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イイね!
2006年04月13日

2004 WRC

2004 WRC Monologue66 2004.9.21

 今年のWRCのビデオを見た。
 随分前から思っていたことなのだが、今年のクルマ、ずば抜けて素晴らしい。
 それはジャンプの着地の見事さについてだ。
 自分がレガシィに乗っていることとは無関係に、今WRCを戦っているインプレッサWRカー2004はこれまでの車の中で最も着地が見事なクルマだと断言したい。これよりも見事に着地する車があるなら教えて欲しい。
 そう、ジャンプの着地はその車の素性を如実に物語るシーンなのだ。

 今年のWRCを見ていて、ある程度クルマがわかる人ならすぐにインプレッサだけが違う動きをしているということに気付くと思う。それはライン取りなどではなくバネ上の挙動が実に安定してるということだ。
 コーナリングでも路面のアンジュレーションの影響を受けずに綺麗にロールし、戻る。 
 上記のジャンプなんかはもうオリンピックの体操の着地を連想するくらい見事にこなす。Gr.A時代はレガシィを含めどのマシンもジャンプの後にはいつまでもバウンスを残し、あまつさえ姿勢を乱していたのだが、それが初代インプレッサになるとバウンスは最小限に抑え込むようになる。これがGC8のWRカーだとバウンドせず着地の1ストロークでそのエネルギーを吸収、即加速体制に向かうようになり、GDB、現在のWRカーではどうかと言えば、もうジャンブの接地の最初のタッチから、タイヤが接地し始めた状態から加速、コーナリングのアクションを始められるようになっている。
 それはまるでジャンプのエネルギーをそのまま速度やコーナリングに結び付けているような、そんな錯覚を起こす動きだ。

 一方、ライバルのマシンはといえば、ジャンプにおいてはGC8のWRカーのレベルに留まる。コーナリングでもピッチングやバウンスが多少残ってひょこひょこしている。これはサスペンションストロークが小さく、その可動範囲内で納めるためのセットアップになっていることに起因する。
 ただし、ストローク量が不足している、ということとはちょっと違う。小さく設定しているという方が正しい。それはジオメトリの変化のいい部分だけを使うためにそうしているのだろう。
 一方インプレッサではその範囲、ジオメトリ変化の美味しい部分が大きい。だから足を大きく動かすことができ、上記のような挙動をさせることが可能になっているのだろう。これはクルマの基本コンポーネントに関わる部分から起因するもので、フロントもリアと同じくらい長いドライブシャフトを持っていること、長いアーム、ストラット式サスの長所をうまく使っていると言えるだろう。
 だからといって市販車も全く同じかというとそうではない。WRカーはサスアームを取り付けるサブフレームもボディ側のサス取付位置も変更可能なので、市販車とは全く異なる足回りをもっているのだ。

 このようなすばらしい働きをするサスペンションにおいて、一番肝心なパーツはといえば、当然ショックアブソバーだ。実はこのパーツは近年最も進化が著しい部類のパーツで、今も進化の真っ最中だ。
 作動原理はそう難しいものではない。要は注射器。ロッドが押し引きする液体が、細い通路を流れる時に生じる抵抗を使ってロッドの動作スピードをコントロールしている。
もうすこし詳しく説明すると、流体(オイル)がオリフィスホール(小径の穴)を通過する時に生じる抵抗で、ロッドの動きを制限する。しかも、穴にはオイルの流れで適度にたわむシムプレート(薄板)を被せておき、ロッドの動作速度(=オイルの流速)によっても抵抗の大きさをコントロールしている。
 あまり知られていないがこのパーツの内部はとてもすごいことになっている。複雑かつ精密な機構であるにも関わらず、大きな力が加わり、また発熱も生半可ではない。
 オリフィスを流れるオイルの速度を考えてみると、その速度に驚くはずだ。
 このパーツの進化は比較的最近になって大きく進んでいる。基本構造の複筒式/単筒式、性能を向上させるためのガス予圧、倒立、など目につきやすいところではそういったキーワード的なものも並ぶが、大事なところはオイル/ガスシールの性能向上であったり、各部の精度、ダンパーオイルの性状・特性の向上であったりする。
 また、あまり知られていないところだが、減衰力を決める部分、先程オリフィスとシムでと説明した部分は各社で微妙に異なっており、非常にバラエティに富んでいる。

 ちなみに先程のWRCのGDBインプレッサで使われているショックアブソバーはSACHS製のものだそうだ。SACHSのそれは先ほどのオリフィス-シムで説明した減衰力を設定している部分が他のショックとは大きく異なり、ロッドの先には付いていない。また、サスペンションストロークの最後の部分を設定する常套手段、バンプラバーが無いそうだ。それが本当だとすれば、ラバーより優れた方法でコントロールしているに違い無いのだが、それが何かはわからない。
 このSACHSというメーカー、F1のフェラーリやGT500にもショックアブソバーを供給している。だからSACHSは良くて、SACHS製のものをつければいい足になるかというと、それはまた別の話。
 WRCやF1のような特殊条件下の競技で優秀であっても量産車に通じるとは限らないし、そもそも量産車用の製品が全く同じであるはずがない。
 が、いずれそれは量産車にやってくる。そのままの形では無いだろうが、それは楽しみだ。
ブログ一覧 | サスペンション | クルマ
Posted at 2006/04/13 01:04:25

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この記事へのコメント

2006年4月13日 18:46
ちなみにE46の純正サスはSACHS製だそうで。
なかなかいい動きをするそうで。
ウチのはビルに変わってるけど。
コメントへの返答
2006年4月13日 23:40
そういえばそうですね。
ダンパーの開発は人によるところが大きいようです。
できる人がいる会社のは、いい足になっていく、と。
んでもって、結構動いてるみたいです。
06年の今、いい足作ってるのはどこなんでしょうね?

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