新潟県は胎内市、飯豊山地に抱かれるようにそのホテルはある。
奥胎内ダムに続く道とホテルを除けば、ただそこには自然だけがあって、ほかには何もない。そのホテルの名を、奥胎内ヒュッテと言う。
民家や商店などはしばらく走って麓まで下りなければ無いし、もちろん街灯すらない。当然ながら電波も届かないから、ホテルのロビーでwifiを拾わなければネットも電話も通じない。途中の道路は猿に占領されていることも。。。そんな一見不便と思えるようなところだけれども、なぜか時々行きたくなってしまう。奥胎内ヒュッテはそんな不思議な魅力のあるところだと思う。
首都圏の私の家からだと関越道と下道で6~7時間ほど。新潟県胎内市の一番奥だから奥胎内。ちょっと遠いけど、このあたりの道路事情は北陸というよりはむしろ東北のそれに近いから、交通量はかなり少なく自分のペースで気持ちよく走れる。遠いことは遠いのだけれど、運転が好きな人ならそれが苦にならない。
ホテルの内装は比較的シンプルで華美な感じではないが、よく手入れされていていつも清潔に保たれている。食事も美味しいのでコストパフォーマンスは高い。
奥胎内ヒュッテ正面玄関。
1年前に宿泊した時の朝食。
そして今回はそのヒュッテの主催する探鳥会に参加してきた。この探鳥会は毎年6月の土日に開催されているようで、アカショウビンやコノハズクをメインに色々な鳥を探そうというもの。
奥胎内の自然は濃い。
鳥類をはじめ生物相が豊かなのはもちろんのこと、自然以外は何もないことも相俟って、全身で自然を感じられる。ふと耳をすませば、「きゅるるる
るるるる」というアカショウビンの声や弱弱しいハルゼミの鳴き声が聞こえ、河原に降りれば水面を流れるひんやりした空気が、湿度を増してきた六月の肌に心地よい。
胎内川の水面に広がる冷気。
別に探鳥会に参加しなくとも、ホテル横の林の中や散策路の途中にイスでも置いて読書や昼寝をしても良いし、日帰り入浴もできるようなので適当に散策した後にのんびり湯船につかっても良い。レストランもあるので昼食も問題ない。自然が濃いので虫も多いが、苦手な方は少なくなる秋に行くと良いと思う。
とにかくここは大自然に囲まれて何もしない、ということが出来る。何もしなくても勝手に大自然が疲れた心身を癒してくれる。もし能動的に自然に触れようとすれば、野鳥だけでなく多種多様な動植物が出迎えてくれる。
セグロアシナガバチの初期コロニー。
見事なモリアオガエルの卵塊。水面から離れたところに産卵する珍しいタイプのカエル。孵化した幼生はそのまま下の池に落っこちて成長する。
クロマドボタルの幼虫。ツチボタルとも呼ばれ、一般的に知られる蛍とは違い幼虫は陸で生活する(実はむしろ水棲の方が珍しい)。もちろん光る。
これまた見事なウスヒラタケ(と思われる)。美味しそう。
さて探鳥会はというと、姿は見えなかったもののアカショウビンはもちろん、コノハズクの鳴き声もバッチリ聞くことが出来、運よくオオルリのつがいを撮影することもできた。実は私は野鳥には全然詳しくなく、今回は友人の希望で探鳥会に参加したのだけど、意外にバードウォッチングも楽しいかも。
これはキツツキ系?
観光地を周るのも楽しいですが、たまにはこういうホテルもいかがでしょう。
ただそこには自然だけがあって、というのも意外と贅沢なものだと思います。
2020年の秋に利用した際の紹介は
こちらからどうぞ
追記
まるで奥胎内ヒュッテの回し者とかステルスマーケティングとか、そういった類の内容になりますが、別にそういう訳ではありません。ただ、奥胎内ヒュッテを運営する株式会社胎内リゾートは、胎内市も出資する赤字の第三セクターのようです。
地方の素晴らしいものが正当に評価されて富む世の中を、というのは私のモットーの一つです。奥胎内の良さがいろんな方に伝わって評価されることを願い、このブログを書きました。
Posted at 2020/07/05 23:49:00 | |
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