山中徘徊時々エリーゼ・・・藪漕ぎ徘徊二日目

予想通り、夜半からの気温は約10度迄下がり寒くて何度も目が覚めた。
若い頃と違って寒さにも弱くなった。
午前３時にはとうとう堪らずに起き出して、熱いレモンティーで体を温めて寝直した。
ここは標高1600ｍ、やはり2400ｍの茶臼テン場に泊まらなくて正解だった。

目覚めると６時近い。暖かな朝日が射し込み、早くも茶臼小屋から登山者が下ってきた。


ゆっくりと朝食を摂ってツエルトをたたむと、オランダパーティも出発準備が整ったようだ。
「我々の南アルプスを楽しんでくれ、好天と無事を祈るよ。」とお別れする。
最後に残ったチーカマを「トラディショナル・ジャパニーズ・クライミングフーズだ！」と
言って渡すと、「ワォー！サンキューベリィマッチ！」と大変喜んでくれた。
お口に合うといいけどネ。


爽やかな林を快適な登山道で下る。
人間様の道って何て歩きやすいんだろう！


途中、以前から気になっていた小さな沢へ岩魚探しに入ってみたり、


昔ながらの無人小屋であるウソッコ沢小屋の登山者日誌１年分を３０分も掛けて
読み耽ったり、


柄にも無く、少なくなった花（フシグロセンノウ）を探したり、


のんびりのんびり歩いて畑薙大吊橋。


茶臼小屋を利用した他の登山者は、皆、大吊橋バス停でバスを待つ。
小屋を利用しなかったので登山バスに乗ることの出来ない僕は、
「水色も悪くない、やっぱり竿を持ってきて本流アマゴを狙うのも悪くなかったなぁ。」
なんて思いつつ川を見下ろしながら独りだけ林道を歩き始める。


今朝は、本当に良い天気だ。
仰げば茶臼岳山頂部が、くっきりと見える。
今頃、オランダ人達は山頂で歓声を上げているだろうか？


畑薙湖越しに登った仁田岳東南尾根が見えてきた。
立ち上がった尾根の左端が1485ｍ、中央のギャップが1876ｍと2010ｍの間の難所
のコルだろう。
これまで何度も見た景色だが、やはり登ってみると今までとは全く違って見える。


畑薙ダムまでの中間点辺りで、観光協会の無料バスが通りかかって
「おい、乗るかい？」ときた。
いつもならラッキー！というところだが、今日は東南尾根を見ながら歩くのが楽しい。
顔に見覚えのある運転手に「ごめんね、今日はダムまで歩きたいんだ。」と謝る。

そして沼平ゲート、ここで下山届を提出。
２週前に比べて随分とススキの穂が伸びた。


ゲートを過ぎると少しだけ雲のかかり始めた仁田岳山頂部が見えてきた。
あの平たい山頂の左端を苦労して這松漕ぎで登ったのが嘘のようだ。


大根沢山北東尾根越しには、「信濃俣」！


ゲートから約２０分、最後のカーブを曲がると畑薙第一ダム。


この時期、バス利用登山客用の臨時駐車場には１００台もの車が停まっているのに、
僕の相棒はダム駐車場で昨日同様「１台ぼっち」で待っていた。
「ただいま、楽しかったぜ！」・・・「お帰り！そりゃ良かったなぁ～。」


ダム堰堤からもう一度だけ振り返る。
手前に大吊橋から1485ｍへ立ち上がり1876ｍへ続く南東尾根下部。
奥に見える平坦な山頂の仁田岳と一段高い茶臼岳、見慣れた稜線がやっぱり今日は
新鮮に見えた。


今回も東南尾根、鳥小屋尾根では誰一人登山者に出会わなかった。
あ～、夏山シーズンはやっぱり藪漕ぎバリエーションルートが最高だ。　ｖ（＾＾

さぁ、徘徊満喫！　山神様の元へ帰ろう。