東京への帰省5日目、8月13日の水曜日は、午後からの滋賀に向けて出発を控えて、午前中に「自由学園 明日館」の見学に行ってきました。明日館は、今から100年ほど前、帝国ホテル設計のため来日していた巨匠フランク・ロイド・ライトとその弟子遠藤新が設計した自由学園の校舎です。
幾何学的に配された窓の桟や窓枠のグリーンの配色にライトらしさを感じます。
東教室棟の渡り廊下を経て中央棟へ。
床や柱などに大谷石が多用されているところもにもライトらしさを感じます。左側は可愛らしい靴箱です。
意匠が凝らされた大きな照明が目を引きます。
中央棟の東側の廊下です。こちらの床も大谷石。床から天井まである大きな窓から光が差し込みます。
こちらは大教室「としま」。としまは、豊島区のとしまでしょうか。当初は自然光で授業をしていたため、照明器具はなかったそうです。南側の前庭から柔らかで温かい光が降り注ぎます。
教室に並べられた座面が低い生徒用の椅子は、六角形の背に水平のスリットが特徴的です。椅子のデザインはライトもしくは遠藤であると考えられています。
ホール脇の出入口。こちらの扉の桟も幾何学的かつシンメトリーに配されています。
廊下の天井の天窓や照明器具も非常にデザインが凝られています。
中央棟の中央に設けられたホールです。天井が低い部分から高い部分への変化が、空間の広がりを演出します。
前庭を臨むホールの大きな窓。もっとも明日館らしさ、ライトらしさを感じる空間です。シンメトリーに配された幾何学模様のデザインに目が惹きつけられます。ホールは、現在、式場としても活用されています。
大きな窓の中央に小さな紫陽花の花が活けてありました。
大谷石の柱に意匠が凝らされた照明。限られた予算で立てられていると思うのですが、どこか豪華さも感じます。
ホールの壁画は、学園創設10周年の際に在校生や卒業生が描いたもの。長らく厚く塗られた壁の下にありましたが、1999年解体修復時に確認され、修復されたそうです。
続いてホールの上部のテラス部分に上がります。
ホールの奥から半階上がり、さらに半階上がってテラスへ。スキップフロアの構造になっています。
テラスからの眺め。こちらのテラスでは、テレビの取材撮影をされていた「新美の巨人たち」(テレビ東京系、毎週土曜夜10時放送)のスタッフの方から声を掛けられ、「毎週見ていますよ。」と伝えるとたいへん喜んでいただきました。9月13日の放送でライトの弟子(遠藤ではない)の邸宅建築を番組で取り上げる際、師匠であるライトの建築物として明日館を紹介するそうです。
ホールを見下ろすと、可愛らしい椅子や机がたくさん並んでいました。
テラスの柱や照明。どこまでもデザインが貫かれています。
明日館の建物内には、ライトがデザインした照明器具が飾られていました。こちらは「タリアセン2」。
こちらは「タリアセン1」。高価ではありますが、照明器具として普通に流通しているようです。
続いて半階おりて食堂へ。こちらも天井の高い、とっても広い空間です。
喫茶付見学では、こちらの食堂でコーヒー・紅茶と焼菓子をいただけます。
生徒の増加に伴い増築された食堂奥の部分。こちらの照明や窓のデザインも意匠が凝らされています。
食堂に並べられた椅子は、教室やホールのものとは違ったデザインでした。
1階へおりて西側の廊下へ。こちらも非常に明るい空間です。
こちらは大教室「タリアセン」。タリアセンとは、ライトの自邸やデザインした照明器具の名称であり、元をただせば、伝承上の詩人の名前です。
こちらには、座面が赤色の椅子が並んでいました。
続いて中央棟を出て工芸研究所棟(右奥の建物です)へ。1階には直営店舗「JMショップ」があり、ライトのデザイングッズなど、様々な製品を取り扱っています。
いい値段(137,000円)ではありますが、あのデザインの椅子の新品が販売されていました。そのほか、ミニチュアの椅子や照明などもあって眺めていて楽しい空間でした。
続いて、中央棟から前庭を挟んで南側の講堂へ。生徒数の増加により中央棟のホールでは手狭になったため、遠藤の設計により、昭和2年に建築されました。
入口の柱は大谷石、扉は幾何学模様。師弟間でしっかりデザインが踏襲されています。
室内にも大谷石がふんだんに使われています。
講堂は、2度にわたる大規模な修繕工事を経て、竣工当時の姿へ復原されています。
講堂のステージから。とっても広い空間です。
入口側の階段から2階へと上がります。こちらもシンメトリーです。
2階から1階を見下ろします。
2階には長い庇のあるテラスが北側と南側にシンメトリーに設けられています。
2階の北側の窓からは、中央棟の建物が見えていました。
限られた時間ではありますが、拘り抜いた建築物を堪能できました。
午後から滋賀県に向けて出発。今回も東名高速経由でゆっくりと。
由比付近でも、あいにくの天気で富士山は望めませんでした。
しかし、伊勢湾岸道を走るころには天気が一時回復。夕日に向けて走りました。
せわしくも、なかなか充実した東京への帰省となりました。
Posted at 2025/08/31 21:31:54 | |
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