東京への帰省3日目。8月11日の山の日は、東京都庭園美術館に行ってきました。
妻と前日から合流した娘と連れ立って最寄りの山手線目黒駅に到着です。

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JR目黒駅から目黒通りを西方向、白金台方向に進みます。
こちらが入口です。観覧料は、一般1,000円、大学生800円、高校生以下500円にとなっています。
入口から長いアプローチが続きます。
東京都庭園美術館の本館である旧朝香宮邸です。昭和初期に宮内省内匠寮の設計により建築された旧皇族の邸宅は、戦後に外務大臣公邸、首相公邸、迎賓館、美術館と役割を変え、2021年から都が管理する庭園美術館として一般公開されています。
正面玄関で迎えてくれるのは、フランスのアール・デコ様式における著名なデザイナーであるルネ・ラリックがデザインしたガラスレリーフ扉です。往時、来客は、こちらの扉から邸内に導かれていたそうです。
4人の女性像は、写真では平面的に見えますが、実際に見ると立体的なレリーフです。
レリーフの下部には、ラリックのネームが記されていました。
正面玄関で折り上げられた天井を見上げると洒落た照明が取り付けてあります。この後、建物内の各部屋を巡りましたが、どの部屋の照明も意匠を凝らしたものであり、同じものが一つもありませんでした。
玄関から受付外套室を経て大広間へ。壁面の材はウォールナット。天井には格子縁のなかに40個の半円球の照明が整然と配置されています。
大広間の大理石レリーフ「戯れる子供たち」は、フランスの彫刻家イヴァン=レオン・ブランショの作品です。
暖炉の前には、凝った意匠の椅子が展示されていました。座面の柄が立体的で驚くほど精緻でした。
大広間の窓からは、池を配した中庭を望めます。旧朝香宮邸は、中庭を囲んだロの型になっています。
大広間の南隣の次室には、庭園美術館のロゴマークにもなっている「香水塔」が中央に配されています。フランスの室内装飾家、デザイナーであるアンリ・ラパンがデザインしたもので、宮邸として使用されていたころは、上部の照明部に香水を施し、その熱で香りを漂わせたとのことです。
こちらの香水塔は、これまで大きく破損していた時期があり、2度の修復で元の姿を取り戻しているそうですが、近くで見ていても、修復の後が分からないほど、精巧な修復が施されていました。
次室からテラス越しに庭園を望みます。
次室の東隣の第一応接室。正面玄関にも通じています。
続いて、大広間、次室、テラスに囲まれた大客室へ。ルネ・ラリック制作のシャンデリア「ブカレスト」を囲む天井には、漆喰仕上げの円や石膏によるジグザグ模様が施されています。
大客室と次室との間のスライドドアのエッチングガラスは、画家であるマックス・アングランのデザイン。
扉上部にあるタンパン装飾(半円形の飾り部分)は、鉄工芸家レイモン・シュブのデザイン。
暖炉の上に飾られたガラス製の壺は、アンリ・ラパンのデザインです。
続いて大客室の西隣の大食堂へ。来客時の会食用の部屋です。照明は、ルネ・ラリックがデザインした照明器具「パイナップルとザクロ」。南側に円形に張り出した窓が印象的です。
植物文様の壁面は、ヴァン=レオン・ブランショのデザインです。
続いて、大広間から第一階段を経て2階へ。
階段のステップ、腰壁、手摺に3種類の大理石を使用したり、壁にブロンズ製の金物が嵌め込まれるされるなど、細部にわたって濃密なデザインが凝らされています。
宮邸時代には、家族のくつろぎの場となっていた2階の広間。照明のデザインが目を引きます。
ラジエータグリルのデザインは青海波模様。
若宮居間の照明。側面にステンドグラスを使用した鮮やかなものでした。
同じく若宮居間の暖炉。暖炉の魚柄の前面カバーは宮内省内匠寮がデザイン。暖炉の上には、ここにもアンリ・ラパンのガラス製の壺がありました。
殿下の書庫は、天井までの高さがある書棚が向かい合って設置。大量の書籍が並べられそうです。
書庫の南隣の書斎。角部屋の明るい部屋にとても大きな机が置かれていました。
首相公邸の時代は、吉田茂の執務室として使用されていた部屋です。
こちらは殿下寝室。こちらにも特徴的な照明が設置されていました。
殿下寝室の西隣の第一浴室。2階には、合計3つの浴室が設けられています。
第一浴室を挟んで反対側は妃殿下寝室。
排気口のカバーやラジエーターグリルなどは、妃殿下自らがデザインしたものだそうです。
殿下寝室、第一浴室、妃殿下浴室の南側はベランダになっています。床面は市松模様の大理石です。
こちらは妃殿下居間。暖炉の上に大きな鏡が設けられていました。
こちらは姫宮寝室。
その奥は姫宮居間。暖炉の中には、ドールハウスのものと思われるミニチュア家具が飾られていました。
こちらは、北の間と呼ばれていた北側のベランダ。宮邸時代は、夏期の家族団らんの場として使用されていたそうです。床には陶器の釉薬を施した布目状のタイルがモザイク状に貼られています。
第二階段を経て特別公開中の3階へ。踊り場の照明は金平糖型の美しい照明でした。
3階にはウインターガーデンと呼ばれたガラス張りの温室があります。日差しが入る明るい部屋の床面には黒色と白色の人造大理石が貼られています。
第二階段を経て再び1階へ。洒落た丸窓が印象的です。
第二階段のそばの小食堂。宮邸時代には、日常の家族の食事に使われていた部屋だそうです。この建物の中で唯一、和の雰囲気を感じる部屋でした。
小食堂の窓からは、庭の立派な赤松が見えていました。
本館の観覧を終えた後は、新館の企画展示を見て、雨の中ですが庭園を散策しました。
芝庭から本館(旧朝香宮邸)を望みます。建物の南側に大きな窓が並んでいます。
日本庭園には、大きな池や茶室もありました。2時間あまりの観覧が終了です。
東京都庭園美術館を後にして遅い昼食です。お腹が空いていたので、早速、上大崎交差点にあるKITCHEN BAR 「新目黒茶屋」に入ってみました。
店内はとってもエスニックで多国籍な雰囲気。
私はスパイスチキンカレー、妻はレンズ豆とウラドダールのカレー、娘は茶屋のスパイスタコライスを注文。スパイスが程よくきいて、彩りもよく、たいへん満足のいく食事になりました。
昼食後は山手線に乗って新宿へ。新宿マルイ アネックスのレンタルはかまのお店に行ってきました。
娘のはかま選びは、かなり時間を要しましたが、来春の卒業式の衣装が決定。懐に厳しい出費でしたが、とりあえず準備が整いました。あとは残りの半年、しっかり勉強して、確実に卒業してほしいです。