その6からの続きで、今度はバブル期までに登場した展示車のお話をさせて
いただきます。
①アウディ・クワトロ
これまでは4WDと言えば悪路走破を目的としたパートタイム式で、かつ オフロード車での採用が一般的でしたが・・・
ご覧の通りオフロード車ではなくスポーティーなタイプのクルマですし、
幅広い路面状況でハイパワーを確実に路面に伝えて速く走らせるために
4WD、しかもパートタイム4WDではなくセンターデフ付きのフルタイム
4WDを採用した事が画期的でしたし・・・
'81年にWRCへ参戦した際、他チームが後輪駆動のマシンばかりでしかも
「4WDのラリーマシンは構造が複雑で重量が嵩むから勝負にならないんじゃ
ない?」と言った否定的な意見が多かった中でシーズンに入ると3勝を挙げ、
翌'82年は6勝を挙げてメイクスタイトルを獲得し、そして'83年は所属していた
ミッコラ選手がドライバーズタイトルを獲得。
そして進化版のスポーツクワトロと併用して参戦した’84年はメイクス及び
ドライバーの両タイトルを獲得し、ライバルメーカーは4WDでないとWRCでは
勝てないことを思い知らされ・・・
プジョー205ターボ16、ランチアデルタS4、フォードRS200、MGメトロ6R4など
続々と4WDマシンを登場させ、さらに戦いが激化することに。
上述の通りWRCに於いて有用性がハッキリ証明されたことと相まって、
各メーカーでも市販の高性能スポーツカーに4WDを採用するケースが
増えるなど、自動車業界全体に多大なる影響を与えた偉大なモデルです。
②メルセデス・ベンツ Sクラス(W126)
メルセデス・ベンツのフラッグシップモデルであるSクラスですが、
こちらのモデルは2代目になります。
先代のSクラスが古めかしい感じだったのに対し・・・
こちらのモデルは空力を意識したこともあってか非常にスッキリした
外観を有し、内装が豪華なことは言うまでもなく、当時としては珍しく
ABSやエアバッグ及びトラコンなど安全装備が充実していたことなど、
価格は高くともそれ以上に品質や安全性そして信頼性の高さが大いに
評価され・・・
歴代のSクラスで最も販売台数が多いモデルになりました。
確かにバブルの時期にこのSクラスをやたらと見かけたっけなぁ…
③メルセデス・ベンツ 190E(W201)
当時のメルセデスでは最もコンパクトなモデルで、日本の5ナンバー
サイズにも収まっちゃいます。
しかしながら上位クラスに見劣りしないレベルの安全性を備え、かつ
「最善か無か」なクルマ作りをしていた時代の産物なだけに品質面も
申し分がなかったので、我が国ではバブル期当時は「小ベンツ」だの
「赤坂のサニー」だのと呼ばれておりましたが・・・
本来ならそんな風にバカに出来るようなクルマ
じゃないんですけどねぇ・・・(;ω;)
※ちなみに当時の競合車種であるBMWの3シリーズ(E30)は「六本木のカローラ」と呼ばれておりました。
④トヨタ ハイラックス・サーフ
4代目のハイラックスをベースにFRPトップを架装し、ちょっと乗用車っぽい 雰囲気に仕立てて出来上がったのがこちらのハイラックスサーフです。
この当時はスキーブームが起こり、アウトドアレジャーの人気が高まって
いたため、(ちょうどこのクルマがカテゴライズされているであろうクロカン
4WDなど)そんな用途にぴったりそうなクルマの需要も高まり、後に「RV
ブーム」が巻き起こりましたが、そのはしりとなった一台ですね。
⑤トヨタ セルシオ(初代)
トヨタがアメリカで新たに立ち上げたレクサスブランドの旗艦車種として
開発されたLS400の日本版です。
アメリカの高級車市場は自国のキャデラックやリンカーン、メルセデス・
ベンツやBMWなどのドイツ勢の独壇場で、日本勢のつけ入る隙はないと
考えられていましたが・・・
他を圧倒する快適性と品質を追求すれば勝負になると考えて開発を進め、
販売に踏み切ったところアメリカで人気を博し、レクサスブランドの礎を築く きっかけとなりました。
当初はクラウンとの兼ね合いもあって日本への導入に二の足を踏んでおり
ましたが、折しもバブル景気の真っ最中でライバルの日産でセドリックや
グロリアの上位車種にあたるシーマがバカ売れするなど、国内でも高級車
市場が活況を見せていたことや、クラウンに満足できなくなった顧客層の
要望があったことで導入に踏み切り・・・
クラウンとセンチュリーの中間を担う新しい車種としてセルシオの名前で
売り出したところ、’94年にフルモデルチェンジするまでに11万台以上を
売るヒット作となりました^^
⑥日産 スカイライン GT-R(R32)
8代目のスカイラインをベースに仕立て上げられましたが、スカイラインGT-Rと しては3代目に当たります(ちなみに2代目はケンメリがベース)。
2代目のGT-Rが排ガス規制のあおりを受けて販売から僅か3ヶ月、生産台数が
200台にも満たず、レースに参戦しないままに生産~販売が終わって以降・・・
ケンメリの次代に当たるジャパンではレース活動どころかマイナーチェンジ後に
辛うじてターボモデルが追加された程度でしたし、その次のR30でケンメリGT-R
以来久々にDOHCエンジン(4気筒のFJ20ですが)を搭載したRSが登場し、初代の
ハコスカ以来久々にレース活動を行うも、4気筒が故にGT-Rを名乗らず・・・
その次のR31では6気筒のDOHCターボが搭載されるモデルがラインナップされ、
追って登場した2ドアクーペのGTSでグループAレースに参戦を果たすこととなり、
そのホモロゲーションモデルとしてGTS-Rを登場させて「GT-R」ではないものの、
久しぶりにRの称号をいただくことに。
そしてR32では当初よりグループAのレギュレーションを考慮してか2.6リッターの
DOHCツインターボ(RB26DETT)を搭載し、トルクスプリット4WDや4WSなど当時の
最新技術を盛り込んで16年ぶりに「GT-R」復活と相成りました。
そしてグループAレースに参戦すると・・・
日産の目論見が当たって無敵を誇り、50連勝
したとされるハコスカには及ばないものの、それ
でも29連勝したんですから立派なものです!
このモデルは自分が詰め襟を着ていた頃に出たんですが、同級生の間でもよく
話題になっていたことを思い出しますし、うんと後になって他人様の所有ながらも
ステアリングを握らせてもらえたのは嬉しかったなぁ♪(*´艸`*)
⑦トヨタ エスティマ(初代)
トヨタのハイエースや日産のキャラバンなどキャブオーバー型でカクカクして いた1BOXが幅を利かせていた当時・・・
卵を想起させるような未来的なフォルムを身に纏って登場したのがこちらの
モデルとなります。
特徴的なのは外観のみにあらずエンジンの搭載方法も然りで・・・
一般的な1BOXだと運転席の下にエンジンが搭載されていますが、こちらの
モデルでは前後の車軸の間の床下に搭載したばかりか、なるべく室内空間に
影響を及ぼさないようにエンジンを75度傾けたと言った感じで・・・
やはりこれまでの1BOXとはひと味違います♪
しかしながら販売面に関して言えばお世辞にも好調だったとは言えず、理由と
しては二つあり・・・
まずはアメリカで売る事も視野に入れていたためか、全長と全幅が3ナンバー
サイズだったことで敬遠されたこと。
それを受け、後に5ナンバーサイズのルシーダ/エミーナを登場させたところ、
当時販売が好調だった日産のバネット・セレナを駆逐出来ただけ救いがあり
ましたね。
次にエンジンについてですが、2.4リッターの直4NAでパワーやトルクが競合
他車に比して低目で、騒音と振動が大きい弱点があったものの・・・
ミッドシップレイアウトが仇となり、競合他車のように簡単にV6エンジンを搭載
する事が出来ず、後にスーパーチャージャーを搭載しましたが、今度は燃費の
悪さに苛まれる事となり・・・
最後までエンジンが泣きどころとなりました(;ω;)
とは言え・・・
ミッドシップないしはリアエンジンでファミリーカーを作ればパッケージングのみ
ならずハンドリングも良くなるんじゃないか?とトヨタ以外のメーカーでも構想が
あったようですが、いずれも実現までに至らなかった中・・・
こうして商品化したことに頭を下げざるを
得ませんねm(_ _)m
⑧ユーノス・ロードスター
今さらこちらがあれやこれやと説明するまでもない名車♪
かつてはオースチンやトライアンフ、ロータスやMGなど、ライトウェイト スポーツカーが数多く出ておりましたが・・・
'80年代に入ると、そのカテゴリー自体がなくなってしまいそうな状態に
陥っていた中で開発を行い、発売に踏み切ったところ、国内のみならず
海外でも大いに売れ・・・
MGFやBMWのZ3、メルセデスのSLKやポルシェのボクスター、トヨタの
MR-SやホンダのS2000、フィアットのバルケッタなど・・・
数々のフォロワーを生み出すに至り、瀕死の状態だったライトウェイト
スポーツカー市場が息を吹き返すことに♪
何故そこまでウケたか?ですが・・・
愛らしいスタイルもさることながら、サーキットや
峠に行かなくとも、お買い物にいく程度の短距離
ドライブでも運転を楽しめちゃうクルマだったから
だろうなと思えてなりません♪(*´艸`*)
これがもしも280PS級のパワーを有し、ガチガチの足回りならば・・・
とてもじゃないけれど街中で気軽に運転を楽しむ
気にならないだろうし、長いことラインナップされて
いなかっただろうし、世界中で愛されていたか?も
怪しいところでしょうね。
ちなみに自分も20年ほど前に初代テンロクのVスペシャルに5年半近く
乗っておりましたが・・・
一人で峠道を走りに行ったり、はたまた仲間とオフ会を楽しんだり、また
時としては女の子とデートで屋根を開けてドライブしたりで・・・
楽しい思い出ばかりでしたよ♪(*´∀`*)
いい加減長くなりましたが、次回は'90年代以降の展示車をご紹介して
メインの展示ブースを終えたいと思います。