させることで新たなギア段を得る従来にはない新しい技術により、安易にギアを増やすこと無く5速かを実現出来る。この同時変速技術は0.1秒のズレが変速ショックとなってしまう点が難しさである。この課題を克服する為に社内外から人が集められ、従来品より小型高精度高応答のリニアソレノイドを開発。更に動じ変速をきめ細かく制御するためにブレーキやクラッチにかかる油圧を電子制御化した。

フルタイム4WD
GPSアンテナ&レシーバー
電動コラム
ヘッドレスト用超音波モーター
バイブレーションシート
超音波雨滴除去ミラー
G-MAP(地図帳ナビ)
形鋼ヒンジ




●10代目(1995)
アイシンの主な採用製品・技術
FR5速オートマチックトランスミッション
ギアリング、ギアノイズの低減、クラッチ・トゥ・クラッチ制御技術が採用。ギアトレイン98件、コントロール132件もの特許を出願している。1070機もの試作品を用いて開発されたこのスーパーECTは1997年6月にラインオフされた。

ESC一体型ハイドロブースター
旋回時の横滑りを抑制するESC機能を製品化。交通事故低減に貢献する画期的な技術として2011年以降、各国での標準化に繋がった。

アルミダイカスト製直噴用FDP

●11代目(1999)
アイシンの主な採用製品・技術
FR5速マイルドイブリッドトランスミッション
各社が燃費競争で多段化に走る中で、既存のATをベースにハイブリッド化するというマイルドハイブリッド構想が浮上した。E/Gとベルトにより連結された小型モーター・ジェネレータを組み合わせたシンプルな構成。特徴は①車両停止時にエンジンを自動停止②モーターの力で車両を発進させると同時にE/Gを始動する③減速時に回生を行い廃棄されていたエネルギーを利活用、の3つである。

FR5速ATをベースとしながら電動オイルポンプを追加、アイドルストップ時に電動オイルポンプで油圧を維持してクラッチを繋いでE/G始動まで耐える。(注:新車時代にの感想としては言葉通りマイルドな存在で電動感は皆無。アイドルストップのためのシステムと言った方が正しいようなシステムだった)

DVDナビゲーションシステム
アイシン製ナビとして初めてクラウンで採用。高級車らしくディスプレイを拡大。従来のEGAからVGAディスプレイに変更。画素数が4バイトなり高画質になった。

フロントクラッシュボックス
ヒドゥンドアフレーム





●12代目(2003)
アイシンの主な採用製品・技術
FR6速オートマチックトランスミッション
本製品は、量産に向け最終調整をするランドクルーザー用5速ATとのツイン開発を行った。5速ATと6速ATの部品を共通化し部品種類削減を目論んだが、既に5速向けに最適化したギアトレインを6速化する為には、様々な課題があった。世界トップレベルのATにする為に軽量化も必要で、従来の鉄部品をアルミ製に置き換えた。開発中ギアノイズに悩まされ、安城第一工場の会議室をギアノイズ対策室として占有し評価と議論を繰り返した甲斐があり、ランドクルーザー用5速ATと共に
トヨタ技術開発賞をダブル受賞した。

E/Gフロントモジュール
組み立て工程で複数の部品を組み付けるのでは無く、サプライヤで既に組み付けた状態で車両工場へ運ぶことでコスト削減を図るフロントエンドモジュール。クラウンではチェーンカバーにウォーターポンプ、オイルポンプ等の機能部品と水・油通路を一体化することで小型化と低コスト化を両立した。

油圧回路一体型シリンダヘッドカバー
フロントクラッシュボックス
リアアルミフレーム
電子制御ブレーキシステム[アドヴィックス]
スマートハンドル
ラゲージアンテナ


●13代目(2008)
アイシンの主な採用製品・技術
FR2モーターハイブリッドトランスミッション
高級車用ハイブリッドの先駆け。2002年初めにV12を凌駕するプレミアムな走行性能と断トツの低燃費を両立したV8ハイブリッドの企画検討が始動。モーターはトヨタ設計、ユニットはトヨタとアイシンの共同開発体制をとった。コンパクトかつ圧倒的な加速性能を実現する為、シングルリダクションからダブルリダクション機構を採用。最高車速250km/hを実現する為モーターを二段変速化し高速時のモーター回転数を抑えて強度を確保。トヨタ技術開発賞と自動車技術会技術開発賞を受賞。

FR8速オートマチックトランスミッション
HDDナビ(マップオンデマンド)
ナビマチック
プリクラッシュシートバック
回生強調ブレーキシステム[アドヴィックス]
高機能ESCモジュレータ[アドヴィックス]
スマートハンドル
スイングドアロッククローザー
プリクラッシュインテリジェントヘッドレスト




●14代目(2012)
アイシンの主な採用製品・技術
FR2モーターハイブリッドトランスミッション
FR高級車市場のハイブリッド普及に貢献する為のシステム。更なる拡販のためシンプルで価格が安いハイブリッドトランスミッションを目指した。従来は3.5LのV6だったが2.5LのL4が搭載できるようにした。シングルリダクション機構を採用するなど大幅なコストダウンを実現。この頃からクラウンユーザーの半数がハイブリッドを求めており、高まる電動化ニーズに応えた。

ピストンジェット停止システム一体型サイドモジュール
半数のユーザーがハイブリッドを求める一方、残る半分はガソリン車へのニーズも根強い。V6の置き換えで直4ターボの設定があった。暖機中にE/Gオイルをピストンに噴射するピストンジェットを低温時に停止する機能を付与。このシステムをウオーターポンプや油路のあるサイドモジュールに組み込んで単純かを達成。全体のコスト低減に寄与。

FR8速オートマチックトランスミッション
ハイブリッドダンパー
ラゲージアンテナ


●15代目(2018)
アイシンの主な採用製品・技術
マルチステージFR2モーターハイブリッドトランスミッション
本品は2005年に企画開始するもほかのPJT優先で規模を縮小、2012年にプレミアム車両にふさわしいシステムはマルチステージであると結論付けて再始動。当初企画していた構造では搭載性NGのため構造図をトヨタと議論して数ミリずつ前兆を短縮して現在の構造に到達。ハイブリッドは加速感がないという欧米からの声を払拭する加速感、ダントツの低燃費を目指して動力分割用プラ寝たりギアの出力側に4速部を直列にレイアウト。アイシンの4速ATのノウハウを最大限活かしたシステムである。開発を再スタートした初期の試作ではギアが真っ黒に焼き付くなど苦労があった。

減衰力調整式アブソーバー
FR8速オートマチックトランスミッション
アウトサイドドアハンドル
構造用接着剤「フェルコ8000」
キャリパー一体式電動パーキングブレーキ


~おわりに~
・・・以上、純国産セダンを代表したクラウンとアイシンの関わりを勉強させていただきました。期間限定の特別展なので丁度いい時期に子守イベントがあって良かったです(笑)

日本のクルマ作りは車両メーカーとサプライヤーの阿吽の呼吸できめ細やかなすりあわせ型開発が特徴でした。特にアイシンの様なメーカーに技術力があるサプライヤによって魅力的な車が作られて来たことがよく分かりました。

最後にご紹介するのは恐らく社内の方が手書きでまとめられた資料です。



ここ3年くらいでリモートワークが躍進することで手書き・紙文化が衰退しました。私自身も図面を原寸大で出すようなことも、帳票にサインを入れて上司に手持ち回覧することが無くなりPC画面で共有しやすいパワポで資料を作る事が増えました。修正も簡単だし、生煮えの見切り発車でも作業が出来ます。更に字が汚い私にとって綺麗なフォントで文字が打ち込める点は大変有り難いと感じます。

この手書き資料が凄いのは、作者が恐らく頭の中で書く文言や載せる絵などの構成が決めてあり、大きい方眼紙を拡げて一気に書き上げた感じがするところです。恐らく長年開発に携わってきた紙文化で育ったベテランが作成した資料なんじゃないでしょうか。

私が仕事で関わってきた最近減りつつある昭和のおじさん達は手書きのポンチ絵で大抵の事は説明してくれました。若き日の私が質問をしに行くと机には大きめの裏紙が置いてあって説明しながらメモを描いてくれました。私が説明していないのに部品の断面を書いたり、検索しても居ないのに規格の番号が書かれていたり。私はそのメモを貰って自分のノートに貼付けて大切に読み直していました。今だとイントラネットのシステムですぐPDFが見られたり、或いは3次元CADの画面をキャプチャしたりするような世界がパッと裏紙に広がっていくのです。若かった私は凄いなぁと素直に感心していました。こういう人が書いたポンチ絵のメモを貰って自席にかえって定規を当てたら、ほぼ実寸で書かれていたことがあって驚いたこともありました。

今回の展示で示されたトヨグライドやボルグワーナーとのエピソードの中でも高度な測定機器や詳細な図面が無くても、アナログな紙と鉛筆と現地現物で乗り切ってきたアイシンの「ど根性」があり、この資料からもその片鱗を感じ取ることが出来ました。

時代の変化で新しい考え方が主流になることはあります。一方で放っておくと失われる技術・方法があり意識的にこれを忘れないように維持することも必要です。

あのディズニーですらアニメーション用にCGアニメ時代になってからセル画に絵が描ける職人が居なくなっていたらしく、「メリーポピンズリターンズ」のワンシーンの作画の為に定年退職した人を呼び戻したなんて話を目にした記憶があります。昔ながらのやり方を旧いと切捨てて安易にロストテクノロジーにしてしまうのは勿体ない気がします。

生き残る為に新しいやり方を開拓することも大事だけど旧い技術やノウハウもをしっかり残す。難しいことですがどっかの会社が言っている年輪的な成長やスパイラルアップ的な考えからも外れないと思うんですよね。

Posted at 2022/12/14 15:45:33 | コメント(2) | トラックバック(0) | イベント | 日記

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