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イイね!
2012年06月25日

似て非なるもの・・・

似て非なるもの・・・ 整備を進める為にパーツをバラしていくと、なんだか見覚えのあるラインが見えてきます。
そう、クンタッチのプロトタイプLP500のサイドラインです。(ネジをひとつ締めるために、こんだけパーツを取り外さなくてはならないとは・・・)





LP500から受け継がれたこのカタチは、400、400S、500S、そしてQVまで4世代にわたり普遍でした。
いわばカウンタックのDNAと言っても良いかもしれません。
パガーニが手を加えたアニバーサリーでそのスタイルを大きく変えましたが、市販車の基本スタイルもガンディーニが描いたオリジナルの姿に近いものだったはずです。

が、違うのです。

残念ながらLP500と市販車のサイドラインは同一ではありません!

決して巨大なエアダクトが付いているとかいないとかの問題ではなく、それは「おはぎ」と「アンコロもち」のように、あるいは「ラーメン」と「中華そば」のごとく似てはいますが異なっているのです。

その差は決定的であり、悲しいけれどこれが現実と受け止めなくてはなりません。


そして悔しいのがプロトタイプと市販モデルとの決定的な違いであるエアダクトの件で、ほとんどのオーナーはこのエアダクトが無ければと考えていますが、Kメカによればちょっと工夫すれば当時の技術でも付ける必要はなかっただろうとの見解です。



検証すると、まずはラジエターが分厚過ぎてかえって冷えないという点です。
当時のエンジニアたちは、冷却の問題を解決する為に5ℓEgをノーマルの4ℓEgに変更したと言われていますが、更に熱対策として空気の導入口であるエアダクトを取り付けました。
このダクトは後に空力上の様々な問題を引き起こすのですが、それは後回しにするとして、オリジナルのデザインを生かしてラジエターを設置する為、まず第一に小型で多層タイプの分厚いラジエターを取り付けたのです。
しかしこれは逆効果だったと考えられます。

現代の国産車や外国車を見れば分かるとおり、薄いラジエーターが普通は搭載されていますが、それはこのタイプの方が冷えやすいからです。
ラジエーターは導風された面しか冷却できないので、その背面はラジエーターの厚みが厚いほど冷えないという事になってしまいます。
これはコアを増して済むという問題ではなく、基本的な考え方の誤りだったのでしょう。
そしてそこには当時のランボルギーニが抱えた経済的な問題もあったように想像されます。
一番簡単なのはカウンタックに合わせた専用設計のラジエターを取り付けることですが、当時のランボルギーニにそんな余裕は無く、おそらく市販の、しかも自動車用ではない小型のラジエターを探してきて取り付けたと思われるからです。(ひ、ひょっとするとこれはトラクター用のラジエターかもしれませんね。どう見ても自動車用には見えませんから)

その辺は当時のエンジニアも少しは考えていたらしく、冷却用の電動ファンを前面と背面にそれぞれ2個設置しています。
しかしこれもラジエターが垂直に取り付けられているため、導入された空気が旨く背面に抜ける事が出来ません。
導入された空気が正面からラジエターに真直ぐぶつかってしまう為、空気がスムーズに抜けないのです。
これを解決するには、ラジエターをスラントさせて取り付ければ良いだけの筈ですが、何故かそうはならなかったのです。

実車を見ればその余地は充分あるように見えるのですが、市販に向けたスケジュールの関係で、ダクトを想定したデザインで決定されており変更できなかったか、当時の開発者たちの発想にレースカーの要素を持ち込めなかったからではないでしょうか。

何れにせよ、カウンタックはこの形で世の中に出る事になったのです。
世の中には似て非なるものは沢山ありますが、これもそのひとつでしょうか?



ブログ一覧 | カウンタック | クルマ
Posted at 2012/06/25 16:58:21

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KUMAMONさん

この記事へのコメント

2012年6月25日 19:12
今日はどうもありがとうございました♡♪夢のスーパーエキゾチックカーを所有するだけではなく、それを自在に整備してくれる職人さんもいらっしゃるとは、「nobu」さん自体が「スーパー」な人なのですネ!「カウンタック」に限らずあらゆるクルマの個性や、本来のあるべき姿、知識、見解、個体の生い立ちまでをすぐに引き出せる能力もお持ちですし、この「nobu」さんのブログはまさに「スーパーカーの通信教育講座」ともいえます。段々、本物の「カウンタック」欲が高まってきてます!「ランボルギーニ寒河江支店」があれば・・・いや、「ランボルギーニ寺子屋」?いや、やはり、スーパーカーミュージアムが一番です!ネッ!
コメントへの返答
2012年6月26日 1:01
いえいえどういたしまして、日ごろお世話になりっぱなしでこちらこそ恐縮しております。

また私はそんなに褒めていただくほどの者ではありませんし、能力もありません。
一つお手柔らかに(笑)

スーパーカー・ミュージアム、イイですよね~!
私の夢でございます。

まだまだ夢の中ではありますが、名前だけは決めていて、「MUSEO MARUMORINI」って名づけようかなと・・・。

消費税も上がりそうですからそろそろと考えているのですが、依然絵に描いた餅でしょうか(笑)

2012年6月25日 23:01
とうとう「真実のカウンタック」出版か??発行はやはり○○パブリッシングでしょうね。
コメントへの返答
2012年6月26日 1:08
「真実のカウンタック」とは上手いネーミングですね!

でもライターの松岡さんが似たような名前の本出してませんでしたか?
確か「リアル・ランボルギーニ」ってタイトルだったと思うんですが。

分解していくと構造から見えてくることがたくさんあって、書きたいことは山ほどありますが、それを上手く文章化できません。

唯一つ言えるのは、カウンタックっていう車は「技術的に、やらなければならないことをやっていない車だ」と言うことです!
2012年6月25日 23:27
5000SベースでベルトーネCountachLP500を作りそうな勢いですね。

この夏休みに開催される広島市交通科学館の企画展「カウンタック展」に向けて、展示資料などを準備しているのですが、発表当時の海外の雑誌記事でLP500を観察すると、市販に向けて少しずつ改造されていく様子がわかります。
改めてシンプルで美しいラインに魅了されました。

誰か作らないかなぁ〜?
コメントへの返答
2012年6月26日 1:12
>改めてシンプルで美しいラインに魅了されました。
私もその一人なんです。
あのカタチは人類の文化遺産の一つだったはずですね。
もし現存していれば!との想いを捨てることが出来ません・・・。

urracoP250さん挑戦されてみては如何ですか!?
2012年6月25日 23:39
素晴らしいです。下手な自動車評論家が裸足で逃げ出しそうな内容ですね。クンタッチをハチロクやシルビアのようにいとも簡単に分解されるKメカニックさまにも脱帽です。
コメントへの返答
2012年6月26日 1:17
Kメカさんはこの車に関わると、毎日20回くらい暴言をはいておられます。

あ~耳が痛い!

彼もウン十年前は,横浜のシーサイド・モーターのショーウィンドーに張り付いて見ていたくせにね(笑)
2012年6月26日 0:06
大変勉強になりました!


いつか ミウラ解説書を出版してください。
ダメだしだらけになってしまいそうですあせあせ(飛び散る汗)
コメントへの返答
2012年6月26日 1:28
ありがとうございます。
しかしこのクルマの問題点はもっと根深くて、私ごときが書けるレベルではありません。

例えば、冷却ラインのパイプがボディに取り付けられていなくて、宙ぶらりんのまま配管されていたり(パーツカタログにブラケット部品が存在していないのですから!)、燃料系や電装系がショート寸前の状態で設置されていて、いつでも燃えてしまう状態で販売されていたことなどです。

私は残念ながらミウラについて詳しくありませんが、設計年度が古い分だけ更に困ったことになっているんじゃないでしょうか?

この辺はクラシック・ランボルギーニに乗るオーナーの宿命だと・・・(苦笑)
2012年6月26日 9:00
キャハハ・・・とてもわかりやすい解説をありがとうございます~☆

その昔、他人のクンタッチ(!)を一週間ばかり借りて乗り回しましたが「ラジエターの秘密」は知りませんでした。

ですがフィンの緻密な細かさを見ると、それは決して「トラクターのラジエター」を転用したものじゃなく、やはりスーパーカーの繊細さでしょうねぇ・・・♪
コメントへの返答
2012年6月26日 13:47
明るいお返事またご承認ありがとうございます。

あそぼー♪さんは当時からオリジナルの車両を乗り継いで来られたようですから、この辺のクラシックランボの事は良くご存知の事と思います。

私が思うに当時のランボルギーニの欠点は、お金を掛けなくても良いところにお金を掛けてしまって、肝心の車の熟成を進められなかったというところだと思っています。

例えば、カウンタックのオイルフィルター・ケースはなんとマグネシュームで鋳造されています。
確かにEgの健康を守る大事なパーツではありますが、「そんなケースにお金を掛けるんだったら普通別の場所に使うだろ!」って言いたいわけです。
軽量化のためだとしても、もっと効果のある場所に使うべきでしょう!?

第一そのオイルフィルター自体自動車用っぽくなくて怪しいんですよね。
疑ってしまいます(笑)


あ、忘れてましたが、確かこのBALDWINのフィルターはギブリも使ってたかもしれません。
すると違うのかな?

2012年6月26日 10:20
駄目っ!

見ちゃ嫌っ!!

みんなの夢を壊さないでっ!!!

ディアブロVTのエンジン・ミッションに乗せ替えて重心を下げ、更に4駆って具合に出来ないですかね???
コメントへの返答
2012年6月26日 14:00
「駄目っ!」って言われると余計見たくなっちゃうのが人情ってもんでしょう!

イヤダイヤダも好きのうちって、たとえが違うか・・・。


>ディアブロVTのエンジン・ミッションに乗せ替えて~
資金さえあれば可能だと思います。
この世の中いくらお金じゃないといっても、8割がたはお金で何とかなってしまいます。
自動車事故の保険金がそのいい例ですが・・・。

カウンタックの場合、パイプフレームなのが問題ですが、ディアブロVT用のEgとオイルパンがフレームのスペースに収まれば、後は簡単でしょう。
確かディアブロはカウンタックと違ってオイルパンの横をトルクチューブが通っていたはずなので、その広がった分だけフレームを加工することができれば何とかなっちゃうんじゃないでしょうか?

この辺はメカさんの領域ですけどね~!
2012年6月26日 22:38
奥が深いのですね。
とても勉強になります。

機会があればぜひ間近で拝見したいです,クンタッチ!

やはり名車ですね。

コメントへの返答
2012年6月27日 8:21
ありがとうございます。

私の車は秋のスーパーカー・ミーティング2012に向けて再整備中ですので、何とか間に合わせて展示したいと思っています。

本来はこんな再整備は必要なかったはずなのですが、アメリカ人にやられました(泣)
彼らに日本人のような仕上げの感性を求めるのはムリです。

板金塗装を含めて全てやり直しデス(笑)

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「Rebirth! COUNTACH LP500 Plototipo http://cvw.jp/b/615290/42421877/
何シテル?   01/18 16:36
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