前回書いたようにテスラのITシステムはとても高度な技術が凝縮され、どこも追い付けない。なぜ新興のテスラがライバルを完全に置いてきぼりにするほどの高度なITシステムを構築できたのか?
理由は単純明快でシリコンバレーでトップレベルのITエンジニアを雇用できたから。ではなぜ他の自動車メーカーにはできないのか? できない理由は下記のようだ。
① 給料の高さ
シリコンバレーのトップエンジニアを雇うには相応の待遇が必要。自動車メーカーで言えば役員相当以上の待遇を用意することになるが、コスト重視の従来型の自動車メーカーではそのような特別待遇でエンジニアを雇用することは不可能。
②会社の魅力
トップレベルのITエンジニアにとって自動車メーカーは魅力的でない。ソフトウェアで世界を変えようと企んでいるエンジニアから見ると自動車メーカーは化石の様に進化がない古臭い会社に見え魅力を感じない。
なぜテスラが雇用できたかは不思議だが、シリコンバレーのエンジニアはテスラが大好きなのである。自動車メーカーというよりは、アメリカンドリームを実現したベンチャー企業と認識されているようだ。イーロンマスクがIT畑出身なので会社に同じ匂いがするのかもしれない。
③地の利
テスラの本社はシリコンバレーにある。新しいIT技術はいつもシリコンバレーから起こるため、その地でどんな議論がされ、今後の進化の方向を見極めるには現地で雰囲気をつかみ議論に参加していることが大切である。最近国内自動車メーカーもシリコンバレーに拠点を構えるようになったが、形だけの参加でまだ現地に馴染んでいないのが実情。自らの手の内を明かさず、投資もしない自動車メーカーのやり方では輪の中に入れないと思う。
シリコンバレーがITテクノロジーの聖地である限り、テスラのIT機器はいつまでも他の自動車メーカーを寄せ付けないであろう。
テスラに似たITシステムを作ろうとチャレンジしたら恐らくバグだらけでクルマの開発そのものがフリーズしてしまうだろう。間違えても追いかけようなんて無謀なチャレンジをしてはいけない。
Posted at 2018/10/30 10:12:49 | |
トラックバック(0) | 日記