塵類流缶計画と称した、DPF DIY洗浄に明け暮れた1年でした。
前回までの洗浄でDPF内部の主な堆積物(アッシュ・オイル由来の硬質カーボン・油分)の除去に半成功。
と同時に洗浄剤の組成違いによる同時洗浄の不可(芳香族系であるユニゾールHは水分と不和)に対応すべく、新たな油分除去用洗浄剤を探していました。
また、ハイカーボンの洗浄力強化にも対応すべく洗浄方法の模索も行っていました。
洗浄方法は長時間の適正温度管理と液流の常時確保を強化。
画面左から。
差圧パイプ上からの還流洗浄液は還流液内の大きな堆積物を水道管で作成したフィルタでろ過。
その後循環ポンプにて加圧し、灯油用銅管を巻いた熱交換器を通って加温された後、差圧パイプ下からDPF内を洗浄・加温し差圧パイプの上に戻る構造としました。
温度管理は、
熱交換コイルに投げ込みヒーターを通して、ボックスに張ったお湯の温度で洗浄液を加温しました。
ユニゾールHに代わる水性での油分分解に長けた洗浄剤をネットを徘徊し試してみました。
それがこれ。
KMクリーン500(KMC500)
水性ならば乳化での除去になるだろうと予測し検索した結果がこの洗剤でした。
ユニゾールSPでの洗浄も考えましたが15kgはさすがに余すだろうと判断。
さて、ここまで考えてふと気が付いたことがありました。
DPF内部の水位が差圧パイプ上のDPF開口部よりも少しだけ上部にあるならば、洗浄液量管理・すすぎ液管理を厳重に行えば分解工程の大幅な削減が可能ではないかと。
(そもそもの考えが甘く、洗浄液の泡と洗浄成分のキレの悪さに気づいていなかった)
セルフDPF洗浄をするうえでの最大のネックは車両分解工程が多すぎること。
これを大幅に削減すべく更なる手順・手法の改良に奔走しました。
従来のDPF洗浄時に使用する機材ですが製作はそれほど難しくないものの、使用するたびに液ガスにてパッキンする必要がありました。
これを簡略化すべくとった手法がこちら。
あまりに斬新w
軟式テニスボールでの開口部封鎖。
これならばCX3などのDPF洗浄開口部の大きさがCX5と異なったとしても対応できるのではと考えた。
が、これ、惜しくも失敗。
ボールがわずかに大きく、また表皮が少しだけ厚く柔軟性が不足。
DPF開口部から挿入した時に表皮にシワが寄ってそこから液漏れしてしまった。
このポンプが貧弱なのも敗因。
圧縮空気の少量連続注入が可能であったなら成功したかもしれない。
さて、肝心の失敗の原因は洗浄時の泡。
その前にここから泡が出たのでセルフDPF洗浄の開発失敗に気づいたってのもあります。
DPF内部の水位を自在にコントロールするには密閉では不可。
DPFユニット最上部のセンサーを撤去してここを空気穴として使用した。
差圧パイプ下から洗浄剤を注入し、差圧パイプ上のパイプを口にくわえ、少しだけ吸引した時に洗浄液がホースを上がってきた時点で液面が適正であることを確認。
後は還流装置につないで循環洗浄をおこなった。
(ここまでは至極順調であった)
が、すすぎの時点でそれは起こる。
KMC500、これのすすぎの際、当然細かい堆積物はフィルターの目をすり抜けDPFのフィルターの外側に堆積する。
これを除去すべく差圧パイプ上から2L定量のすすぎ水を投入した際にゆっくりと
投入した際に泡が発生。
DPF最上部、空気抜きの穴から泡が出た。
セラミック製の酸化触媒は多孔質であるし、それが故に吸湿する。
つまり酸化触媒に洗浄成分が吸収したことを意味する。
こうなると多量のすすぎと浸漬での洗浄液除去が必要になる。
酸化触媒とDPF上部、タービン接続部下端までの高さはわずかに5-6cm。
一つ間違えばエンジン内が浸水する。
危なくてとてもじゃないが勧められない。
KMC500じゃなくとも、たとえばハイカーボンでも同じだろう。
この時点で諦めた。
楽しみにしていたお二人には申し訳ないことをしてしまった。
申しわけありません。
開発の失敗は即、かぴばらさんのDPFにわずかに残っている堆積物が除去されてしまうことを意味する。
それでなくともかぴばらさんの再生間隔は200kmをずっと維持している。
実験サンプル車両を完全に失ってしまった瞬間だった。
ここでふと気が付いた。
第1回目のアッシュ除去、あの時はアッシュが大量に出て240kmまで回復した。
硬質カーボンと油分が出ていないにもかかわらず。
今現在全ての堆積物がない状態で200km。
こぉさんはDPFを新品にして170km。
かぴばらさんのACCはGENと一緒に1.5くらいまで上がって、途中で遅れて3.5くらいで追いついてACCがトリガーを引くか、引く前に最大差圧で再生発動。
当然のことだが新品時はDPF容積はたっぷりあるはず。
それがACCや最大差圧で再生発動になるほうがおかしい。
かぴばらさんのインジェクターも劣化しているのだろう。
当然だろう。
DPF洗浄が成功したとはいえ、これ以上の実験ができないのであるならば当然次のステージに上がるしかない。
いや、それも楽しみであるのだが。
ここまでの実験で軽く新品のDPFが買えるくらいの投資を行った。
この洗浄の情報はみんカラ民の皆さんとともに考えたもので、私一人で考えたものではない。
が、洗浄方法についてのアイデアは私個人が考えたものであると言ってもいいかもしれない。
これを宣言しておいて次の落胆がある。
考え行った洗浄方法はオリジナルであるが、加温循環方式の洗浄方法はすでに特許取得がなされている。
DPF脱着が必要ではない点は良いのだがこれは洗浄のための付加アイデアであって特許申請するつもりはない。
そもそもはみんなが行える洗浄方法を模索していた。
が、車両分解の多さ、温水設備・廃液処理設備、圧縮空気供給設備と車両下の分解設備などを考えた時、それは難しい。
ショップでの営利利用には特許使用許可が必要であること。
個人が自己の洗浄に用いるには問題は無いと思うが。。。
この方法が容易に広まらないであろう現実を知った今、残念でならない。